Action is my middle name ~かいなってぃーのMorrisseyブログ

かいなってぃーのMorrissey・The Smithsに関するよしなしごと。

You've Got Everything Now

2024-10-25 15:08:15 | ザ・スミス全歌詞
You've Got Everything Now 
“The Smiths”(1984)収録
 
ファーストの2曲目。
1983年、モリッシーが初めて受けたBBCラジオ1のDJデヴィッド・ジェンセンのラジオのインタビュー。
 
Morrissey - David Jensen Interview - BBC Session 26th June 1983
 
このインタビュー(ジョニーとの出会いなんかも語ってて初々しい)でこの歌に関して(上記音声10:00くらい)、
 
「これは学生だった頃の思い出。学校にいた頃自分はかなり進んでいた。卒業後、同級生の本当にバカな奴らは皆、ものすごい進歩を遂げていて、驚くほど大きな車とたくさんの金を持っているように見えた。私は決して来ないバスを常に待っているようだった。自分には頭脳はあっても、他には何もない感じに思った」
 
と、語っている。モリッシーの学校への恨みはすさまじい、教師、アホな同級生、石のようにまずい給食、そして灰色の校舎、建造物にまで及んでいる。そんなところで、モリッシーは頭は良く物知り、足も速い長距離走選手だったため、いわゆるスクールカースト上組ではないが「イケている」方であった。上記インタビューでも、「自分はかなり進んでいた」という自負があるので驚いた。しかも、「自分には頭脳はあっても」って威張ってるし…。
 
しかし、卒業後に職につかなかったために、下に見ていた奴らにどんどん負けていく。みんな自分より金持ちで、なんでも手に入れているように見える。しかしこの歌は石川啄木的「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ…」という悲嘆ではない。

「君が笑うのを見たことがある でも笑い声は聞いたことはない」
「じゃあ誰が金持ちで誰が貧乏? 僕には言えない」

と、思いっきり「おまえらいい気になんなよ」ソングである。このザコいシャバぞうども、「今、すべてを手に入れた」という物質的裕福さが、人生の勝ち負けを決めないのだ!イキんじゃねえぞと宣戦布告している。

モリッシーの「成功」に対する執着はすごいものである。あれほど凄い人なのだから、わが道を行きそうじゃん?ところがどっこい、常に他者を相対評価の対象とし、こだわり、その成功をとことん呪う。学校時代のバカ連中なんて、自分は夢が叶ってミュージシャンになったんだから放っておけばいいのに。「君の車の後ろに繋がれてるところを見られたい」ってどんだけ嫌味やねん。

昔聞いた時は、ちょっと緊縛的な、セクシャルな表現なのかと思ったけど、この車って、おバカ同級生が成功して買った驚くほど大きな車のことを指し、ド級の「嫌がらせ」を意味しているのではないか?モリッシーが後ろに繋がれてたら高級車も台無し…。

自伝では、友達だったア・サーテン・レイシオのサイモン・トッピングがNMEの表紙になったのを見て「1000回悲嘆死して森の中に横たわり絶命しようと思った」と書いており、1992年には“We Hate It When Our Friends Become Successful”という歌にまでしている。

1000回悲嘆死(苦笑笑)。私もよく人に大げさといわれるが、モリッシーの「盛り」にはかなわない。

 
君は今、すべてを手に入れた

楽しかったあの頃
僕は正しくて、君は間違ってた

古い灰色の学校を振り返れば
僕が勝ってて、君は負けたんだろう

でも君は今、すべてを手に入れた
君は今、すべてを手に入れている
そして僕は、人生をめちゃくちゃにしてしまった
ああ、僕の人生はなんてめちゃくちゃになったんだ

仕事になんて就いたことがない
だって、欲しくなかったから
君が笑うのを見たことがある
でも笑い声は聞いたことはない

じゃあ誰が金持ちで誰が貧乏?
僕には言えない

お母さんのひとり息子で必死野郎
でも僕は恋人が欲しいわけじゃない
ただ、君の車の後ろに繋がれてるところを見られたい

悲しく失われた友情?
うーん、あってるけど間違ってる
とこところで、僕は言ったことあるかな
君の顔は好きじゃなかった
でも君は今、すべてを手に入れた
君は今、すべてを手に入れている
そして僕は、人生をめちゃくちゃにしてしまった
ああ、僕の人生はなんてめちゃくちゃになったんだ

