藤沢周平氏の作品については、没後多くの方が書いている。
総じて誉め言葉が並ぶ。
だが、その人柄については、あまり触れられていない。
理由は簡単だ。会った事がないのだ。
例えば、「寒梅忌」のメンバーでも、教え子の方たち以外は
ほとんど会っていない。
藤沢氏について著作のある方でさえ、会った方はほとんどいないのだ。
そのなかで、「阿部達二氏」が文藝春秋特別号に、書いている。
阿部氏は、オール読物の編集長だった方。
藤沢周平氏が「遺書(遺書は全集で公開されている)」の中で、葬儀等の
相談相手に指名した人である。
*平成15年12月 発行
阿部氏は文中「~あの温厚な風貌と言動にもかかわらず藤沢周平は
狷介な人ではなかったかと私は思っている。(略)古い物の本には
『狷にはなさざる所あり』とある。(略)『死んでもやらない』という
強い拒絶の意志を示すらしい」と。
意訳すると〈意志強く、ガンコな面がある〉ということか。
そう云えば奥様のエッセィに「曲げない人だから・・」とあったのを
読んだ気がする。
藤沢は、強固な意志で苦難の時を乗り越えたという事なのだろう。