外交・安保政策への不安がぬぐえない 「衆院予算委」鳩山内閣の外交・安全保障政策

2009-11-03 | 政治
日経新聞 社説1 外交・安保政策への不安がぬぐえない(11/3)
 衆院予算委員会で一問一答形式の本格論戦が始まった。自民党は鳩山内閣の外交・安全保障政策を重点的に取り上げ、在日米軍再編問題などへの対応をただした。鳩山由紀夫首相は具体策への言及を避ける場面が目立った。政権の基本政策があいまいなままでは不安がぬぐえない。
 自民党の大島理森幹事長は米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐり、現行の辺野古地区(同県名護市)への移設計画をどういう方向で見直すつもりなのか説明するよう迫った。
 首相は日米合意の重みと地元住民の負担軽減という観点から接点を探る考えを示しつつ、「様々な選択肢を模索している」として現時点では白紙だと強調した。結論を出す時期に関しても「無責任に引き延ばせばいいと言っているわけではない」と繰り返し、期限を明示しなかった。
 大島氏は「日米関係が基本だといいながら大変不安になるような状況だ」と述べ、鳩山内閣の対応を重ねて批判した。首相が現行計画の見直しに意欲を見せる以上、代替案の検討を先延ばしするような対応が関係者の不信感を増幅させかねないという指摘はその通りだろう。
 続いて質問に立った町村信孝元外相は、首相の「日本は米国に依存しすぎていた」との発言について具体的に何を指すのかとただした。首相はインド洋での給油活動やイラク戦争での米国支持の例をあげた。町村氏は「国際社会の一員として自らの判断で決めてきた」と再反論した。
 町村氏は海上自衛隊の給油活動について「これほど安全でコストパフォーマンスが良く、国際的評価の高い活動はない」と強調し、来年1月の期限切れ後も活動を継続するよう求めた。
 民主党が掲げる「脱官僚依存」や「行政のムダ削減」などの重点政策は有権者の支持を得ており、野党内にも理解を示す声が多い。一方で外交・安全保障分野の政策変更については、米国はじめ国際社会との関係にも考慮した慎重な対応が求められるのは言うまでもない。
 首相や閣僚の発言のぶれは日本が混乱している印象を与え、結果として国益を損なうことにつながりかねない。首相は野党の指摘を待つまでもなく、米軍再編問題や国際的な対テロ活動の支援策などについて自ら事態収拾に動くべきだろう。
 「政治とカネ」をめぐる問題は初日はほとんど質疑がなかった。首相の資金管理団体の架空献金問題などについて、今後の論戦で全体像が明らかになるよう期待したい。

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