介護施設職員による高齢者虐待 過去最多の408件
NHK NEWS WEB 2017/3月21日 17時27分
お年寄りが一緒に暮らす家族などから虐待を受けた件数は、昨年度、全国で1万6000件余りに上り、このうち介護施設で職員から虐待を受けた件数は408件で過去最多になったことが厚生労働省のまとめでわかりました。
厚生労働省は全国の自治体を通じてお年寄りへの虐待の件数を毎年、まとめています。それによりますと、昨年度、お年寄りが一緒に暮らす家族や施設の職員から虐待を受けた件数は、前の年度より345件多い1万6384件でした。
このうち家族などからの虐待は1万5976件で、内容について複数回答で聞いたところ、「身体的虐待」が全体の67%と最も多く、次いで暴言などの「心理的虐待」が42%、オムツをかえないなどの「介護放棄」が21%、「経済的虐待」が20%などとなっていました。
虐待を受けた人のうち20人が殺人などによって死亡していました。虐待したのは、息子が41%と最も多く、次いで夫が21%、娘が17%でした。
また、介護施設で職員から虐待を受けた件数は408件で前の年度より108件増え、9年連続で過去最多を更新しました。
施設での虐待の要因については、介護する側の知識や技術の問題が66%と最も多く、次いでストレスや感情のコントロールの問題が27%でした。
厚生労働省は都道府県に対して、虐待の相談窓口の周知を徹底することや介護施設の職員への研修を行うことなど対応を急ぐよう通知を出すことにしています。
■専門家「自治体への通報や相談の徹底を」
高齢者の虐待問題に詳しい日本大学文理学部の山田祐子教授は「高齢者の虐待の理解はまだまだ進んでおらず、通報によって明らかになっているケースは氷山の一角だと思う。介護する側が、一生懸命やっているから虐待ではないと考えるのではなく、虐待だと捉えることから解決は始まるので、自治体への通報や相談を徹底することが重要だ」と指摘しています。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
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介護施設職員の高齢者虐待、15年度は最多の408件
日本経済新聞 2017/3/21 23:24
厚生労働省は21日、2015年度に特別養護老人ホームなどの介護施設で発覚した職員による高齢者への虐待は408件だったと発表した。前年度比で36.0%増え、過去最多を更新した。家族や親族などによる虐待は同1.5%増の1万5976件で3年連続の増加。問題意識の高まりで相談・通報件数が増えており、表面化するケースが増えている。
調査は06年度に施行した高齢者虐待防止法に基づき、全都道府県と全市町村が相談や通報を受けて把握した件数をまとめた。
介護施設の職員による虐待の被害者は778人で1人が亡くなった。職員による虐待で死亡したのは同年度に調査を開始して以来初めて。虐待を受けた高齢者の状況をみると、要介護度3以上が622人と79.9%を占めた。
虐待の種類別(複数回答)では、殴る蹴るなどの「身体的虐待」が最も多く478人(61.4%)。暴言を吐くなどの「心理的虐待」は215人(27.6%)、おむつを替えないなどの「介護放棄」は100人(12.9%)だった。
虐待の要因(複数回答)は、認知症への理解不足といった「教育・知識・介護技術などに関する問題」が246件(65.6%)と最多。「職員のストレスや感情コントロールの問題」が101件(26.9%)で続いた。
一方、家族や親族などから虐待を受けた被害者は1万6423人で、このうち20人が亡くなった。虐待の要因(複数回答)は「介護疲れ・介護ストレス」が1320件(25.0%)、「虐待者の障害・疾病」が1217件(23.1%)、「被虐待者の認知症の症状」が852件(16.1%)の順だった。
◎上記事は[日本経済新聞]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
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