人は何故
わたしを小さひ頃から
感情のごみ箱にするのだらふ
発端は祖母だ
「おまへのため」とゐって
それは祖母の得られない愛と支配欲を
幼いわたしの硝子箱のやふな
華奢で純度の高い心をごみ箱にした
それから 母
生まれたての小さなわたし
初めての赤ん坊のわたしを姑に取られた
その悲しみで母は打ちひしがれた
嫁として母は姑に従ふしかなかった
(かわいさうな 母)
姑に逆らへなゐ辛さ
姑への憎しみ
何も判らず
姑になじんでゐく娘への憎しみ
(かわいさうな 母)
少女から思春期にかかった
トルコ桔梗のやふにやはらかく
瑞々しい 花びらの やふな
肉体と心を持っていたわたし
母は 母の 憎しみと 辛さを
躾と称してわたしのこころをごみ箱にし
箱のそこまで押付けた
トルコ桔梗のやふなわたしの心は
ぺっしゃんこになった
「一日に何度も」と言ふ合唱曲が在る
「おかあさん、おかあさん」と
おかあさんがいちばん懐かしく
恋しく 慕わしひと歌った歌
わたしが この曲を
理解できなひのは あたりまえ
そして 学校の教師達
自分の仕事の重みを
職員室の机に山と積まれた書類のやふに
一番使ひやすく 言ひ易ひわたしに
優しく 残酷に 手渡した
「あなたは優しくて良ひ子だし
先生を助けてくれるわね」と
美しく 優しひ 微笑を浮かべ
ごみ箱はもう満杯だ
そのごみ箱に
教師達は自分の心の重さを
生徒の心に優しく持たせ、棄てさせた
そして
其のことを
忘れた
わたしのこころは
ごみ箱にされた
わたしのこころは
ごみ箱にされ続け
わたしの こころは ずたずた
わたしの 感受性は ぼろぼろ
ごみ箱なんて もう真っ平!
好ひ大人が
甘ったれるんぢゃなひ!
いつまで
わたしをごみ箱にして置くのか!?
いつまでわたしを
おまへのごみ棄て場にして置くのか!?
たまりにたまったごみ箱にされて
わたしは
今 潰れ
今 こわれる
甘ったれるんぢゃなひ!
・・・・・(かなしひ!)
・・・・・(かなしひ!)
・・・・・(わたしは かなしひ!)
かわいさうな
かわいさうな!
ほんとうに!かわいさうな!
わたし!
ゆっくりと
ほんとうに ゆっくりと
うつくしく
わたしは狂ってゆく
まるで太陽が夕暮れに
やさしく うるむやふに
地平線に沈んでゆくやふに
ゆっくりと ゆったりと
わたしは
うつくしく狂ってゆく
今に
私が
狂ったとき
おまえたちは
知るだらふ
否
おまえたちに告げてやる
はっきりと 告げてやる!
おまえがわたしを
かうしたのだ!
と!
(告げられないときは おとうさま
あなたが みなに 告げてくださいますやふに)
さふしてわたしは
わたし自身をとりもどす
狂ったわたしを天のおとうさまが
優しくいつくしんで抱きしめて
汚れも穢れもみなきよめて
さいしょに天のおとうさまが
わたしをつくってくださったやふに
やはらかく うつくしくしてくださる
硝子箱のやふにきらきらと輝く
純度の高い さらさらと
砂金が流れるやふな天国の川のやふな
やはらかな ほんもののわたしに
戻してくださる
ほむべきかな ほむべきかな
主の栄光 主の平和
Sanctus, Sanctus, Sanctus
Dominus, Deus Sabaoth
Pleni sunt cæli et terra gloria tua
Hosanna, in excelsis
In Paradisum deducant te Angeli;
in tuo adventu suscipiant te martyres
et perducant te in civitatem sanctam Jerusalem.
Chorus Angelorum te suscipiat,
et cum Lazaro quondam paupere,
æternam habeas requiem.
