タロット柊

考えること、感じることの記録

命綱

2021-10-06 19:56:52 | インナーガイド2021・10月

ひまわり畑を走っている。

背の高いひまわりの間を、

汗を光らせながら、

どんどん走っている。

一体どこに向かっているのか、

少女は、白い光に向かって、

どんどん進む。

 

突然、強く後ろから引っ張られて、

体が宙に浮く。

うわっ!と声を上げて、思わず振り返る。

後ろにも、どこまでもひまわりが広がっているけれど、

その向こうから、

まっすぐに、太い綱が腰に巻き付けられていることに気付く。

どこからつながっているのか、

まさに、運動会の綱引きで使うような立派な綱だ。

 

「だめよ」と優しい声がする。

まるで空全体がスピーカーになったように、

空間全体から声がする。

「あれ?」と少女は思う。

「お母さん?」

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ふと、あの、光を見たときのことを思い出す。

あのとき、

私は確かに綱を離した。

いつ終わるともしれない苦しみから

楽になりたかったのだ。

でも、

その綱を離さない手があった。

白く、やわらかいその手は、

これ以上ない力を込めて、

私へと続く綱を握りしめていた。

見ると、私の腰にしっかりと巻き付けてあった。

 

ああ、お母さん。私の命綱、握ってくれてたんだね。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

思わず涙が流れる。

その方も、静かに涙を流していた。

互いに、母を想いながら。

 


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