
【雇用崩壊】
企業に有利な解雇増加 「自己都合」強制
2009年1月30日
人員整理や強要など、会社側の都合で退職したにもかかわらず、会社が労働者に原因をかぶせて「自己都合」にしてしまうケースが目立つ。解雇が多いと、新たに労働者を雇う際に国の助成金がもらえないという企業の論理が見え隠れする。労働者は自己都合にされると失業手当支給が先延ばしに。それだけに「会社の不当行為を許さない国の対策が必要」と指摘されている。
東京都内の教育関連会社で編集業務をしていた女性(42)は昨年6月、営業への部署替えと賃金の大幅カットを提示され、社長から「嫌なら退職するように」と言われ、悩んだ末に退職した。
ただ、残業代のことで納得がいかず、1人でも加入できる労働組合に相談したところ、退職理由が自己都合になっているのはおかしいと指摘された。交渉の末、会社は理由を会社都合に変更、残業代の訴えも聞き入れた。 倒産や解雇など会社都合の場合、退職8日目から失業手当がもらえるが、自己都合だと3カ月間待たねばならない。希望退職の募集や退職の強要、セクハラなども会社都合だが、立証が難しいと泣き寝入りする例もある。 事務機器メーカーで働いていた派遣社員の男性(38)は昨年9月、雇い止めに。同時に派遣会社も解雇された。離職票には、退職は自己都合だと記され、ハローワークに異議を申し立てたが認められなかった。
失業手当受給までの3カ月の生活は預金を取り崩してももたない。男性は手当をあきらめて別の派遣会社に登録、事務の仕事に就いた。
「失業手当があれば、じっくり仕事を探せた。一番苦しい時期に受給できないなんて」と憤る。派遣ユニオンによると「会社都合を自己都合とされるトラブルは、雇用保険に関して寄せられる相談の半分以上」という。
http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/adagio/ column25「これでいいのか、経団連」