仕事になんて就いたことがない
だって、シャイすぎるから
君が笑うのを見たことがある
でも笑い声は聞いたことはない

じゃあ誰が金持ちで誰が貧乏?
僕には言えない

お母さんのひとり息子で必死野郎
でも僕は恋人が欲しいわけじゃない
ただ、君の車の後ろに繋がれてるところを見られたい
君の車の後ろに…
君の車の後ろに…

 

You've Got Everything Now

As merry as the days were long
I was right and you were long
back at the old grey school
I would win and you would lose

But you've got everything now
you've got everything now
and what a terrible mess I've made of my life
oh what a mess I've made of my life

No, I've never had a job
because I've never wanted one
I've seen you smile
but I've never really heard you laugh
so who is rich and who is poor?
I cannot say...

You are your Mother's only son
and you're a desperate one
but I don't want a lover
I just want to be seen
in the back of your car

A friendship sadly lost?
well, this is true
and yet, it's false
but did I ever tell you, by the way
I never did like your face

But you've got everything now
you've got everything now
and what a terrible mess I've made of my life
oh what a mess I've made of my life

No, I've never had a job
because I'm too shy
I've seen you smile
but I've never really heard you laugh
so who is rich and who is poor?
I cannot say...

You are your Mother's only son
and you're a desperate one
but I don't want a lover
I just want to be tied
to the back of your car
to the back of your car
to the back of your car
to the back of your car


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Reel Around The Fountain

2024-10-25 14:15:41 | ザ・スミス歌詞/The Smiths
Reel Around The Fountain
“The Smiths”(1984)収録
 
ファーストの1曲目。この歌がスミスとの始まり、という人も多いのではないか。私もそうだ。このたゆたうようなメロディー声明のようなヴォイスに一発ノックアウトされた。13歳の私は日本語訳された歌詞カードを読んでもよくわからなかった。なんとなくエロティックなものは感じた。
 
「君が子どもを捕まえて年を取らせた」「噴水の周りを回ってパティオで叩いてくれ」などの歌詞から英国のタブロイド紙がこの歌を児童虐待の曲だと主張したため、BBCラジオは放送を拒否した。モリッシーは1986年にローリング・ストーンに対してこの曲は「無邪気さの喪失、他人と肉体関係を持つまでは、魂には子どものようなものがある」ということを歌っていたのだと、イラ立ちながら説明している。
 
それではこの歌の歌詞は、「他者と肉体関係を持ち、子どもの純粋さを喪失すること」がテーマなのかというと、そうは思えない。なぜならこの主人公が冒頭で語ろうとする物語とは、まだ起きていない物語。
 
控え目でない言い方をすれば「まだヤッていない」のである。
 
噴水の周りで、何も起きていない。言ってみれば「他者と肉体関係を持ち、子どもの純粋さを喪失することを夢見る」ことがテーマだ。
 
時制に気をつけて歌詞をよく見ると、この相手に関して人が「君」を「ほぼ死人」「ちょろい奴」と噂してたり、「ベッドで天国に連れてって」と主人公に絶対言わなかったのは過去のこと。その時主人公はどうだったか。それはわからないが肉体的には受け入れていない。
 
しかし、今、自分は“I'll take it now”“I wouldn't say no”と受け容れる準備ができたと言っている。これは覚醒であり準備完了の歌。山口百恵でいえば「青い果実」。
 
