米新聞業界の衰退が加速している=広告収入の減少。読者の電子版への移行を契機とする印刷版の減。

2009-02-24 | 国際
斜陽の米新聞、電子化加速 相次ぐ破綻、広告減が打撃
2009/2/24 Bloomberg
 米新聞業界の衰退が加速している。米ペンシルベニア州の新聞社、ジャーナル・レジスターは21日、連邦破産法第11条の適用を申請したと発表した。同社は「ニュー・ヘイブン・レジスター」を含む20の日刊紙を発行していたが、広告収入の減少に打撃を受けた。広告売り上げの大幅な落ち込みで新聞各社は印刷版(新聞紙)の発行頻度を減らしたり、全面的な操業停止の検討を迫られている。
 ◆過去37年間で最悪
 同州では前日の20日にも、「フィラデルフィア・インクワイヤラー」や「フィラデルフィア・デイリー・ニュース」を発行するフィラデルフィア・ニュースペーパーズが同法適用の申請をしたばかり。2008年12月のトリビューン、09年1月のミネアポリス・スター・トリビューンに続き、広告収入の減少が新聞社を倒産に追い込んだ形だ。
 米新聞協会によると、08年7~9月期(第3四半期)の業界全体の広告収入は、過去37年間で最悪の落ち込みをみせた。
 新聞各社は、減少する広告を確保して生き残るべく、電子版への移行を進めている。
 シアトルの地元紙「シアトル・ポスト・インテリジェンサー」は電子版のみとなる。アリゾナの「タクソン・シチズン」は親会社で米新聞最大手のガネットが3月21日までに買い手を見つけられなければ、閉鎖される予定だ。デンバーの「ロッキー・マウンテン・ニュース」は売りに出され、デトロイトで共同出版されているガネットの「フリー・プレス」とメディア・ニュース・グループの「デトロイト・ニューズ」は発行頻度を週3日に減らす計画という。
 メディア関連コンサルティングのアウトセル(カリフォルニア州)のアナリスト、ケン・ドクター氏は「多くの新聞社が印刷版の週当たり発行頻度を落とし、印刷版から電子版への移行を加速するだろう」と語る。
 ◆軒並み2けた減
 新聞大手のニューヨーク・タイムズ、ガネット、マクラッチーは、3社で合計約135紙を発行しているが、2008年新聞広告収入は前年比で約13%減った。
 ニューヨーク・タイムズは昨年12月の広告収入が16%減と苦戦し、通年では前年比13%減だった。また、ガネットの昨年の新聞広告収入も前年比16%減で、マクラッチーは同18%減った。今年は一段の悪化が予想される。各社は70年ぶり以上の深刻なリセッション(景気後退)で、資産売却や5000人を上回る人員削減を行っている。
 TNSメディア・インテリジェンス(ニューヨーク)のアナリスト、ジョン・スウォーレン氏によると、広告収入の約60%が小売り、自動車、金融、不動産販売でもたらされ、これらの業界は今回のリセッションで最も大きな打撃を被ったという。
 読者の電子版への移行を契機とする印刷版の販売減は、今回のリセッションでさらに悪化した。電子版の広告は印刷版よりも利幅が薄いからだ。
 タブロイド紙「ニューヨーク・デーリー・ニューズ」を経営するモーティマー・ザッカーマン氏は、「われわれは広告主から逃げられた。それが問題だ」と語った。(Greg Bensinger)

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