日本「核の傘」縮小を懸念 自公政権時に米に伝達
朝日新聞2009年11月6日
【ワシントン=望月洋嗣】日本が核攻撃を受けた場合は米国が核兵器で報復するという、いわゆる「核の傘」について、日本政府当局者が自公政権下で、核軍縮に伴って核の傘の信頼性が低下しかねないとの懸念を、昨年から今年にかけて米議会の諮問委員会に表明していたことが分かった。被爆国として核廃絶を訴える日本が、その裏で核戦力の維持を米国に求めていた形になる。
米議会が設置した「米国の戦略態勢に関する議会諮問委員会」で副座長を務めたジェームズ・シュレジンジャー元国防長官が朝日新聞に対して明らかにした。
諮問委は、政権政党の見方に縛られない超党派の機関としてブッシュ前政権時の08年5月に発足し、専門家らの聞き取りなどの作業を経て、今年5月に核政策の提言をまとめ、オバマ政権に提出した。政権側は現在、この提言などを踏まえた形で、今後5~10年の指針となる「核戦略見直し」(NPR)を作成しており、来年初めにも発表する。
シュレジンジャー氏は、諮問委が意見を聴いた日本政府当局者から「日本を守るための核の傘を米国が維持していくのかと、懸念を表明された」と証言した。
日本政府による懸念表明は、NGO「全米科学者連盟」のハンス・クリステンセン氏も、諮問委の複数のメンバーから確認した。同氏によると、日本政府当局者は、米国に維持してほしい核戦力を「信頼性」「柔軟性」など6項目に分類。近代化された核弾頭、原子力潜水艦、B52爆撃機などを具体例として列挙した書面を提示したという。
諮問委員会が最終報告書の巻末に記した協議先リストの中では、日本政府の当局者として在米大使館の公使ら4人の名前が挙がっている。
諮問委は「日米の緊密な対話の場」の設置も提案した。鳩山由紀夫首相は「核なき世界」を目指す一方、核抑止力は「現実の脅威の中での一つの考え方」と理解する姿勢も示しており、新政権の対応が注目される。
朝日新聞2009年11月6日
【ワシントン=望月洋嗣】日本が核攻撃を受けた場合は米国が核兵器で報復するという、いわゆる「核の傘」について、日本政府当局者が自公政権下で、核軍縮に伴って核の傘の信頼性が低下しかねないとの懸念を、昨年から今年にかけて米議会の諮問委員会に表明していたことが分かった。被爆国として核廃絶を訴える日本が、その裏で核戦力の維持を米国に求めていた形になる。
米議会が設置した「米国の戦略態勢に関する議会諮問委員会」で副座長を務めたジェームズ・シュレジンジャー元国防長官が朝日新聞に対して明らかにした。
諮問委は、政権政党の見方に縛られない超党派の機関としてブッシュ前政権時の08年5月に発足し、専門家らの聞き取りなどの作業を経て、今年5月に核政策の提言をまとめ、オバマ政権に提出した。政権側は現在、この提言などを踏まえた形で、今後5~10年の指針となる「核戦略見直し」(NPR)を作成しており、来年初めにも発表する。
シュレジンジャー氏は、諮問委が意見を聴いた日本政府当局者から「日本を守るための核の傘を米国が維持していくのかと、懸念を表明された」と証言した。
日本政府による懸念表明は、NGO「全米科学者連盟」のハンス・クリステンセン氏も、諮問委の複数のメンバーから確認した。同氏によると、日本政府当局者は、米国に維持してほしい核戦力を「信頼性」「柔軟性」など6項目に分類。近代化された核弾頭、原子力潜水艦、B52爆撃機などを具体例として列挙した書面を提示したという。
諮問委員会が最終報告書の巻末に記した協議先リストの中では、日本政府の当局者として在米大使館の公使ら4人の名前が挙がっている。
諮問委は「日米の緊密な対話の場」の設置も提案した。鳩山由紀夫首相は「核なき世界」を目指す一方、核抑止力は「現実の脅威の中での一つの考え方」と理解する姿勢も示しており、新政権の対応が注目される。