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『孫物語』 椎名誠

2020年01月09日 21時17分00秒 | ■読書
「椎名誠」の私小説『孫物語』を読みました。


「椎名誠」作品は昨年9月に読んだ私小説三匹のかいじゅう以来なので4ヵ月振りですね。

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「子どもより孫(まご)の方がかわいい」と言うけれど、そんなことは……ありました!

あまり大きい声じゃ言えないけれど、こんなに楽しいことはない! 
突如、男女男の孫が「シーナ家」のすぐそばに越してきた。
はるか昔に書いた『岳物語』の息子「岳」の子たちは小学生。
本好き、おませさん、活動派の3人は、家の外でも室内でも、今日も何かをやらかしてくれる。
71歳、「イクジイ・シーナ」の奮闘スーパーエッセイ。
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「椎名誠」が、雑誌『小説新潮』の2013年(平成25年)10月号から2014年(平成26年)11月号に『じいじいのヨロコビ』というタイトルで連載していた作品14篇を収録した短篇集です、、、

三匹のかいじゅうとは、何故だか孫の名前が変更してあって、ちょっと戸惑いがあったのですが… 孫で長男の「波太郎くん(以前は風太くん)」は11歳になり、本が大好きで、知識がぐんぐん増えて、随分、大人びた感じがしましたね。

ちなみに長女の「海ちゃん」「小海ちゃん」という名前になり口が達者で小生意気な8歳、二男の「琉太くん」「流くん」という名前になり無鉄砲振りに拍車がかかり6歳… と、それぞれぐんぐん成長しています。

 ■サンコンカンからの来襲
 ■屋根裏部屋で待っていた絵本
 ■小さな命を眠らせながら
 ■海賊船作戦
 ■アメリカのねぇねぇがきた
 ■ニンゲンはなぜたたかうのか
 ■別れの一本桜
 ■特別な日
 ■ラクダさんの旅の準備
 ■旅へ、そして帰ってきて
 ■土星とカボチャ
 ■台風を飛び越えて
 ■北の国へ
 ■黄金の夏休み
 ■あとがき
 ■解説 吉田伸子


作品の冒頭に「椎名誠」が自ら、

「久しぶりに、日常お茶碗味噌汁タマゴ焼的な話を書くことになった。
 ここでは何も珍しいことはおきないし、
 むかしひっきりなしに行っていた最低気温マイナス59度の日々とか、
 それとは逆に乾燥度100パーセント、最高気温52度の旅、
 なんて息苦しい話は全く出てこない。」


と語っているように、三人の孫に翻弄される「じじバカ シーナ」の日常が描かれています… 私小説とエッセイの中間的な作品ですね。

ドタバタ騒がしい三匹のかいじゅうの成長ぶりを、基本的にダラシナイにやけ顔で見つめる「じじバカ シーナ」… ぐんぐん新しいことを吸収する孫たちに対し、どんどんいろんなことを忘れていく「じいじい」は、ウロタエながらも大奮闘するという展開で、三匹のかいじゅうの続篇として愉しく読めました。

そして、愉しいだけでなく、ハイテクトイレや自転車や歩行者の交通マナー等を例にして日本の異文化性に触れる等、世界中を渡り歩いて来た「椎名誠」の文明観や人間観が散りばめられていることにも印象に残りました… 日本の文明批評にもなっている作品だと感じました。

でも、やはり本書の中心は孫愛… 孫を見ていると時間の流れって、きっと、物凄く速くて、あっと驚かされることの連続なんでしょうね、、、

「椎名誠」の私小説を続けて読んでいるので… 自分もその一員のような錯覚に陥ってしまいますね。

肩の力を抜いて気軽に読めました。


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