あなたが望むなら私何をされてもいいわ
いけない娘だと噂されてもいい
恋した時に からだの隅で
別の私が 眼を覚ますの
 
である。今、僕は眼を覚ました。こんな短いポップソングの中で時制は、過去現在未来と混在している。肉体関係を持ち、子どもの純粋=ヴァージニティを奪われることも辞さないほど「価値」を認めた相手に自分を奪い大人にしてくれという、渇望を歌っている。
 
なぜ噴水?「15分」の逢瀬?も気になるが、これは、アンジャッシュ渡部の多目的トイレ密会のような「お手軽」「ヤリ目」を意味しているのではないだろう。モリッシーは当代一の夢見る夢男であり、夢想ネタとなる美的ストックの量、着想の着火点の量が常人の域を超えている。
 
噴水、束の間の逢瀬、肉体的官能、そのネタ元は、フェリーニの『甘い生活』のこのシーンではないか。モリッシーが愛読し作詞のネタ元としても愛用していた、フェミニストの観点から映画を探求する“Popcorn Venus; women, movies & the American dream”(マージョリー・ローゼン)の中には女優アニタ・エクバーグが“reeling around the fountain”という言及があるそうだ。
 
La dolce Vita: Trevi Fountain.
 
偶然とは思えないと、“Mozipedia”のサイモン・ゴダードも書いている。モリッシーのクリエイティビティの噴水の周りを、我々もいつまでもまわり続ける。
 
 
噴水の周りをまわろう

物語を語る時が来た
君が子どもを捕まえて
年を取らせた話

物語を語る時が来た
君があの子を奪って
年を取らせた話
君のせいだ、彼は大人になった

噴水の周りをまわって
パティオで僕を叩いてくれ
今なら、受け入れるから

君と15分間一緒?
うーん、絶対断らないよ
ああ、みんなは君はほぼ死人って言ってたけど
間違って過ぎだったよね

君と一緒の15分
絶対断ったりしないから
ああ、みんな君はちょろいって言ってたけど
半分、合ってたかな
ああ、奴らは、半分は正しかった

物語を語る時が来た
君が子どもを捕まえて
年を取らせた話

物語を語る時が来た
君があの子を奪って
年を取らせた話
君のせいだ、彼は大人になった

噴水のまわりを回って
パティオで僕を叩いてくれ
今なら、受け入れるから

君と15分間一緒?
ああ、絶対断れないよ
みんなは君の価値がわかんないけど
ああ、僕にはわかるんだ

君と一緒の15分
拒むことなんてできない
みんなは君の価値なんてわかんないんだ
ああ、僕にはわかる
ああ、わかるんだ、僕には
ああ...

昨日の夜、君の夢を見て
ベッドから2回落ちたんだ
君は僕を捕まえて
蝶の標本みたいにピンで留められる
でも「君のベッドで天国に連れてって」
なんてこと、絶対に言わなかったよね
砂糖は2つでお願い
君は最高
でも僕もそうなんだ

ああ、噴水で会ってよ
パティオで押し倒して突いてくれ
ゆっくり受け入れるから
ああ...

君と15分間一緒?
ああ、絶対断れないよ
みんなは君の価値がわかんないけど
ああ、僕にはわかるんだ

君と一緒の15分
拒むことなんてできない
みんなは君の価値なんてわかんないんだ
ああ、僕にはわかる
わかるんだ、僕には
ああ...わかるんだ、僕には

 

Reel Around The Fountain

It's time the tale were told
Of how you took a child
And you made him old

It's time the tale were told
Of how you took a child
And you made him old
You made him old

Reel around the fountain
Slap me on the patio
I'll take it now
Oh...

Fifteen minutes with you
Well, I wouldn't say no
Oh, people said that you were virtually dead
And they were so wrong

Fifteen minutes with you
Oh, well, I wouldn't say no
Oh, people said that you were easily led
And they were half-right
Oh, they...oh, they were half-right, oh

It's time the tale were told
Of how you took a child
And you made him old
It's time that the tale were told
Of how you took a child
And you made him old
You made him old

Oh, reel around the fountain
Slap me on the patio
I'll take it now
Ah...oh...

