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北方領土“四島一括”は 解決を望まぬ者の声か
鈴木貴子
2018年11月17日 12:05
日露首脳会談をうけて連日大きく取り扱われています。
戦後七十年以上たっても一島足りとて解決されてこなかった北方領土です。
元島民の皆さんの平均年齢は83歳を超えています。また、平均年齢とは現在もお元気でいらっしゃる元島民の皆さんの平均年齢です。
そこを強調したのは、半数の方がすでに故郷へ帰ることなく旅立たれている、という事実が忘れがちだからです。
さて、様々な反応が挙がっています。
・「日本の外交努力後戻り」
・「首相「2島先行返還」軸に日ロ交渉へ 4島一括から転換」
・「やはり4島一括で歴代の政権も含めて先輩方が努力してきたので、その点に向かう交渉であってほしい」などなど・・・
まず、ここで皆さんと事実関係の共有をしたいのですが
日本政府は四島一括交渉をしておりません!
鈴木宗男代表が昨日出演していたAbemaTVでの発言がわかりやすく且つまとまっているのでご参考に。
■「ぜひとも事実を知ってほしい」宗男氏が語る日ロ交渉の歴史
「ぜひとも正しい歴史の事実を知ってほしい。"4島一括返還"というのはソ連時代のフレーズだ」と話す鈴木氏は領土を巡る日ロ交渉の経緯について、次のように説明する。
「東西冷戦の時代、アメリカは日本がソ連と仲良くなり、共産主義国家になることを危惧したし、56年の日ソ共同宣言の時には当時のダレス国務長官が"2島で平和条約を結ぶのなら、沖縄は未来永劫返さない"とまで恫喝している。そして1960年に安保条約が改定されると、当時のソ連の外務大臣は"外国軍が駐留する国には領土問題は存在しない。
56年宣言で、平和条約締結の後に歯舞群島と色丹島を返せと言ったこともない"と言っており、それがソ連の姿勢だった。だからソ連時代、領土問題は存在しなかったし、日本政府も"4島一括返還"に"即時"と付けていた。そういった事実を外務省は国民に知らせていない。そして1991年にソ連が崩壊すると、当時の中山外務大臣が訪露し"日本は4島一括返還の旗を降ろす。まず帰属の問題を解決してから平和条約だ。
4島の帰属が認められるなら、それぞれの時期には差があって結構だ"と伝えた。これも大きな変化だったが、"右バネ"を気にした外務省が国民に説明しなかった。この事実をわかってほしい」。
そしてロシア時代に入ると、鈴木氏は橋本、小渕、森政権下で対ロ外交に関わることになる。
「ロシアになった27年前からは、4島の帰属問題を解決してから、平和条約という流れになった。プーチン大統領も2000年の来日時、"56年宣言は有効だ"と記者会見で述べた。つまり、4島ともロシアに行く可能性あるし、ロシアが3で日本が1、ロシアが2で日本が2、ロシアが1で日本が3、ロシアが0で日本が4、という5通りのシナリオがあることになる。
当時の日本政府は"2+2"だった。まず56年宣言を履行し、歯舞・色丹を返還してもらい、残りの国後・択捉についてもなんとか引きつけようと努力してきた。森総理とプーチン大統領の会談でも、それについて協議を続けようということになったし、ここまでは上手くいっていた。ところがその後の小泉総理はあまりロシアに関心がなく、外交よりも内政に関心があったので、"4島一括"と言ってしまった。
しかも田中真紀子外務大臣は"日ロ関係の原点は、田中・ブレジネフ会談だ"と言った。それは昔の話であって、ロシア側もびっくり。さらに次の川口順子外務大臣は森さんの提案を下ろしてしまった。プーチン大統領は"森とはうまくやって来たのに、なぜそれを反故にするのか、付き合いきれない"となり、日ロ関係はそこから10年の間、止まってしまった。そしてプーチン大統領は2度目の大統領になった頃から、"引き分け"と言うようになった。その前提の上で日本政府は交渉をやっている」。
もちろん、四つが一度に帰ってくるならばそれに越したことはありません。
しかしながら、理想を掲げるだけでは物事は動きません。
安倍総理は活動家ではなく、政治家として、何を成すべきか、どう事を動かしていくか、政治家として判断、行動されていることと思います。
本当に元島民の皆さんのことを思い、地域の実ならず日本の将来を考えるのであれば、理想論を掲げるのではなく、課題を解決することを追求するべきです。
ここにきて急に「領土を諦めるのか」「国益に反する」「北方領土を見捨てるのか」などと居丈高な発言をされる方もいます。
そこまでおっしゃるなら、これまで北方領土問題解決のためにいかほど汗をかいて下さったのか。
地元の声をいかほど、伝えて下さったのか。
また、全国放送のニュースで「歯舞、色丹はたった7%」という報道されておりました。
面積で物事の重要性なり優越をつけるのでしょうか?
