鳩山首相の発言の軽さ。とくに沖縄米軍普天間基地移設の発言のぶれ。日米関係に大きな影

2009-11-18 | 政治
日経新聞 社説1 首相への信頼感を失わせる発言の軽さ(11/18)
 鳩山由紀夫首相の発言の軽さが目立つ。とくに沖縄の米軍普天間基地の移設問題をめぐる発言のぶれは重大で、日米関係に大きな影を落としている。この状態を放置すれば、国内外で首相への信頼感が失われかねない。首相は事態の深刻さを直視し、襟を正すときである。
 首相とオバマ米大統領は13日の首脳会談で、普天間基地移設問題の早期解決に努力することで一致。閣僚級の作業グループを設けることになった。首相は記者会見で、これまでの日米合意を重く受け止めていると大統領に伝えたことを明らかにし「時間がたてばより問題の解決が難しいと理解している」と述べた。
 翌14日に東京で演説したオバマ大統領は「沖縄の米軍再編で両国政府が達した合意を履行すべく合同の作業グループを通じて迅速に行動することで合意した」と語った。
 しかし首相は大統領の演説の後に、外遊先のシンガポールで、2006年に日米間で合意したキャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市)に移設する現行計画を前提にしない考えを表明した。結論を出す時期に関しても「(来年1月の)名護市長選の結果に従って方向性を見定めることだってある」と指摘した。
 普天間基地の県外移設という民主党の従来の主張に縛られ、結論を先送りしたいという首相の思いがにじむ発言だが、首脳会談からたった1日で大統領の認識との食い違いを自ら明かした形だ。日本政府関係者も驚きを隠せないひょう変ぶりで、その後も発言のたびにニュアンスが変わる。米側は当然、不信感を強める。
 首相と岡田克也外相との発言のずれも見過ごせない。外相は16日に日米合意について「ある程度前提にせざるを得ない」と表明した。結論を出す時期についても外相や北沢俊美防衛相は繰り返し、年内に解決すべきだとの考えを示している。
 日米の作業グループは17日に初会合を開いたものの、閣内がばらばらの状態で成果が出るはずがない。時間がたてば解決が難しくなるのは首相が指摘した通りだ。首相は自ら方針を示し、基地移設の実現に向けて閣内をまとめる重い責任を負う。
 首相の言葉遣いはていねいだが、真剣さが伝わってこないことがままある。「恵まれた家庭に育ったものだから、自身の資産管理が極めてずさんだった」。株などの記載漏れで資産報告書を訂正した際の釈明はその典型だろう。指導者の言葉は取り消すことができない意の「綸言(りんげん)汗のごとし」という格言を首相にかみしめてもらいたい。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。