Fifteen minutes with you
Oh, I wouldn't say no
Oh, people see no worth in you
Oh, but I do.
Fifteen minutes with you
Oh, I wouldn't say no
Oh, people see no worth in you
I do.
Oh, I...oh, I do
Oh...

I dreamt about you last night
And I fell out of bed twice
You can pin and mount me like a butterfly
But "take me to the haven of your bed"
Was something that you never said
Two lumps, please
You're the bee's knees
But so am I

Oh, meet me at the fountain
Shove me on the patio
I'll take it slowly
Oh...

Fifteen minutes with you
Oh, I wouldn't say no
Oh, people see no worth in you
Oh, but I do.
Fifteen minutes with you
Oh, no, I wouldn't say no
Oh, people see no worth in you
I do.
Oh, I...I do
Oh, I do
Oh, I do
Oh, I do


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ザ・スミス/モリッシー全歌詞翻訳・解説

2024-10-25 10:52:26 | ザ・スミス/モリッシー全歌詞

子どもの頃、浅草寺から出てきた人達を母が「シャキョウの人たち」と言っていた。シャキョウとは、写経。子どもだった私は、もうお経はあるのになんで書き写すんだ?コピーでいいじゃん?と思い、なんでそんなことするのか聞くと母は、心が落ち着くのだと言っていた。また、ありがたい言葉を書くことで敬意を表すみたいな。


なんだそりゃと思ったが、その後中学生になりザ・スミスの歌詞を書き写しながら、その意味を知ることになる。
心が落ち着く、同時に熱いもので満たされる。


詞とは、詩とは、不思議だ。


たった短い言葉なのに、読むたびに自分の心の状態で受け止め方が変わる。何度も読んでいても、新たな意味や解釈を発見する。13歳で出会って約40年経つのに、モリッシーの歌詞に対する感情は変わる。

詞は変わっていないけど、私が変わっている。でもどんな自分にも、いつでも響く。


3年前、50歳を迎えた時に、死ぬまでにやりたいことは2つあると思った。そのひとつは、まだ終わってはいないけれど、8合目くらいには来た。そろそろふたつめのことを始めてもいい時期が来たと思った。


そのふたつめとは、モリッシー全40年のキャリアの全歌詞に向き合うことである。


歌詞翻訳、ではなく「向き合う」。今まで日本盤不随のものも含めて歌詞の翻訳はたくさんあるし、絶版だけど『モリッシー詩集』もある。今の時代、自動翻訳もあり、「日本語で読むこと」には誰も困らない。しかしモリッシーの歌詞は、シンプルなのに難解で、解釈も人それぞれであって、終わりがない。そして先述のように、自分の状態によって受け止め方も変わる。


そんなわけで、歌詞の研究と解釈を進めていこうと思った。それで「向き合う」と書いた。誰のためでもなく自分のために、写経スピリットで。

ザ・スミスの70曲と合わせ、ソロキャリアも入れて300曲以上…。死ぬまでの終わるかわからないけれど、少しずつ。時系列の順番通りではなく、ザ・スミスもソロも混ぜながらかも…ということで更新したものは随時お知らせします。


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It's the 65th birthday of Morrissey, the greatest singer~「1984年」いろいろ

2024-05-22 21:40:57 | Morrissey News

本日は、モリッシーのお誕生日。このブログでモリッシーの誕生日祝い投稿をするのも、今年で12年目!!てことは、、、今の自分が、このブログを始めた時のモリッシーの年齢か(干支が同じの12歳違い)。もう、毎年言うことは同じなんだけど、自分も年をとってきたことも重なり、1回、1回の誕生日をお祝いできることの幸せの重みが増しております。

今年も心より…

お誕生日おめでとうございます!

