このアパートはあたしの渡米3ヶ月前にダニーが契約した物件。
その前に隣人になるであろう隣のおばあちゃまに挨拶したんですって。
そこで彼女に言われたらしいの。
「お互い意見の違いが生じる前に付き合いをしないのが一番だと思うの」って。
「そりゃもっともな話だね。都会ならともかく島の住民には似つかわない意見だけど」って言ったらダニーはもっと話してくれたわ。
「隣人の車がピッキングに遭っているのを目撃しても『知らぬ存ぜぬ』で生活してきたニューヨーク出身」らしいって。
隣人になるかもしれない初対面の人物にそこまで潔く境界線を引くその女性にあたしは好感を持ったわけ。
「それでね」ってまだダニーの話は続いたの。
「間違いなく隣の部屋に住んでるんだけど、物音1つ聞こえないんだよ」って。
そんなわけで我々は彼女を「忍者レイディー」って呼んでて、その名の浸透度っていったら最寄のスーパーで彼女と会った時にそう呼んでしまいそうな程。
実際、義理的に礼儀正しく彼女に挨拶したところで高齢の人特有の聞いてるんだか聞いてないんだか聞こえない振りしてるんだかよく把握できない状況で無理矢理、そしてそれとなく会話を終了させる微妙な引き際なのいつも。
それなのにね。
いつも通り「本日の分」を抱えて酒屋から戻ったあたしに忍者レイディーが「ちょっとちょっと」って手招きするわけ。
しかもすごく怯えてるの。
「ゴミを出したいんだけど、見慣れない男があたしたちのゴミ箱探ってるのよ。個人情報も盗まれそうだし気味が悪いわ。まだそこにいるのよ」って、ゴミ袋抱えてオロオロしてるの。
このエリアは缶や瓶類に消費税と別に僅かながら上乗せされてて、所定の場所に持って行くとリサイクルされてそのわずかな金額が戻ってくるっていうシステムで。
完全拒絶の隣のおばあちゃんに頼られた嬉しさ半分、小銭が欲しいだけの恐らく安全であろう相手への安心感半分で
「じゃ、ちょっとここで待ってて。今あたし見てくるから」って男らしく見廻りを買って出たわけ。
実際、忍者レイディーが証言するような男は近くにいなくて「大丈夫よー」って安全確保したのが昨日の話。
そして今日の日中に外で忍者レイディーと遭遇。
昨日の今日だし少しくらい世間話でも・・・って期待したあたしが馬鹿でした。
日本じゃ下手したら百均とかに置いてるレベルの塩辛だけど何か今日は贅沢してる感じ。
他人に干渉されない時間もありがたく、人恋しくもあり。
明日のダニーの帰りが楽しみ。
その前に隣人になるであろう隣のおばあちゃまに挨拶したんですって。
そこで彼女に言われたらしいの。
「お互い意見の違いが生じる前に付き合いをしないのが一番だと思うの」って。
「そりゃもっともな話だね。都会ならともかく島の住民には似つかわない意見だけど」って言ったらダニーはもっと話してくれたわ。
「隣人の車がピッキングに遭っているのを目撃しても『知らぬ存ぜぬ』で生活してきたニューヨーク出身」らしいって。
隣人になるかもしれない初対面の人物にそこまで潔く境界線を引くその女性にあたしは好感を持ったわけ。
「それでね」ってまだダニーの話は続いたの。
「間違いなく隣の部屋に住んでるんだけど、物音1つ聞こえないんだよ」って。
そんなわけで我々は彼女を「忍者レイディー」って呼んでて、その名の浸透度っていったら最寄のスーパーで彼女と会った時にそう呼んでしまいそうな程。
実際、義理的に礼儀正しく彼女に挨拶したところで高齢の人特有の聞いてるんだか聞いてないんだか聞こえない振りしてるんだかよく把握できない状況で無理矢理、そしてそれとなく会話を終了させる微妙な引き際なのいつも。
それなのにね。
いつも通り「本日の分」を抱えて酒屋から戻ったあたしに忍者レイディーが「ちょっとちょっと」って手招きするわけ。
しかもすごく怯えてるの。
「ゴミを出したいんだけど、見慣れない男があたしたちのゴミ箱探ってるのよ。個人情報も盗まれそうだし気味が悪いわ。まだそこにいるのよ」って、ゴミ袋抱えてオロオロしてるの。
このエリアは缶や瓶類に消費税と別に僅かながら上乗せされてて、所定の場所に持って行くとリサイクルされてそのわずかな金額が戻ってくるっていうシステムで。
完全拒絶の隣のおばあちゃんに頼られた嬉しさ半分、小銭が欲しいだけの恐らく安全であろう相手への安心感半分で
「じゃ、ちょっとここで待ってて。今あたし見てくるから」って男らしく見廻りを買って出たわけ。
実際、忍者レイディーが証言するような男は近くにいなくて「大丈夫よー」って安全確保したのが昨日の話。
そして今日の日中に外で忍者レイディーと遭遇。
昨日の今日だし少しくらい世間話でも・・・って期待したあたしが馬鹿でした。
日本じゃ下手したら百均とかに置いてるレベルの塩辛だけど何か今日は贅沢してる感じ。
他人に干渉されない時間もありがたく、人恋しくもあり。
明日のダニーの帰りが楽しみ。