一筋の涙をツーッと流し、
また昏睡状態に入っていく母よ。
美しき天然
一 空にさえずる鳥の声
峯より落つる滝の音、
大波小波とうとうと
響き絶えせぬ海の音。
聞けや人々面白き
此の天然の音楽を。
調べ自在に弾き給う
神の御手の尊しや。
二 春は桜のあや衣、
秋は紅葉の唐錦、
夏は涼しき月の絹、
冬は真白き雪の布。
見よや人々美しき
この天然の織物を。
手際見事に織たもう
神のたくみの尊しや。
世にも美しい日本語入門 (ちくまプリマー新書) | |
安野光雅 藤原正彦 | |
筑摩書房 |