☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『三年身籠る』(2005)

2014年07月20日 | 西島秀俊さん☆映画
『三年身籠る』(2005)

監督・脚色:唯野未歩子
冬子:中島知子
徹:西島秀俊
緑子:奥田恵梨華
海:塩見三省
桃子:木内みどり

【作品概要】
女優の唯野未歩子が初監督を務めたファンタジー。3年もの間、妊娠し続けた女性と、彼女を取り巻く人々の騒動をユーモラスにつづる。

【感想レビュー】
面白いシーンの数々を、たまに思い出してはフフフと笑ってしまう作品です

初めて観た時は、ファンタジーと分かりながらも、そして随所のユーモアを楽しみながらも、妊娠の扱い方に、生理的に…倫理的に…?、違和感を感じてしまったのですが、観ていくうちに作品のテーマが伝わってきて、そこは越えられました

冬子が、祖母と母と妹と、食卓を囲む様子は、実に印象的です。彩豊かな料理の数々。会話の中身。そこからは、男性の介入を許さない何かを感じさせます。
徹が冬子に作ってあげる料理が並ぶ食卓と対照的で面白かったです。
メンチカツやゴーヤチャンプルー

実家の祖母や母は、なんだか徹を軽視していて、それは徹というより、男性を軽視しているところからきている空気なのでしょうけど、自分がやられたら不愉快だなぁ…と思いながら観ました
そして、冬子を迎えに来た徹に、開かなくて不便していたビンや缶が所狭しと並べられたトレーをいそいそと目の前に置くシーン
徹さん、凄いハイペースで蓋を開けていくシュールなシーンですが、あぁ口元に不機嫌が表れていますね

そして、女系家族の環境で育った冬子は、『お父さん』に手紙を書き続けます。徹は、途中からそれが自分に宛てられたものとして受け取っていますけど、あれはどうなのだろう…。違うような…解釈ですけども。

冬子を演じる中島知子さんの何とも言えない表情と、西島さん演じる徹の無邪気さとが化学反応を起こしている奇妙でユーモラスな映画です

『ゴーストライター』(2010)

2014年07月18日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ゴーストライター』(2010)

監督・脚本:ロマン・ポランスキー
ゴースト:ユアン・マクレガー
アダム・ラング:ピアース・ブロスナン
アメリア・ブライ:キム・キャトラル

【作品概要】
ロマン・ポランスキー監督がベルリン国際映画祭最優秀監督賞を受賞したポリティカル・サスペンス。脛に傷持つ政治家の回顧録を書くことになったゴーストライターが巨大な陰謀に巻き込まれていく姿を緊迫感あふれるタッチでリアルに描き、最後まで飽きさせない。イギリスを代表する実力派スターたちの演技対決も見応えあり。(Movie Walkerより)

【感想レビュー】
すっごい面白かったです
最初から最後まで飽きないサスペンスって…あまり無いのですが、この作品は凄いー!

サスペンスなので、あまりネタバラしは出来ませんが…。

ユアン・マクレガーが、時おり皮肉を言うユーモアなキャラクターを抑えた演技で魅せるところも良かった。でもその一方で、誠実なキャラクターなのも伝わってくる。けれども据え膳は食ってしまう人間的な…男性的な…?一面も面白かった!…で、とにかく魅力的な主人公なのです

謎解きのヒントは、色々と散りばめられていますが、黒幕も彼の運命も、映画の最後まで分かりません。
映画の残り10分をきって尚、どっちに転ぶのか分からない手口は、もはやポランスキー監督の手口なのでしょうね…
今まで観た作品でもそうでしたし

『ゴーストライター』、ストーリーも、画も、俳優陣も、総て素晴らしかったです

『水の中のナイフ』(1962)

2014年07月16日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『水の中のナイフ』(1962)

監督:ロマン・ポランスキー
脚本:イエジー・スコリモフスキ
ロマン・ポランスキー
ヤクブ・ゴールドベルク(英語版)
出演者:レオン・ニェムチック
ヨランタ・ウメッカ
ジグムント・マラノウッツ
【作品概要】
ヨットという閉ざされた空間を舞台に、歪んだ男女の関係を大胆に描き出した、鬼才ロマン・ポランスキー監督初の長編作品。

【感想レビュー】
うわぁぁ
凄い映画を観てしまいました!

夫婦の関係性を描いた作品で、こんなにしっくりくる作品は初めてかもしれません。…なんか、そういうものだよなぁとジワジワきております

些細な些細なちょっとしたズレを、一つ一つ心の奥深くにしまって、鎮めて…表面を穏やかにする。まるで穴なんて無いかのように…。でもそこを掘り下げられてしまうような非日常が訪れたら…‼そんな空間に遭遇してしまったら…!!

