兵庫 淡路島5人殺害事件で死刑判決 神戸地裁
NHK NEWS WEB 3月22日Wed. 16時36分
おととし、兵庫県淡路島の洲本市で近所の住民5人をナイフで刺して殺害した罪などに問われた被告に、神戸地方裁判所は、「精神障害があったが事件への影響はほとんどなく刑事責任能力が認められる。死刑を回避する事情は見当たらない」として、死刑を言い渡しました。
兵庫県洲本市の無職、平野達彦被告(42)は、おととし3月、自宅近くに住んでいた平野浩之さん(62)の一家3人と、平野毅さん(82)夫婦の合わせて5人をナイフで刺して殺害したとして殺人などの罪に問われました。
最大の争点は被告に刑事責任能力があったかどうかで、これまでの裁判員裁判で、検察は、「責任能力があった」として死刑を求刑し、被告の弁護士は「精神障害のため善悪の判断ができず、心神喪失の状態だった」として無罪を主張しました。
22日の判決で神戸地方裁判所の長井秀典裁判長は、「被告には精神障害があったが、被害者らが寝ている時間帯を選んで犯行に及んでいることや、犯行後、警察官に『弁護士が来るまで言えない』と話していることなどから、事件への影響はほとんどなく責任能力が認められる」と指摘しました。
そのうえで、「ナイフで何度も刺すなど殺意は強固で、極めて悪質だ。犯行を正当化し続けていてまったく反省がなく、死刑を回避する事情は見当たらない」として死刑を言い渡しました。
■被告の弁護士 控訴の意向
平野被告の代理人の高木甫弁護士は報道陣の取材に応じ、判決を不服として控訴する意向を示しました。
■裁判員「責任能力悩んだ」
判決のあと、6人の裁判員のうち2人が記者会見に応じました。
このうち、30代の会社員の男性は、「被告の刑事責任能力をどう判断するか悩み、ほかの裁判員や裁判官と議論していくなかで自分の考えがまとまった。最終的に判決には納得している」と話しました。
また、53歳の会社役員の男性は、「被告の主張は理解できなかったが、公平に判断するため独自の世界観だと考えて裁判に臨んだ。精神鑑定は医師によって十人十色だと思い、慎重に精査した」と述べました。
■亡くなった5人の遺族は
判決のあと、亡くなった5人の遺族は弁護士を通じてコメントを出しました。
このうち、平野浩之さん(62)の一家3人の遺族は、「当たり前ですが、この判決が出ても元通りにはなりません。被告が語った、あのようなばかげた理由でなぜ、大切な家族の命が奪われたのか今でも理解できません。速やかな刑の執行を待ちます」としています。
また、平野毅さん(82)夫婦の遺族は、「本当のことを話してもらいたいと望んでいましたが、被告は、理解に苦しむようなみずからの主張を一方的に繰り返すのみで反省はみじんも見られませんでした。死刑の判決を聞いてほっとしたという気持ちです」とつづっています。そのうえで、「精神障害のある人に対して、病院や行政、警察などの関係機関が適切な連携をとれなかったことがこの事件の要因の1つになっています。この事件を契機に、対策を講じるよう検討していただきたい」としています。
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です *強調(太字)は来栖
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◇ 洲本5人殺害事件 平野達彦容疑者=SNSで意味不明な投稿 / 被害者親族=近隣トラブルで弁護士に相談
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