ロシアで違反薬物の組織的な使用…ドーピングを拒めば選手生命を絶たれかねない状況だった

2015-11-14 | 国際

2015年11月13日
中日春秋
 ロシアのプーチン大統領は、十五年前に沖縄サミットに出席したとき、背広を脱いで柔道の稽古に参加し、中学生に投げられた。側近は「大統領が投げられるとは権威にかかわる」と懸念し、実際にそんな批判もロシア国内では出た
▼それでも、その年の秋に再来日すると講道館まで足を運んで汗を流し、小学生の女の子に背負い投げを決めさせた。大統領の柔道を愛する心、スポーツマンとしての矜持(きょうじ)は本物なのだろう。そう思わせる出来事だった
▼だが本当にそうなのか。世界反ドーピング機関の第三者委員会は、ロシアで違反薬物の組織的な使用が続けられていたとの報告書を出した
▼「勝つためには手段を選ばぬ」という考えが深く根付き、選手がドーピングを拒めば、有力なコーチの指導も受けられず、選手生命を絶たれかねぬ状況だったと、報告書は指摘する
▼それだけではない。不正をしていたロシアのドーピング検査機関は、ソ連の国家保安委員会(KGB)の流れをくむ情報機関・連邦保安局(FSB)に監視され、常に詳細な報告を求められていたという
▼プーチン氏は「違反の責任は個々人が負うべきだ」と言っているが、彼はFSBの元長官。情報機関は彼の手兵のようなものだ。国威発揚のため選手の体と心を蝕(むしば)む「強化策」を推し進め、露見すれば切り捨てる。大統領は白い柔道着を着続けられるのか。
 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です 
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プーチン大統領“窮地” リオ五輪で出場停止処分の可能性も ドーピング問題
 zakzak 2015.11.13
 ロシア陸上界の組織的なドーピング問題が発覚したことで、外交面で連戦連勝だったプーチン大統領が窮地に陥っている。KGB出身の肉体派でもあるプーチン氏は、国威発揚の手段としてスポーツを重視してきた。強引な外交手法とも重なるルール違反の選手強化策は、「スポーツ大国・ロシア」の威信を地に落としそうだ。
 「ドーピングと戦わなくてはならない」「問題の排除に向けて、ロシアはすべてのことを行う」「責任は個人が負わなければならない」
 プーチン氏は11日、世界を激震させたドーピング問題について、独自調査をムトコ・スポーツ相に指示し、こう語った。来週フィリピンで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議も欠席して対応するという。
 世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が9日、スイス・ジュネーブで発表した335ページの報告書は衝撃的だった。
 「(ドーピングの)検査所長が、選手から日常的に賄賂を受け取っていた」「『裏検査所』が陽性反応の検体を破棄し、陰性の検体にすり替えた」「コーチや医師らがドーピングを指南した」…。
 報告書が事実なら、ロシア陸上界で組織ぐるみ、国家ぐるみで、ドーピングの推進・隠蔽工作が行われていたことになる。第三者委員会は「勝利のためなら手段を選ばない文化が根付いている」と一刀両断した。
 国際陸連は13日(日本時間14日未明)、臨時理事会を開いてロシアや選手の処分を協議する。結論によっては、2012年のロンドン五輪・陸上競技で18個ものメダルを獲得したロシアが、来年のリオデジャネイロ五輪で出場停止処分を受ける可能性が出てきた。
 国家の威信を揺るがす事態に、プーチン氏は問題発覚から2日後、競技団体幹部を集めた会議で冒頭のように指示した。ロシア陸連のゼリチェノク会長は12日、組織的ドーピングを否定する文書を国際陸連に送付したが、情勢は甘くはない。
 冬季五輪やサッカーW杯などの招致に相次ぎ成功し、優秀な成績を収めた選手に多額の金銭を与えるなどスポーツで国威発揚を図ってきたプーチン政権。それにしても、なぜ、この時期に問題が発覚したのか。
 国際政治アナリストの菅原出(いずる)氏は「プーチン政権は最近、国力以上の外交攻勢をかけて大きな成果を出してきた。米国と互角に張り合い、シリア情勢への介入でもうまく立ち回ってきた」と指摘したうえで、「このタイミングでの問題発覚は、国際政治的な観点からみれば、プーチン氏やロシアにダメージを与えようとする動きにも見えなくない」と分析している。
 ◎上記事は[zakzak]からの転載・引用です 


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