面積では一番小さい香川県は、他の道府県より劣るというのでしょうか?
安倍総理が自らの手柄にしたいだけだ、という方もいらっしゃいました。自らのキャリアを輝かしいものにするには、リスクをとらないことが一番です。
領土問題に本気で取り組むということは、政治生命を懸けるということです。
だからこそ歴代総理の中には、領土問題に一切手をつけなかった方もいたのではないでしょうか。もしくは途中で手をひいたのでは。
とにかく!
私は領土問題を前進させるための行動と発信を続けていきます。
◎上記事は[BLOGOS]からの転載・引用です
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* 北方領土問題 日ロ両国の親睦を邪魔しようと横槍、ダレス長官「沖縄を返すのも危うくなるぞ」
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日ロ、2島主権巡り溝 在日米軍配備が交渉の壁に
2018年11月18日 朝刊
日ロ首脳会談で合意した日ソ共同宣言を基礎とした平和条約交渉の加速を巡り、両国の意見の対立が早くも表面化している。日本に引き渡すと明記された歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)二島について、日本が主権を主張するのに対して、ロシアは今後の交渉でどちらの主権に属するか決める、との立場を崩していないからだ。さらに、在日米軍配備の取り扱いが交渉を難航させそうだ。 (ポートモレスビー・妹尾聡太)
日ソ共同宣言では、平和条約締結後、歯舞、色丹を日本に「引き渡す」と書かれているが、二島の主権がどちらにあるかは明記されていない。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は十六日の記者会見で二島について「返還されれば当然、日本の主権も確認される」と指摘した。日本政府は、北方領土について法的、歴史的にも日本固有の領土との立場を堅持。旧ソ連が先の大戦で中立条約を破って占領して現在も不法占拠しているとし、返還を求めている。
一方、ロシアも北方領土の主権を主張。「引き渡し」については、自国領土を善意で日本に渡すとの立場だ。渡した後の主権が日本にあると認めたわけではない。プーチン氏は十五日の記者会見で「二島の主権はどちらになるのかは書かれていない。本格的な検討が必要」と語り、今後の日ロ交渉で決まるとの考えを示した。
二島の主権を巡る交渉をさらに難しくするのが在日米軍の問題だ。
プーチン氏は昨年六月、北方領土の引き渡しに関し「米軍基地やミサイル防衛(MD)システムが設置されることは絶対に受け入れられない」と語った。米軍は日米安保条約と日米地位協定に基き、日本の防衛義務を理由に、日本国内ならどこでも米軍基地の設置を求めることができることを意識した発言だ。
日本政府はプーチン氏の懸念を払拭(ふっしょく)するため、二島に米軍基地を設けないと確約する必要がある。同時に、日ロの接近を嫌う米国の理解も得なければならない。*主権とは…他国に干渉されず統治
北方領土問題で焦点なっている「主権」とは、どういうものなのか。
学習院大学の阿部克則教授(国際法)は「他の国から干渉されることなく、領土や領土内の人を統治する権利」と説明。主権があると「国の法律や決定、命令に従うことを要求できる」とする。警察がその主な例だ。「帰属」とは、どの国が主権を持つかを指す。
主権を失うと、その国の法律は原則として、失った領土やそこに住む人に適用できなくなる。例えば、土地の所有権にしても、主権が及ぶ国の法律に基づいて承認される。阿部氏は主権をどの国が持つかについて「住民にとっても、あらゆることが変わってくる」と指摘する。
◎上記事は[東京新聞]からの転載・引用です
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◇ 北方領土交渉 「56年宣言」基礎は危うい 四島返還の原則を揺るがすな 2018.11.16
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