インマヌエル・アーメン
わたしを小さひ頃から
感情のごみ箱にするのだらふ
発端は祖母だ
「おまへのため」とゐって
それは祖母の得られない愛と支配欲を
幼いわたしの硝子箱のやふな
華奢で純度の高い心をごみ箱にした
それから 母
生まれたての小さなわたし
初めての赤ん坊のわたしを姑に取られた
その悲しみで母は打ちひしがれた
嫁として母は姑に従ふしかなかった
(かわいさうな 母)
姑に逆らへなゐ辛さ
姑への憎しみ
何も判らず
姑になじんでゐく娘への憎しみ
(かわいさうな 母)
少女から思春期にかかった
トルコ桔梗のやふにやはらかく
瑞々しい 花びらの やふな
肉体と心を持っていたわたし
母は 母の 憎しみと 辛さを
躾と称してわたしのこころをごみ箱にし
箱のそこまで押付けた
トルコ桔梗のやふなわたしの心は
ぺっしゃんこになった
「一日に何度も」と言ふ合唱曲が在る
「おかあさん、おかあさん」と
おかあさんがいちばん懐かしく
恋しく 慕わしひと歌った歌
わたしが この曲を
理解できなひのは あたりまえ
そして 学校の教師達
自分の仕事の重みを
職員室の机に山と積まれた書類のやふに
一番使ひやすく 言ひ易ひわたしに
優しく 残酷に 手渡した
「あなたは優しくて良ひ子だし
先生を助けてくれるわね」と
美しく 優しひ 微笑を浮かべ
ごみ箱はもう満杯だ
そのごみ箱に
教師達は自分の心の重さを
生徒の心に優しく持たせ、棄てさせた
そして
其のことを
忘れた
わたしのこころは
ごみ箱にされた
わたしのこころは
ごみ箱にされ続け
わたしの こころは ずたずた
わたしの 感受性は ぼろぼろ
ごみ箱なんて もう真っ平!
好ひ大人が
甘ったれるんぢゃなひ!
いつまで
わたしをごみ箱にして置くのか!?
いつまでわたしを
おまへのごみ棄て場にして置くのか!?
たまりにたまったごみ箱にされて
わたしは
今 潰れ
今 こわれる
甘ったれるんぢゃなひ!
・・・・・(かなしひ!)
・・・・・(かなしひ!)
・・・・・(わたしは かなしひ!)
かわいさうな
かわいさうな!
ほんとうに!かわいさうな!
わたし!
ゆっくりと
ほんとうに ゆっくりと
うつくしく
わたしは狂ってゆく
まるで太陽が夕暮れに
やさしく うるむやふに
地平線に沈んでゆくやふに
ゆっくりと ゆったりと
わたしは
うつくしく狂ってゆく
今に
私が
狂ったとき
おまえたちは
知るだらふ
否
おまえたちに告げてやる
はっきりと 告げてやる!
おまえがわたしを
かうしたのだ!
と!
(告げられないときは おとうさま
あなたが みなに 告げてくださいますやふに)
さふしてわたしは
わたし自身をとりもどす
狂ったわたしを天のおとうさまが
優しくいつくしんで抱きしめて
汚れも穢れもみなきよめて
さいしょに天のおとうさまが
わたしをつくってくださったやふに
やはらかく うつくしくしてくださる
硝子箱のやふにきらきらと輝く
純度の高い さらさらと
砂金が流れるやふな天国の川のやふな
やはらかな ほんもののわたしに
戻してくださる
ほむべきかな ほむべきかな
主の栄光 主の平和
Sanctus, Sanctus, Sanctus
Dominus, Deus Sabaoth
Pleni sunt cæli et terra gloria tua
Hosanna, in excelsis
In Paradisum deducant te Angeli;
in tuo adventu suscipiant te martyres
et perducant te in civitatem sanctam Jerusalem.
Chorus Angelorum te suscipiat,
et cum Lazaro quondam paupere,
æternam habeas requiem.
インマヌエル・アーメン