タロット柊

考えること、感じることの記録

12日(火)女帝「はじまりの女帝」

2019-03-12 23:51:10 | タロット2019・3月

私はこれまで一度も誰かに占ってもらったことはないし、

そもそも、占いというものに興味がなかった。

けれども、ある事情によって、タロットを知ることになり、

使うことになる。

なので、

誰かに習ったのではなく、

気に入った本を見つけては読んで、という勉強の仕方だったから、

カードのめくり方も広げ方も、解釈の仕方も、今に至るまで全く自由だ。

 

そんな、かなり斜に構えた感じで、タロットとの付き合いが始まったころのことだ。

まだ、自分のスタイルも確立していないし、

カードの解釈も分かっているような、分かっていないような、

というより、タロットを信じる(こう書くと変だが)ということが、

どんなことかも、全く分かっていなかったようなころ、

ある方が、私のもとを訪ねてくださった。

 

その方の悩みは、驚くほど深く、

私なら、絶対、占いなんかで見てもらったりしない、と思うようなことだった。

そのことを率直に述べると、

「いいんです」と悲しそうに笑った。

自分でできる努力をすべてして、それでも、

自分ではどうしようないところにあるこの悩みを、何年も耐えてきた。

希望と絶望を繰り返し経験し、疲れ切っていたとき、

ふと、占いで腹を決めようと思ったのだという。

 

 

私はカードをめくるのが、本当に怖かった。

その方にとって、喜ばしいカードが出るのが、本当に怖かった。

嬉しくないカードが出ても、そののちの結果が嬉しいものであれば、

はずれたタロットも、良しとできるだろう。

けれども、その逆は、あまりにもつらい。

 

タロットをしたくて始めたわけではないが、

やり始めて間もないのに、きっとやめることになるだろう。

いや、こんな質問に答えなければいけないのなら、

やめた方がいいだろうと思うほど、重大な質問だった。

 

手が震えた。

頭が真っ白になって、何も考えられず、ただめくってみた。

たった1枚。

 

女帝だった。

 

タロットは、これ以上ない答えをあっさりと出した。

嘘はつけない。

その方の最も望むカードが出たのだ。

 

 

それから1年ちょっと経ったある日、その方が訪ねてこられた。

 

女帝は、全くその通りの結果をその方にもたらし、

それを知った私は、体中の毛が逆立つような感覚に襲われた。

 

その方は、

あのとき、女帝が出てからの、1年間のことを話してくださった。

とても素敵な笑顔だった。

 

そして、もう1度、カードをめくってほしいという。

あのときから1年が過ぎ、

少しずつだがカードをめくることにも、解釈することにも慣れてはいたが、

やはりその深刻な質問に答えるのはためらわれた。

はっきりと答えが出るのが怖かったのだ。

喜ばしくても、そうでなくても、結果が明らかに分かるものについて、

はっきりとした答えが出る可能性があることを、あのとき知ったから。

やはり頭は真っ白で、何も考えられなかった。

 

逆位置の女帝だった。

 

なんということだろう。

なぜこんなにも、あっさりと、答えを出すのだろう。

その方も、逆位置の女帝を見て、やっぱり、とおっしゃった。

 

 

それから、毎年、決まったときに、その方はいらっしゃる。

逆位置の女帝が示した通りの結果が、その後、起こり、

その方は、腹をくくり、前を向いた。

 

私も、腹をくくった。

 

女帝を見ると、そのことを思い出さずにはいられない。

その方も私も、確かにあのとき、何かが変わったのだ。

タロットはそういうものなのだと、

斜に構えた私を、真正面に座らせたのは、女帝だった。



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