裁判員判決、破棄率1割超 裁判員の辞退増加「雇用情勢の変化が影響か」 制度開始8年 2017/5/21

2017-05-21 | 裁判員裁判/被害者参加/強制起訴

2017/5/21 06:30神戸新聞NEXT
裁判員判決、破棄率1割超 制度開始8年
 裁判員裁判で市民裁判員が下した一審判決を、プロの裁判官のみで審理する高裁(控訴審)判決で破棄する割合(破棄率)が高まっている。2016年に控訴審を終えた376人中、約13%の49人で一審が破棄された。10年と比較すると約8・4ポイント上昇した。裁判員制度は21日で開始から8年。市民感覚が反映された一審判決を、控訴審でどこまで尊重すべきかが課題となっている。(田中宏樹)
 最高裁の司法統計によると、裁判員裁判の控訴審での破棄率は、10年が4・6%。11~13年も1桁台だったが、14年に11・3%、15年には14・2%にまで上昇し、16年は約13%だった。一方、一審が通常裁判の控訴審判決では、11~15年の破棄率は9%台で推移し、16年は11・2%に上った。
 最高裁の司法研修所は裁判員制度スタート前年の08年、「裁判員による判決を二審もできる限り尊重すべき」との見解を示しているが、控訴審での破棄率は、14年から3年連続で通常裁判を上回っている。
 今年は大阪高裁が3月、神戸市の小1女児殺害事件の君野康弘被告(50)と大阪・ミナミの通り魔殺人事件の礒飛(いそひ)京三被告(41)に対し、裁判員裁判で審理された一審の死刑判決をいずれも破棄し、無期懲役とした。控訴審は計画性の程度や従来の量刑との公平性を重視した。
 甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「市民の良識を生かした判決を積み重ねるのが裁判員制度導入の目的だった。裁判官が従来の判例や量刑を優先し、裁判員の判断を尊重する考えを失っているのではないか」と指摘する。
 一方、裁判員制度に詳しい関西学院大法科大学院の丸田隆教授(英米法)は「控訴審判決は高裁が適正な手続きで一審判決を是正したもの。裁判員による判決の破棄率が高いのは、一審の判断を軽視しているのではなく、司法制度として正しく機能した結果と言える」と話した。

 ◎上記事は[神戸新聞NEXT]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
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産経WEST 2017.3.10 12:32更新
【神戸女児殺害】減刑5例目「裁判員死刑」覆る…”市民感覚とのズレ”浮き彫りに
 神戸市長田区の小1女児殺害事件で、大阪高裁は10日、1審裁判員裁判の死刑判決を覆し、被告に無期懲役を言い渡した。高裁が裁判員裁判の死刑を破棄するのは、前日の心斎橋通り魔事件に続き、これで5例目となる。「国民の常識を刑事裁判に反映させる」というのが裁判員裁判の主眼だったが、「究極の刑罰」の選択にあたって、市民感覚と職業裁判官の考え方が大きく違うことが浮き彫りになった。
 殺人事件の被害者が1人の場合、昭和58年に最高裁が示した「永山基準」に照らして、これまでも死刑が回避される傾向にあった。永山基準は、結果の重大性(特に被害者数)など9項目を総合的に考慮し、やむを得ない場合に死刑選択が許されるとした。
 今回を除いて、被害者が1人の事件で、裁判員裁判で死刑が言い渡されたのは過去3件。うち1件は被告側が控訴を取り下げて死刑が確定したが、他の2件はいずれも上級審で死刑が破棄されている。

  

