金融界が「郵政改革・金融相 亀井ショック」に揺れている

2009-09-18 | 政治

亀井流劇薬 「中小向け返済猶予」法案、反発よそに成立構え
産経ニュース2009.9.18 13:07
  金融界が「亀井ショック」に揺れている。郵政改革・金融相に就いた国民新党の亀井静香代表が、中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済を一時猶予する「モラトリアム法案」を今秋の臨時国会に提出し、早期成立を目指す考えを打ち上げたためだ。銀行への猶予の強制が法制上可能かという問題に加え、不良債権の増大やモラルハザードなど副作用を指摘する声もあるが、銀行への不信感を募らせる亀井氏の勢いはとまりそうにない。
証券大会で怪気炎
 「『少々行儀が悪い』といわれる亀井静香ですが、世の中を良くするには、場合によっては思いっきり行儀も悪くしながら全力で頑張ります」
 17日に東京・大手町で開かれた全国証券大会であいさつに立った亀井氏はこう怪気炎をあげた。
 就任直後に行われた17日未明の記者会見でも「反発が出るというのは、反省が足らない」と、銀行を痛烈に批判。「金融機関が社会的使命を果たしていない。だから国が出ていかざるを得ない」と、法案の正当性を強調した。
 亀井氏が成立を目指すモラトリアム法案は、民主、社民、国民新の与党3党が連立政権樹立の政策合意に盛り込んだ「貸し渋り・貸しはがし防止法」だ。資金繰りが苦しい中小企業に借入金の返済を3年程度、猶予(モラトリアム)したり、金利などの貸し付け条件を変更できる措置を盛り込むことを想定している。個人に対しても失業や所得の減少で支払いが苦しくなった住宅ローンに同様の救済措置を盛り込む考えだ。
金融界に戸惑い
 金融界は戸惑いと反発を隠さない。全国地方銀行協会の小川是会長は16日の会見で「貸し渋り、貸しはがしの状況はない」と異議を唱えた。ある大手銀行幹部は「返済がストップすれば経営への影響が出かねない」と懸念を示す。

 実際、法整備に向けたハードルは高い。金融庁幹部は「既存の貸し付け契約について、国が銀行に対し、強制的に猶予に応じさせることが可能かどうか不明」と指摘する。返済猶予の対象企業をどう線引きするのかや、猶予後に倒産などで回収不能となった場合の損失は誰が負うのかなど、制度を設計する上でも難題は山積している。銀行に代わり、国が損失を補填(ほてん)する場合、新たな予算措置も必要になる。
「モラルハザード招く」
 返済猶予が副作用を伴う劇薬であることも確かだ。日興シティグループ証券の野崎浩成マネジングディレクターは「企業や個人のモラルハザードを招き、金融機関の不良債権も増やしかねない」と警告する。
 10年前の自民党政調会長時代の亀井氏を知る金融庁幹部は「方針を決め、その方向に官僚を誘導する手腕は認めるが、金融界との摩擦が心配」と話す。金融界と担当相の間に大きな溝ができ、金融行政が機能不全に陥る懸念もぬぐいきれない状況だ。(藤沢志穂子)

日経新聞 社説1 亀井さん、冷静に企業金融支援を考えて(9/18)


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