前回その8の続きです。
久々にブログ書いたら消えました。なんの呪い。長年ブログやってて、こんなの初めてです。
ブログの内容は呪われた幻のアルバム『ボンファイヤー・オブ・ティーンエイジャーズ』(“Bonfire of Teenagers”)のことでした。
同じもの書ける気がしないけど、とりあえず書きます。
ブログ書いていない間に、モリッシー南米公演デング熱キャンセルとか、アメリカでのテレビ出演とかいろいろあったな。。。モリッシーを好きなことは、乱気流の中にいる飛行機のようなものだ…とか書いてて、いろいろある間にしゅーげに教えてもらったこんなものを作ったりしていたと書いたのでした。
うーん、前回のブログが、2020年の終わり、
2020年
11月
●所属レコードレーベルBMGレコーズの契約を切られる
だったけど、年明け割と早々に、「BMG切られた後初」のニューアルバム完成を発表するのです。
2021年
5月
●『ボンファイヤー・オブ・ティーンエイジャーズ』完成を発表
モリッシーは「人生の最高傑作」と評するニュー・アルバムをリリースすることを誇らしげに発表します。ティーンエイジャーの頃の自分の写真を使ったアートワークとトラックリストも公開され、お、具体的、「きっと来る~!」と思いました。しかもモリッシーは、「最も高い契約金を提示したレーベルからリリースするぜよ」と威張っていました。
が、このアルバムはいまだにリリースされていません。
実は2022年10月、最終的にアメリカのキャピトル・レコーズと契約することが決まりはしました。2023年2月にイギリス以外の世界各国でこの新アルバムがリリースされることになります。「契約しているレーベルがないので、イギリスは除く」とのことなので、すでに不穏な空気が流れていたのですが…。
このアルバムは本当に豪華で、プロデュースは今をときめくアンドリュー・ワット。2020年のグラミー賞で年間製作者賞を受賞しており、ジャスティン・ビーバーと共作した大ヒット曲「ピーチズ feat. ダニエル・シーザー&ギヴィオン」は、米ビルボード・ソング・チャートHot 100で1位。エルトン・ジョン、エド・シーランなど、大物アーティストのプロジェクトにも参加。今年リリースされたローリング・ストーンズの 最新アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』 ..のプロデュースも手掛けています。まさに「一流プロデューサー」。またゲストはレッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス、フリー、ジョシュ・クリングホッファーの他、マイリー・サイラス、イギー・ポップ、ジェシー・トバイアスと、これまた凄い。
嬉しいのは、キャピトル・レコーズは新作のリリースに加え、『サウスポー・グラマー』、『ユー・アー・ザ・クワーリー』、『リングリーダー・オブ・ザ・トーメンターズ』、『イヤーズ・オブ・リフューザル』、『ワールド・ピース・イズ・ノン・オブ・ユア・ビジネス』再発の権利も獲得しているとかで、再発盤たくさん出たらモリッシー界隈がモリ上がる~と期待していました。
ところが、早くも翌月の11月には雲行きが怪しくなりました。
当初アルバムは2023年2月に出るとのことだったのに、リリース日が延期されており「その運命はもっぱらキャピトル・レコードの手にある」とモリッシーが言い出しました。「え、運命ってどういうこと??」と思っていたら、12月23日に、「自主的にマーヴェリック/クエスト・マネージメントと決別」し、「自主的にロサンゼルスのキャピトル・レコーズとの関わりから身を引くことにした」と発表したのです。「自主的に」「自主的に」ってあら、自主性があるのねえ~とか感心もできない急変事態。何が起きたのでしょうか。
キャピトル・レコーズがアルバムのリリースを進めるのかはこの時点で明らかになっていなかったのですが、アルバムに参加したマイリー・サイラスが、約2年前に「自主的に」バッキング・ヴォーカルを務めた“I Am Veronica”をなかったことにしたがっているというのです(またもや自主的…)。
2020年にはこんなに仲良かったのに…。
2021年にもマイリ―、スミスT着ています!