そして昨年の東京公演より、半年なんですね。奇跡のような来日の「余波」はまだまだ続いており、こういう来日時の写真見るだけでニマニマしてしまいます。2023年11月28日の、たった1回の、たった数時間なのに、本当に心揺さぶるものは「量」的なものではないんですよね。数字とか関係ない。

こんなに特別なのに、当の本人には通り過ぎたことなのかな~なんて時々考えていたら大変嬉しい知らせが!!英国在住の、『評伝マルコム・マクラーレン』『ディファイング・グラヴィティ ジョーダンの物語』『服服服 音楽音楽音楽 ボーイズボーイズボーイズ』『ロンリー・ボーイ』などのそうそうたる御本の翻訳家川田倫代さんが、英国で、5月10日のダナ・ギレスピーのライブでモリッシーに会って!!50メートルもの距離を歩きながらご機嫌の本人としゃべって!!(これに関しては、日本語と英語で、詳しくレポートが上がっていましたが現在はアカウントに鍵がかかっており見れないのです)。そこで「私の日本にいる友人たちは去年あなたのコンサートに行ってとても感動していたようですよ」と伝えてくれたのです!!するとモリッシーは「ああ、11月のかい」とニッコリ。

「ああ、11月のかい」

って、覚えてるんだ、あれ、、、これを聞き、私は息苦しくなりました。なんて甘美な響き。

Nothing sounds as good as, "I remember that"
Like a bolt out from the blue, did you feel it too?
I remember that

「ああ、11月のかい 」って答えほど耳に心地良いものってない
ほんとに突然の衝撃だった、、、あなたもそう思った?
ああ、11月を覚えてる

…と、プリファブ・スプラウトの"I Remember That"を勝手に脳内でモリッシー返答バージョンに変えてうっとり祭りを繰り広げました。

盛り上げ役(に勝手にされた)Prefab Sprout さん“ I Remember That” ↓

ほんと、Michiyo-sanのこの出会い、そしてモリッシーの神対応が凄すぎて、彼女は前世でどんだけ徳を積んだのだろう??私もがんばらなきゃいけないけど、この世ではもう無理かもしれない、maybe in the next world, maybe in the next world, maybe in the next world...

そんなわけでこの時Michiyo-sanが一緒に撮ったモリッシーの写真は、ジョブライアスのTシャツを着てとても元気そうで、少しシュッとしていました。Morrissey-soloでその写真は見れます。

そしてよく考えたら今年は2024年。1984年のザ・スミスのファーストアルバム発売から40年なんですね。

『昭和40年男』6月号 (5/11発売 昭和映画特集)の 第2特集「俺たちの時間旅行 タイム・トラベル」のテーマがその1984年で、ザ・スミスが4ページ掲載!!ということで、インタビューしてもらい、今も続くスミス、モリッシーの力について語っておりますので、読んでみてください!

今号、ちょっとどうかしていて、、、1984年ザ・スミス特集、樋口毅宏さんの小山田圭吾氏インタビュー、編集後記…と1冊の中に、何回もモリッシーが出てくる神号です。

樋口さんの小山田さんインタビューの中で「モリッシーマニア」の人が出てきて、「ほうほう、マニアの方がねぇ」と思いながら読んでたら、私でしたwww

とは言えこのマニア、1984年はたかだか中1で、東京の主に浅草の空の下、ザ・スミスに、モリッシーに思いを馳せてた子どもです。

1984年に、その時すでに現場にいていろいろやってたかっこいい人の話の方が聴きたい!

そんな2人のトークショーが今週末の26日(日)にあります!!

その名も『ザ・スミス 1984年』。写真家のロミ・モリさんと音楽評論家保科好宏さんのトークショーです。まだお席はあるとのことです!お問い合わせは、ギャラリーかわまつさんへ。

5月24日より神保町のGALLERY KAWAMATSUさんにて開催されるザ・スミス ヴィジュアルアーカイブ展」のスペシャルイベントで、こちらの写真展では写真家ロミ・モリ秘蔵のフォトを中心に、当時のビジュアル、アートワーク、レアなアナログ盤なども展示されるそうです!全17枚の12インチシングル、6枚のアルバムアナログ盤など、入札制のオークション形式で展示発売。それぞれWEB掲載されているのでリンクから見てみてください。

楽しみです。またレポートもしたいと思います。

あ、今こんな情報も来た。。。

“Heaven Knows I'm Miserable Now”まで40周年て、、、キリがないじゃん!