 破棄1例目の東京・南青山の強盗殺人事件は「1審は前科を重視しすぎた」と指摘。2例目の千葉県松戸市の強盗殺人事件は、殺害の被害者が1人で犯行に計画性がないことを被告に有利な事情とした。
 この2件の上告は、いずれも最高裁が棄却。死刑の是非については、「永山基準」に基づいて検討が重ねられてきたことを考慮し「公平性の確保も踏まえて議論を深める必要がある」と指摘した。裁判員裁判でも先例を重視するよう求めたと解釈されている。
 神戸小1女児殺害事件の控訴審では、検察側と弁護側が同種事件の先例を提示して死刑の是非を争った。検察側は量刑判断のポイントとして、わいせつ目的であることや犯行が残虐である点を挙げ、「これらをあわせ持つ事例は他に例がない」と主張。一方、弁護側は、死刑選択で最も重視されるべきは被害者の数だとした上で、わいせつ目的や計画性がなかったことを強調していた。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です  * リンクは来栖 
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最高裁「死刑は生命を奪い去る究極の刑罰 過去の判例踏まえた議論を」=裁判員裁判の死刑判決 認めず 
裁判員裁判の死刑破棄2件 / 裁判員法=「国民の常識を裁判に反映させる」とは書いていない 
東京高裁 裁判員の死刑判決 初めて破棄 (東京・南青山)強盗殺人などの罪に問われた伊能和夫被告 2013/06/20
<裁判員裁判>初の死刑破棄確定へ 千葉大生・荻野友花里さん強殺 竪山辰美被告 2015/2/4 
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裁判員の辞退増加 最高裁「雇用情勢の変化が影響か」
 NHK NEWS WEB 2017/5月20日 19時29分
 裁判員制度がスタートして21日で8年ですが、裁判員の候補者が参加を辞退する割合が上昇していて、最高裁判所が初めて原因を分析したところ、非正規雇用の増加といった雇用情勢の変化などが影響している可能性が高いとする結果がまとまりました。
 裁判員の候補者が参加を辞退する割合は、年々上昇していて、制度がスタートした平成21年は53.1%だったのに対し、おととしは64.9%に上っています。
 これを受けて、最高裁判所が去年からことしにかけて民間の調査機関に委託して初めて原因の分析を行ったところ、非正規雇用の増加や人手不足といった雇用情勢の変化のほか、審理の長期化などが影響している可能性が高いとする結果がまとまりました。
 このうち雇用情勢への影響については、非正規雇用の増加に伴うような形で辞退率が上昇していることを根拠の1つとしています。
 非正規雇用の労働者の数は、総務省の統計では、裁判員制度が始まった平成21年は1727万人でしたが、おととしは1986万人に増えました。そして、辞退を申し出た候補者のうち仕事を理由に挙げた人の割合も、平成21年は全体の13%だったのに対し、おととしは18.6%に増えています。
 また、ことし1月から2月にかけて、全国の20歳以上70歳未満の男女5000人を対象に、インターネットを通じてアンケート調査を行ったところ、「裁判員裁判に参加したい」、または「参加してもよい」と答えた人の割合は、正社員では合わせて31.8%だったのに対し、派遣社員では24.5%、パートとアルバイトでは18.6%にとどまったということです。
 こうしたことから、最高裁は非正規雇用の増加が辞退率の上昇に影響している可能性が高いとしています。
 また、審理の長期化については、同じアンケートで参加できる日数を聞いたところ、審理期間が3日間の場合、「参加できる」という回答が74.9%だったのに対し、5日間の場合は20.8%にとどまったということです。裁判員裁判の平均の審理日数は、平成21年は3.4日だったのに対して、おととしは6.1日まで増加していて、参加しやすさに影響していると見られます。
 最高裁は「今回の分析結果を基に、より多くの人たちに参加してもらえるように対策を検討していきたい」としています。
■経験者「同じ立場の人には勧められない」
 派遣社員として働きながら裁判員裁判に参加した人の中には、「同じ立場の人には勧められない」と感じている人もいます。
 東京都内に住む派遣社員の40代の女性は、去年、東京地方裁判所で開かれた裁判員裁判で補充裁判員に選ばれ、7日間にわたって審理に参加しました。派遣先の企業には、裁判員に選ばれた人のための有給休暇がありましたが、派遣元には同じ制度はありませんでした。女性は体に障害があり、病院に通うためなどに通常の有給休暇を使い切っていたため、無給で休みを取って参加しました。裁判所からは7日分の手当が出ましたが、交通費を入れても、ふだんの給料の7割程度にしかならなかったといいます。女性は、「参加したことはよかったけれど、給料を見てがく然としました。携帯の料金を支払えず、食費などを切り詰めて1か月間過ごしました」と振り返っています。
 さらに、裁判員裁判に参加することを派遣先の会社に伝えると、周りから嫌みを言われたことがつらかったと言います。派遣先の社員からは「決算の忙しい時期に裁判員と会社のどちらを選ぶといったら会社を選ぶよね」とか、「次の派遣社員は裁判員候補者の名簿に載っているか確認してから採用しよう」などと言われ、罪悪感を感じたといいます。
 女性は、同じ非正規雇用の人から裁判員裁判への参加について相談を受けたら、心から勧めることはできないと感じています。女性は「参加することのマイナス面がすごく強いので、『何も心配することはないよ、行ってらっしゃい』とは言えません。国が作った制度なのに企業に浸透していないから、休みがすごく取りにくいです。今のままでは誰もが参加できる制度ではないと思います」と話しています。
■休暇制度の現状は
 裁判員制度のスタートに合わせて、企業の間では、裁判員に選ばれた従業員のための休暇制度を設ける動きが広がりました。裁判員に選ばれると、少なくとも数日間は裁判所に通うことが求められるため、企業の従業員などは、必要に応じて休みを取ることが法律で認められています。また、裁判所や法務省などは、より参加しやすくするために、企業などに対して特別な有給休暇の制度を設けるよう呼びかけています。
 しかし、厚生労働省が昨年度、全国の企業1万社を対象に行った休暇制度についての調査では、回答した2091社のうち、裁判員のための有給休暇の制度を導入しているのは30%にとどまりました。また、非正規雇用の人たちの状況を調べるため、NHKが大手の人材派遣会社5社に取材したところ、登録している派遣社員のために有給休暇の制度を設けていると答えたのは3社で、残りの2社は休暇は取得できるものの、無給の制度でした。
 裁判員を経験した人たちに対する取材では、派遣社員やパートとして働いている人から、「会社を何日も休むと同僚から嫌な顔をされるので、非正規の立場では参加したいと言いづらい」といった声も聞かれました。市民の感覚を広く取り入れるという裁判員制度の趣旨が損なわれないように、多くの人たちが参加しやすい環境をどう整えるかが課題となっています。
■専門家「参加しやすい仕組みを」
 裁判員の制度設計に携わった國學院大学法科大学院の四宮啓教授は、今回の分析で見えてきた問題点について、「裁判員の間で雇用形態の偏りが今後大きくなっていくと、幅広い社会の声を裁判に反映しようとする制度の趣旨が損なわれてしまう」と懸念しています。
 そのうえで、「非正規雇用の人たちが立場が弱いと感じているというのは非常に理解できることなので、企業や団体の側が十分な配慮をする必要がある。制度開始から8年となるこの機会に、制度の公共的な意味をもう一度捉え直し、雇用形態にかかわらず参加しやすい仕組みを作り直してもらいたいし、裁判所も企業側に理解を求めていく必要がある」と指摘しています。

 ◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
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 gooブログ編集部より---「kanayame_47 さんが 2016年05月21日 に書かれた記事をお届けします。」

 
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