教育と臨床心理のおもちゃ箱

歳を重ねるとは経験知が増える。知が統合し、また新たな知恵となる。教育と臨床心理を軸に思いを伝えたい。

美味しくなあれ!

2023年12月11日 | こころのおやつ
「美味しくなあれ」
 味噌汁を作りながら思った。具材が煮えたら、最後に味噌を溶いて仕上げるのだが、ある料理番組で仕入れた方法を守っている。それは、玉杓子に分量の味噌を取り、菜箸で味噌をほぐしながら練っていくと、麹菌が活性化して美味しくなるというものである。
 しかし、冷蔵庫で保存している味噌は硬くなり、練り上げるのにも溶かすにも時間がかかる。生来短気な性分だから、そのわずかな時間がもどかしい。仕事に出る前の朝の時間はなおさらである。
 そんな時、「美味しくなあれ」と心の中でつぶやいてみた。「美味しくなあれ、美味しくなあれ!」と、何度も繰り返していると、苛立つ気持ちが鎮まってきて、不思議と菜箸に集中できることに気がついた。
 これはセルフトークだ。
 スポーツ選手が、メンタルトレーニングの一つとしてよく用いる手法だが、「美味しくなあれ」は、食べる人のために愛情を一味加えるという意味よりも、作り手である自分の心を落ち着かせる効果の方が強いような気がした。
 一人暮らしの味噌汁づくりは、心を安らかにし、朝の胃袋を温かくし、季節を感じさせ、懐かしい過去をも思い出させる。
いくつもの思いが、一杯の味噌汁に込められているのだ。

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