いっぱい持ってるよ。
この話、最近もまた出てきましたが、マイリ―の不本意だけが理由なら、“I Am Veronica”はアルバムの1曲目なのでとっちゃえばいいじゃん、と思うのですが、アルバムはアーティストにとって総合芸術作品であり、それは難しいのでしょうか。そもそもマイリ―が「自主的に」だったのに、「やっぱイヤ」と言い出したのを受け容れられないのか…と思ったけど、そういうわけでもなく、モリッシーは後で、マイリーが抜けたのはモリッシーではないこの件に関わる「大物」といざこざがあったことが原因だと言っています。メディアは「きっとマイリ―はモリッシーの政治的信条がイヤなせいだ!」と言いたがりますが、そういうのじゃない模様。モリッシーも「マイリ―と過ごした1分1秒は愛に溢れ、可笑しかった」と、振り返っており、マイリ―に対してムカッとかはない感じ。この呪われたボンファイヤー問題の原因、マイリ―個人がゴネたとかどうこうとか単純なことではないなと思いました。
私の当時のツイッター。ガッカリ―・クリスマスでした。
でも希望は捨ててなかったのに、年明けにまたまたバッドなニュースが来ます。
2023年
2月
●かがり火(ボンファイヤー)が消されたことを発表
スミスは「いつまでも消えない光がある」と歌いましたが、あっさり火が消えたことが知らされます。
「消されたかがり火」
ユニバーサル・ミュージック・グループにとってモリッシーは「異質過ぎ」。
キャピトル・レコード・ロサンゼルスは結局、モリッシーの2021年のアルバム『ボンファイヤー・オブ・ティーンエイジャーズ』をリリースしない。
同時に、このアルバムを所持しているのはキャピトル・レコード・ロサンゼルスだ。
正式にキャピトル・レコード・ロサンゼルスと契約したというのに、モリッシーの名は、ウェブサイトやアーティスト名簿に載っていない。
モリッシーは、キャピトル・レコード・ロサンゼルスが『ボンファイヤー・オブ・ティーンエイジャーズ』を世に出すことを妨害するために契約したとは思っていないが、すぐにその考えに同調しそうだと語っている。
BMGに続きまた“diverse”がらみの決裂です。モリッシーほど「ダイバーシティ」に恨みを持っている人はいないのでは。多様性に意識高い系のレーベルからは、異質に不寛容な心の狭いアーティストとして排除され、多様性に鈍いレーベルからは、その異質さを受け容れてもらえない。“diverse”を意識することは、愛と平和と協調のためだと言われがちですが、モリッシーにとっては「多分来世」のことであり(Death of a disco dancerで予感)、モリッシー、三界に家なし、です。
そんなわけで『ボンファイヤー・オブ・ティーンエイジャーズ』はいまだに世にでず、ぬか喜びの火は消えてしまいました。いえ、ファンは諦めてなんかいないんですけどね!そしてこのアルバムからの曲は、ライブでは元気に披露中。
このアルバムで、特に”Sure Enough, The Telephone Rings”が好きなんですけど、ライブで聴くのが最高なんじゃないかと思います。
この初披露した時の映像冒頭で、「バッドニュースが来るなって思う時はいつも…」とモリッシーが言ってますけど、モリッシーがらみの数々のバッドニュースが来るたび、絶望的にバッドな感じがしない。それはこうやって力強く、いい意味でふてぶてしく、元気に歌っているからであって、この姿さえ見せてくれれば、「あ、またバッド!?どんまいどんまい」と思えるのです。いちいち、イヤではあるけど。だから、ほんとにほんとに、1カ月後に日本でモリッシーを観たいですよね。おい、頼むよ。
Morrissey - Sure Enough, The Telephone Rings, Las Vegas NV, July 1, 2022 (Live Debut)
先日10月20日のGood Day New Yorkでも "Sure Enough, The Telephone Rings"のスタジオ演奏がオンエアされました。直後にアップされていたYoutube映像は日本から見えなかったけどこちらは見える。Rosanna Scottoの食い気味のインタビューも見れます。
Morrissey "Sure Enough, The Telephone Rings" Performance and Interview
そんなわけで、消えたのを思い出しながら書いてたけど、ほぼこんな内容でした。書けてよかった。もう呪われないように、最後にもう一度おまモリをのっけておこう(今日はこの写真)。