恐ろしい…恐ろし過ぎる…

この作品は、幾度もやってくる週末を湖のヨットで過ごし非日常を楽しむ事にしている夫婦の、非日常のさらなる先を描いています。
日常と非日常の境目など、ほんの少しの揺らぎである…と言わんばかり。まるで、湖の穏やかな水面の揺らぎほどである…
知らない間に越えてしまうことだってあるかもしれない。

夫、妻、青年のたった3人の登場人物。見えない何かがその間に流れます。

あまりにドラマティックな展開、そして収束がとっても素晴らしかったです

観て良かったー!

『セイジ 陸の魚』(2011)

2014年07月13日 | 西島秀俊さん☆映画
『セイジ 陸の魚』(2011)

監督:伊勢谷友介
セイジ:西島秀俊
僕(二十歳):森山未來
翔子:裕木奈江
カズオ:新井浩文
渋川清彦
滝藤賢一
僕:二階堂智
ゲン爺:津川雅彦

【作品概要】
謎めいたドライブインの店主の男と、彼とその周囲の人々に惹かれて店で働くようになった青年の触れ合いを通し、一筋縄ではいかない人と人とのかかわり合いが描かれる。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】
夏になると、セイジが観たくなります
観るたびに感じ方が違う作品です。

メッセージ性の強い映画なので、楽しんで観る…というよりは、毎回考えながら観ます。
地球上で起きる色んな元凶に対して、一体何が出来るのか…そういった事について、考えるだけではなく、実際にアクションを起こす、というのが伊勢谷監督ご自身のスタンスなのでしょうけど、セイジの存在というのは、もっとどこか抽象的であり、包括的な立ち位置だったりします。そしてその在り方は、どこか憧れる存在だったりします。(…が、そのセイジが何かアクションを起こすとなると、その振れ方は常軌を逸するのですが…。)

“僕”は、セイジにどこか憧れ、そしてセイジを観察していくうちに、それは違うのではないだろうか?と反発心も感じていくわけです。揺れ動くのです。“旅人の僕”の視点を通して、私も自分の在り方について考えさせられます。

うまく言えないのですが、この映画のテーマ自体が、どこか傲慢な気がして、実はあまりしっくりこない面もあります…。言いたい事をもう少し抑えた方が、かえって伝わるのではないか、考えさせられるのではないか…などと偉そうに思ったり…

でも好きなシーンが多いのと、俳優陣の演技が素晴らしいのとで、やっぱり好きな作品なのですが…
森山未來さんは、“僕”の心の機微を本当に繊細に演じられていて、惹き込まれますし、西島さんの異次元に居るのか…?…な演技に毎回震えます!

それにしても、撮影は秋だったとのことで、すっかり夏に観えていたので、映画って凄いなぁ…役者って凄いなぁ…と改めて思いました

『後宮の秘密』(2012)

2014年07月09日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『後宮の秘密』(2012)

監督:キム・デスン
チョ・ヨジョン
キム・ドンウク
キム・ミンジュン
パク・チヨン
チョ・ウンジ
イ・ギョンソン
パク・チョルミン

【作品概要】
望まないまま王の側室になった美しい女性が、欲望と陰謀の渦巻く宮中で運命に翻弄(ほんろう)されながらも必死に生き抜こうとする姿を描く。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】
そういえば話題作だったような…と思い、WOWOW録画で観ました

思ったよりも、ドロドロはしていなかったです(大奥のドラマの方がよっぽど…)。
映像も綺麗なら、女優さん達もお綺麗なのですが、顔があまりに左右対称過ぎて、作り物みたいに観え過ぎて…ごほごほっ、最初はなかなか気が散ってしまったのですが…(『嘆きのピエタ』の時もそうだった…)。
作品の本質から気が逸れてしまうので、そこがいつも私の中でネックなのです…韓国映画…。

観ていくうちに、日本の大奥と同じだな…と思い始めました。
限りなくその地位に近い位置に居る時、母は自分の息子の覇権を望む。
それは、息子を愛する故なのか。それとも、その大義名分にしがみつくうちに、いつしか大切な事を見失い、自分の為になっている事もしばしばありそうですが…。

いずれにしても、女性の強さと怖さ、美しさが描かれています…

そして、庶民にとって、また後宮に仕える下々の者達にとってさえ、王や王の周辺の者達の生活や考えている事などは、あまりに雲の上の出来事なのである…

朝廷、後宮という装置に皆が翻弄されてしまう…哀しいですね
ラストの画は、ピエタ像を連想するものでした。クリスチャンの多い韓国では、ピエタ像は身近な存在なのかなぁと思いました。

そして、『ゲノムハザード』にも出すている、イ・ギョンヨン さんが出ていて、なんだか嬉しかったです
この作品の方がいい役どころだし、とっても良かったですけども…

なんだかんだ、楽しく観ました