記念してこちらのハードカバーが発売されるようです(250部限定)。キリないじゃん!!雑誌の表紙が硬いだけだよ??!

でも買うんだろう、おまえ?いっか、誕生日だし!!(っておまえのではない)

この前会ったザッパファンの方が「昨今は毎年周年記念」と言ってましたがこっちも毎年「キリないじゃん!!」と言うことになりそう。

でも!ツイッターでのお祝いメッセージにも書きましたが、人生いろんなことあるけど、モリッシーを好きなことでものすごくマシです。
また来年もお誕生日ブログを元気に書けるよう、生きます!!(モリッシーは元気だから心配ない)。

★過去のお誕生日記事はこちら
It's the 64th birthday of Morrissey, the greatest singer~モリッシー、ジ・アイヴァーズ授賞式にあらわる

It's the 63rd birthday of Morrissey, the greatest singer~新曲“I Am Veronica”を初披露

It's the 62nd birthday of Morrissey, the greatest singer~モリッシーはなぜエイサップ・ロッキーとコラボしたのか

It's the 61st birthday of Morrissey, the greatest singer

It's the 60th birthday of Morrissey, the greatest singer ~『イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語』に思うこと

It's the 59th birthday of Morrissey, the greatest singer ~モリッシーとボールドウィンと『私はあなたの二グロではない』

It's the 58th birthday of Morrissey, the greatest singer ~モリッシー最新インタビュー翻訳

It's the 57th birthday of Morrissey, the greatest singer

It's the 56th birthday of Morrissey, the greatest singer

It's the 55th birthday of Morrissey, the greatest singer


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実録・モリッシーが来た!新豊洲 Five hours with you その5(ラスト)

2023-12-10 23:35:05 | モリッシー来日 2023

前回の続きです。

この土日で最後まで書ききる予定でいたので書きます。

14. The Loop

この曲が始まる前、モリッシーはこう言います。

People will think I am a singer.
I am a psychiatrist. Your psychiatrist.
Too bad for you.

人は私のことを歌手だと思っているが、私は精神科医だ。君たちの精神科医だ。がっかりだね。

私はこれを聞いて、

「何をおっしゃいます」

と口に出して言いそうに。モリッシーの謙譲のsarcasm(英国人特有の思っていることと反対のことや大袈裟に言うユーモア…と言っても時に笑えないことも)だと思いました。と言うのも、モリッシーは自分のことを徹底的に「シンガー」と思っている。ずーっと前から、思っている。

前回のブログでも引用しましたが、

「考えているのは歌のことばかりだ。一日中、一晩中、声、歌、それだけを考えている。私は捕われている、身を捧げている、どう言ってくれても構わない。でもこれが、私の人生だ」

というほどの「シンガー」なのに。ていうか、精神科医さえどうにもできない精神状態に陥ったモリッシーファンたち。そして治療とか、どうにかなりたいなんて思ってもいない私たちにとって必要なのは、お医者さんでなく、目の前の「シンガー」であることを重々承知の上での、自虐的発言、いわゆる「そんなことないよ待ち」発言に笑いました。

このThe Loopは、2021年のRiot Festで2009年ぶりにやるまでは、まったくやってなかったのにいきなり定番化しました。すごい。そういうことがモリッシーのライブではけっこう起こる。

この曲ではマラカスさばきが凄すぎ。昔よりはロカビリー味が薄れたもののウッドベースもかっこいいです。バックドロップは、マンチェスター・サルフォードを舞台にしたドラマ『コロネーション・ストリート』の名物女優ドリス・スピード。

(Photo by ツネグラム・サム)

“I'm still right here”というところで「ここ」を指差していました。「ここ」ってどこかな。新豊洲?

