控訴審焦点に筧千佐子被告の「認知症」どう評価 1審「軽症」 弁護側「重度」 青酸連続殺人

2019-02-22 | 死刑/重刑/生命犯

控訴審焦点に筧千佐子被告の「認知症」どう評価 1審「軽症」 弁護側「重度」 青酸連続殺人
2019/2/22(金) 6:01配信 毎日新聞
   高齢男性が次々と命を落とし、世間を震撼(しんかん)させた青酸連続殺人事件。1審・京都地裁で死刑判決を受けた筧(かけひ)千佐子被告(72)は、面会した記者に全事件への関与を認めた。一方、弁護側は3月1日に大阪高裁で始まる控訴審で、改めて無罪を主張する方針。重度の認知症だとして、訴訟を続けられるか調べる再鑑定を高裁に求めている。
 1審では主に、青酸による毒殺事件か▽筧被告が犯人か▽認知症の影響があったか――の3点を巡り、検察側と弁護側の主張が真っ向から対立した。
  検察側は、筧被告が遺産などを目的に、被害者4人に健康食品と偽って青酸入りカプセルを飲ませたと主張。しかし直接証拠は乏しく、うち2人の遺体からは青酸が検出されなかったため、弁護側は「事故や自殺の可能性が否定できない」と反論した。
  筧被告の発言は大きく変遷し、裁判員裁判による法廷は混乱した。初公判では「全て弁護士に任せてある」とだけ話したが、検察官による被告人質問で夫を毒殺したか問われると、「間違いないです」と認めた。
  しかし、2日後の弁護側の質問には「(検察官に話したことを)覚えていない」と返答。内縁の夫が死亡した事件についてはいったん「毒を飲ませた」と認めたが、後に「殺したイメージが湧かない。何のメリットがあるのか」とも述べ、発言は二転三転した。裁判官に「わたし殺してますか」と尋ねる場面もあった。
  ただ判決は、検察側の主張を全面的に認定。夫殺害について「ほぼ一貫して犯行を認めている」と指摘し、他の3事件は捜査段階の自白の信用性を認めた。認知症は軽症だとして、責任能力や訴訟能力もあると判断した。
  今回、拘置所で面会した記者に対し、筧被告は一度も事件への関与を否定することはなかった。死刑を受け入れる姿勢も一貫していた。
  1審では最後まで遺族に謝る言葉はなかったが、記者には謝罪や反省の気持ちがあると強調。「ごめんなさいと言うしかないが、遺族には伝わらない。私があやめたんだから、きれい事は言いたくない」と打ち明けた。
  控訴審では、認知症の影響をどう評価するかが大きな争点となる見込みだ。京都地裁が公判前に行った精神鑑定では「軽度の認知症だが、責任能力や訴訟能力に問題はない」とされた。弁護側は「認知症の影響で裁判を続ける能力がない」と訴えて再鑑定を求めたが、地裁は却下した。
  控訴審でも、弁護側は起訴内容を全て否認し、無罪を主張する方針。事件当時も認知症の影響があったとして、筧被告の責任能力についても争う。【戸上文恵、遠藤浩二】
■専門家による再鑑定を 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話
 認知症の被告が増えることは、高齢化社会では避けられない。裁判の意味が分かることや、弁護人と円滑なコミュニケーションを取れることが、訴訟能力の基本になる。1審では、被告はいったん「黙秘する」と言ったのに、検察官の質問に答えるちぐはぐな場面があった。認知症の影響だろう。控訴審では、認知症の進行度について、裁判官、検察官、弁護人が共通の理解を持つため、専門家による再鑑定を行うべきだ。
 最終更新:2/22(金) 6:07 毎日新聞

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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4人に青酸「死刑、覚悟できている」青酸連続殺人事件 筧千佐子被告が記者に心境 2019/2/21
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