性同一性障害で制限「適法」 経産省職員のトイレ使用 逆転敗訴判決 東京高裁 2021/5/27 

2021-05-28 | 文化 思索 社会

性同一性障害で制限「適法」 経産省職員のトイレ使用 逆転敗訴判決 
  中日新聞 朝刊 2021年5月28日
 戸籍上は男性だが、性同一性障害で女性として働く経済産業省の五十代職員が、職場の女性用トイレの自由な使用など処遇改善を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は二十七日、使用制限を違法とした一審東京地裁判決を変更し、職員の逆転敗訴とした。職員側は最高裁に上告するとしている。 
 北沢純一裁判長は一審に続き、性自認に基づいた性別で生活するのは法律上保護された利益としたが、経産省は、他の職員の性的羞恥心や性的不安なども考慮して適切な職場環境を構築する責任を負うと指摘。「使用制限はその責任を果たすための判断であり、裁量を超えるとは言えない」と述べた。 
 判決によると、職員は入省後、専門医から性同一性障害と診断された。健康上の理由で性別適合手術は受けていない。二〇一〇年に同僚への説明会を経て女性の身なりで勤務を開始したが、経産省は「抵抗を感じる同僚がいる」として、本人が勤務するフロアと、上下一階ずつの女性用トイレの使用を認めなかった。 
 判決は、使用制限について、規範や先例がない中で経産省が検討・調整を経て決め、職員も納得して受け入れたとし「現時点で、制限撤廃を相当とする客観的な変化は認められない」と判断。制限を違法として、国に132万円の支払いを命じた19年12月の一審判決を見直した。
 一方、上司が面談で「もう男に戻ってはどうか」と発言した点は一審同様に違法とし、国に11万円の支払いを命じた。
 職員は判決後に都内で記者会見し「結論ありき。今更こういう判断を裁判所が出すのかと驚いた」と話した。経産省は「判決の内容を十分に精査し、関係省庁と協議をして適切に対応したい」とのコメントを出した。

 理解増進へ行政こそ先に姿勢を 疑問残る判断 
解説
 (前段略=来栖)
 トランスジェンダーへ認知度が高まり、社会の受け止めにも変化が生じる中での判断に疑問が残る。
 2004年施行の性同一性障害特例法は、戸籍上の性別を変更するための要件の1つとして、性別適合手術を必要があると規定している。職員は健康上の理由で手術を受けておらず、国側はこの点を根拠に使用制限の合理性を強調した。
 一審判決は使用制限を巡り、他の女性職員への配慮は必要とした上で「原告が性的な危害を加える可能性は客観的に低い」と実態を精査し、違法と判断した。高裁はこれに対し「経産省は他の職員の性的羞恥心や性的不安を考慮する責任がある」と同省の裁量を広範に捉え、逆の結論とした。
 判決は「先進的な取り組みがしやすい民間企業とは事情が異なる」とも指摘したが、性的少数者の理解増進に向けて国会でも議論が進む中、行政こそ先に姿勢を示すべきではないのか。(共同・堀野紗似)

📃 性同一性障害
 心と体の性が一致せず、体の性別に強い違和感がある状態。医療としてはカウンセリングやホルモン療法、性別適合手術がある。2004年に性同一性障害特例法が施行され、①2人以上の医師による診断②20歳以上③結婚していない④性別適合手術を受けているーなどの条件を満たせば、家庭裁判所に請求し、戸籍の性別変更が可能としている。一方、「障害」「病気」との表現には反対意見もある。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載および書き写し(=来栖)
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〈来栖の独白 2021.5.28 Fri〉
 私はこの問題についていけない。ずいぶん考えさせられたが・・・。
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あなたは女と寝るように男と寝てはならない。これは憎むべきことである。 レビ記18章22節


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