<新かぶき彩時記>「忠臣蔵」工夫いっぱい 書きものの宝庫

2018-12-12 | 本/演劇…など

【伝統芸能】
<新かぶき彩時記>「忠臣蔵」工夫いっぱい 書きものの宝庫
 2018年12月12日水曜日 夕刊
 舞台で使う小道具で、手紙や書状類を「書きもの」と呼びます。
 紙の種類は演目や設定によって決まりがあり、手紙なら巻紙を用います。文字は「狂言方」と呼ばれる、舞台進行や書類をつかさどる担当者が書いています。舞踊で使う手紙の場合、絹を貼って補強するなどして長持ちさせますが、公演中、毎日新しく文字を書いて作らねばならない手紙もあります。
 「忠臣蔵」はいろいろな書きものの宝庫です。「大序」で老権力者の高師直(こうのもろのう)が、横恋慕する顔世(かおよ)御前に、懐から出して渡す結び文(恋文)は、あり得ない大きさ。押しが強くスケール感のあるキャラクターにふさわしい造形で、中に芯を入れて形を整えてあります。
 「七段目」で足軽の寺岡平右衛門が、仇討ちメンバーに加わるため大星由良之助(ゆらのすけ)に渡そうとする願書。枕元にそっと置きますが、狸(たぬき)寝入り中の由良之助が扇ではたき落とします。うまく落ちるためには、願書が形良く立つよう作成せねばならず、演者で置き方も違うため苦労するそうです。
 同じく「七段目」で、由良之助が縁側で読む仇討ちの密書は最長クラス。垂れてきた密書を、縁の下のスパイ・斧(おの)九太夫が盗み読みますが、形良く垂らすため紙の端に重りの棒が入っています。途中でちぎれる演出なので、毎日長文を書いて作るのも大変です。(イラストレーター・辻和子)

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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