I just wanna say
ただ言いたいのは
I haven't been away
どこにも行っていないよ
I'm still right here
まだここにいるよ
Where I always was
いつもいたところだよ
So one day, if you're bored
だからいつか君が退屈したら
By all means call
もちろんいつでも連絡して
Because you can do
君はそうしていいから
But only if you want to
そうしたいならだけど~!

って、いつもここにいる、物理的な距離関係なく私たちの心の中にいる、マラカスを凶器みたいに振りまわしている「シンガー」に見惚れました。

15. Please, Please, Please Let Me Get What I Want

この前奏が始まると、みんな一瞬息をのんでそして「うぉーーーーー」。美しい。ただひたすら美しい。バックドロップは、アメリカの劇作家リリアン・ヘルマン。ハードボイルド作家であったダシール・ハメットの恋人。

「ザ・スミスの原曲を超えた」と言っていた人がいたけど、ザ・スミスの曲だったことすら私は忘れていた。今ここにいる人が、今の気持ちをすべて込めた曲。

So please, please, please
Let me, let me, let me
Let me get what I want
This time

の部分、仕舞には、祈るように両手を重ねて、震わせPlease, please, please, please, please, please‼と叫んでいました。省略しPleaseしか言っていないのに、何よりもモリッシーの渇望が伝わってきた。

(Photo by ツネグラム・サム)

Twitterでなみすけがこう言っていた。本当にその通り。

16. Everyday Is Like Sunday

美しいピアノソロに続き、太陽の光が差すかのように始まったこの曲。モリッシーはタンバリンを高く上げて打ち鳴らしている。バックドロップはセシル・ビートンの撮ったガートルード・スタインの連続写真。アメリカの詩人、美術収集家、パリに画家や詩人たちが集うサロンを開き、芸術家たちと交流する中で、現代芸術と現代文学の発展のきっかけを作った人だそう。モリッシーは尊敬しているのか、最後バックドロップの方に手を差して紹介(?)みたくしていました。

(Photo by ツネグラム・サム)

こんな美しいメロディーにのせて人が押し寄せてきて胃腸はバリアで押されて死にそう。内臓が飛び出そうになりながらタンバリンに煽られ「On your face! face! face!」とやるのは恍惚の喜びでした。私はもう死んであの世でこの歌を歌っているのかもしれない⁉と思いながら。

17. Jack the Ripper

こライトは真っ赤になり、煙もうもう。とうとう地獄かと思いました。前奏からモリッシーはヘンな声で「あ~あ~」と叫んでいる。バックドロップも恐ろしいアメリカの連続殺人鬼チャールズ・レイモンド・スタークウェザー。19歳で11人を殺害。切り裂きジャックの歌、おぞましさアップです。ドライアイスの煙のにおいがすごくて、むせかえりそうになりました。「今日は多めに焚いてます」といった感じ。

モリッシーは一度ひざまずいておもむろに立ち上がり歌い始める。

Crash into my arms
I want you
You don't agree
But you don't refuse
I know you

で両手を広げてすべてを受け容れるようなしぐさ、ひとことひとことこっちの脳天にぶち込むように歌い、にぐっときます。

そして最後、歌詞にはないのに

“Rats, rats, thousand of rats, millions of rats, their gleaming eyes…these things I give you”

と歌っていました。引用は何か、気になり過ぎて調べたところ『吸血鬼ドラキュラ』の“‘Rats, rats, rats! Hundreds, thousands, millions of them”という一節のもじりではないかと。鼠、鼠、何千匹、何万匹もの鼠、そのギラギラした目、お前にあげたもの…ああ恐ろしい。モリッシーの引用してくるもの、その教養も恐ろしい。何よりも、この曲でライブが終わってしまうことが恐ろしい(涙)。

