本当によかったね、松井秀喜外野手 「僕はニューヨークが好きだし、ヤンキース・・・」

2009-11-05 | 相撲・野球・・・など
春秋(11/6)
 ゴジラとモーツァルト。何だか妙な取り合わせだが、ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手は小学生のころ、自宅でピアノのレッスンを受けていたという。いつもクラシックを聴いて眠り、今もモーツァルトが大好きなのだそうだ。
▼鍵盤をたたくよりもバットの振りに鋭い冴(さ)えをみせるようになった少年はやがて巨人軍に入り、栄光の道を歩む。普通ならそこで満足するに違いない。なのにあえて米大リーグに挑み、しかも名門球団に身を置いた決断は記憶に新しい。「行ってよかったな、と言われるように頑張る」とは移籍するときの言葉だ。
▼ほんとうに「行ってよかった」のだと祝福したい。夢を追いかけ、いくたびか訪れた危機を乗り越えた不屈の人がワールドシリーズの最優秀選手(MVP)に選ばれた。日本人で初めての快挙である。球団のシリーズ制覇を決めた試合で爆発させた3安打6打点は、渡米から7年間の労苦に咲いた大輪の花だろう。
▼骨折が癒えず、右手だけのキャッチボールが日課だったころもモーツァルトに慰められたというゴジラだ。幼いころから天才と呼ばれながら、最上の場を求めて欧州を経巡った作曲家の思いに自身の夢が重なるのだろうか。ここではなく、もっと遠くへ――。縮みがちなニッポン人を勇気づける交響曲が聞こえる。
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天声人語
2009年11月6日(金)付
 7年前、大リーグ挑戦を決めた松井秀喜選手は、記者会見で一度も笑わなかった。「何を言っても裏切り者と思われるかもしれないが、いつか『松井、行ってよかったな』と言われるよう頑張りたい」。そう、本当によかった▼背番号55の大活躍で、ヤンキースがワールドシリーズを制した。粘っての先制ホームラン、2本のタイムリーとも胸のすく当たりだった。栄冠には、日本人初の最優秀選手(MVP)という宝石がついた▼オノをぶん回すような巨体がそろう米国では、勝負強い中距離打者の印象が強い。イチロー選手がカミソリなら、ゴジラはナタの切れ味だろうか。どっしりと構え、狙いすまし、しなやかに一撃を見舞う▼耐える男に見える。右足で細かく間合いをはかり、総身に火薬を満たしてなお、きわどい球を見送る。会心の一発が出れば、喜びを押し殺してベースを回る。けがやスランプを理由に取材を拒むこともなかった▼「巨人の大4番」を捨てた最初の選手である。日本にとどまれば何度もタイトルを取っただろう。ワールドチャンピオンにしても、何人かの日本人が先に経験した。4年契約の最終年、新装のヤンキースタジアム。野球の神様は、最後の最後に「マツイの日」を用意していた▼辛口で鳴らすニューヨークのファンが総立ちでMVPコールを送る。くしゃくしゃの相好で大男たちと抱き合う姿に、そうか、7年分の笑顔なんだと納得した。自分を裏切るな、迷った時は挑戦せよ、倒れるなら前に。いくつものエールを発する、いい顔だった。
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ヤンキースGMはMVP松井の再契約明言せず
 米大リーグ、ヤンキースのブライアン・キャッシュマン・ゼネラルマネジャー(GM)は4日、今季で4年契約が終わる松井秀喜外野手について「素晴らしい働きをしてくれた」としながらも、契約については「まだ何も決まっていない。球団にとって最良の決断をしたい」と話すにとどめ、再契約の意向は明言しなかった。
 ヤンキースは5日から15日間は松井秀との優先交渉期間があり、この間に交渉がまとまらない場合、松井秀はフリーエージェント(FA)になり20日からヤンキースを含めた全球団との契約が可能になる。
 松井秀は4日のワールドシリーズ第6戦で優勝決定後、残留への気持ちを「そうなればいいと思う。僕はニューヨークが好きだし、ヤンキース、チームメートも好きだし、ファンが大好き」と話した。
 松井秀は今季公式戦で142試合に出場し、打率2割7分4厘、28本塁打、90打点の成績を残したが、ひざに不安を抱え、守備には一度も就かなかった。ワールドシリーズでは6試合で3本塁打、8打点と活躍し、最優秀選手(MVP)に選出された。 (2009年11月5日 共同)
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ヤンキースがWシリーズ制覇、松井秀MVP
読売新聞2009年11月5日(木)
 【ニューヨーク=岡田卓史】米大リーグのワールドシリーズ(7回戦制)は4日、ニューヨークで第6戦が行われ、ヤンキース(ア・リーグ)が7―3でフィリーズ(ナ・リーグ)を下し、9年ぶり27度目の優勝を果たした。
 5番・指名打者で先発出場したヤンキースの松井秀は、二回に今シリーズ3本塁打目となる先制2ランを放つなど、4打数3安打6打点の活躍を見せ、日本人選手として初めてシリーズの最優秀選手(MVP)に選ばれた。
 ヤンキース・松井秀「最高ですね。この日のために1年間頑張ってきた。(ワールドシリーズMVPに)何か、夢みたいです。ヤンキースは僕が来るまで、毎年のようにワールドシリーズに出ていたけど、長かったですね」
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ヤンキースで最後の試合?松井秀「まったくない」
 【ヤンキース7―3フィリーズ】◆松井秀喜に聞く
 自らの打撃で勝利を導いた松井秀は、充実感あふれる表情で優勝を振り返った。
 ――今の気持ちは。
 「最高ですね。この日のために1年間頑張ってきたわけですから。何年もここにいたが、初めてここまで来られて最高。家族に一番感謝している」
 ――大活躍だった。
 「どういうわけか、ワールドシリーズはいいプレーができた。本当にびっくり。(MVPは)夢みたい。今日までは予想もしてなかったわけだからびっくりですよね」
 ――苦しかったことは。
 「ひざが痛いとか打てないとかそういうことはあったが、決して苦しくはないよね。やっぱりプレー、試合ができれば決して苦しくない」
 ――日本でも優勝した。
 「違った喜びがある。今は本当に最高。それ以外ない。今まででもっとも大きな思い出になる」
 ――来季もヤンキースで連覇を目指したいか。
 「そうなればいいと思う。僕はニューヨークが好きだし、ヤンキース、チームメートも好きだし、ファンが大好き。それだけです」
 ――本塁打は。
 「感触はほぼ完ぺきだった。甘く入ってきた球をちゃんと打てた」
 ――ヤンキースで最後の試合だと思ったか。
 「まったくない。とにかくきょうこの試合を勝つためにやった」[スポニチ2009年11月05日 18:29 ]

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