18. Sweet and Tender Hooligan

アンコール。T.REXのピタTに着替えてお出まし。メンバーひとりひとりの日本への御礼がありました。

なぜT.REXか?宙也様に教えていただきましたが、なんと11月28日はT.REX初来日公演@武道館だったそう。

「モリッシーさんはこの日付を知っていたんでしょうか?偶然だとしてもすごいですね」

と言ってらっしゃったので「驚異の記録マニアだし日付を調べる習性があるので(自伝などの記述では間違ってることもありw)そうだと思います」とお答えしました。ほんと、たぶん狙ってきたのだと思います。

(Photo by ツネグラム・サム)

ピタTで改めてわかるモリボディー!!

このモッシュはすごかった。立つ場所は確保できず、窒息し、内臓がちぎれるかと思った。この時ほど、3時間前にキメたレッドブルと、整骨院で仕込んだ置き鍼、そして16歳から行っていたthe 原爆オナニーズに感謝したことはありませんでした。激モッシュでの身の置き方に慣れていて、よかった!!

3月のロンドンでもこんな感じでしたが、

日本でも人が降ってきました。これはハードコアパンクのギグでしょうか?いいえ64歳の歌手の40周年ライブですw

後から降って来た人は知ってる子だとわかりました。「母さん、頭の上からヨウイチが降ってくるよ!!」

↓犬神ってるヨウイチの長い脚

バックドロップにはアメリカのシットコム『サンフォード・アンド・サン』。登場人物のフレッドと仲の悪い義姉エスターおばさんが喧嘩していて(お約束らしい)煽られるwあれよあれよという激しいサウンドの中、あらかじめ首リブ部分がカットされていて「引きちぎり」やすくなっているTシャツを破り捨てて投げてライブは終わる。

(Photo by ツネグラム・サム)

投げシーンを奇跡的に写したKeiko Hirakawaさん撮影の一枚が素敵すぎて、プリントして額に入れました。モリッシーの身に付けていたものが与えられる、「聖体拝領」のよう。

このTシャツをゲットした5~6人で分割。私もいただきました。この分割をさばいてくれたスタッフのお兄さんが頼もしくて仕切り能力と記憶力が凄くて、ただのひとりも「ズル」を許さず管理してくれて凄かったです!!ありがとうございました。

帰ってすぐにジップロックに。コムデギャルソンのアヴィニヨンの香りがまだする。私からもするけど(つけているから)、またちょっと違う。

そんなわけで、5時間の新豊洲はあっという間に終わってしまった。それなのに、自分の中でぜんぜん終わらない。どうしよう。どうしようもしないけど。

とりあえず、ライブの記録は終わり。

最後のバックドロップ。ジャン・コクトーの映画『詩人の血』。

そうそう、ライブ後。色んな人にあいさつしたり写真を撮っててふと、パーカーにつけてたWITHOUT MORRISSEY THE WORLD DIES”バッジを、鬼モリッシュ状態時に落としてしまったことに気が付いた。Londonでもらった大切バッジなので三千人が追い出された豊洲PITに、バックドラフトの消防士のようにひとり戻り、取りに行った。

だだっ広い空間、ステージ前のフロアで私を待っていた。

傷だらけになってたけど見つけた。「あったーーー!!」と叫ぶが誰もいない。私を咎めに来たスタッフさんに「ありましたーーー!」と喜びを強要。「良かったスね」と言ってくれた。ほんとに良かったス!!

「そんなことないよ!」って人には言われるかもだけど、11月28日にあの場でモリッシーを観た人はわかってくれるかも、

モリッシーがいなきゃ、世界は死ぬ。

モリッシーごときで世界、死なないかもだけど、私たちの「世界」は死ぬ。

こうありたい世界。こうでいたい世界。

モリッシーが日本に来てくれたから、これからも私たちの「世界」は続く。
またきっと、モリッシーは日本に来ると思う。


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