年金給付30年後、現役収入の50% 厚労省試算「100年安心」の体裁を保つための楽観的な試算

2009-02-24 | 政治
年金給付、現役の50%に 2038年度以降 現行6割から減少
2009年2月24日 中日新聞朝刊
 厚生労働省は23日、5年ごとに行う公的年金の財政検証に基づく今後約100年間の将来試算を発表した。現役世代の収入に比べた厚生年金の給付水準(所得代替率)は、厚労省が基本とするケースで2038年度から2105年度まで、50・1%となり、政府が04年に約束した50%を維持できるとした。ただ09年度の62・3%に比べると2割目減りする。
 経済が低迷し出生率が低い最悪ケースでは、所得代替率は48年度以降、43・1%まで低下。50%維持のケースも、積立金の運用利回りや賃金が大幅に高まることを前提にしており、「100年安心」の体裁を保つための楽観的な試算との批判も強まりそうだ。
 所得代替率は夫が平均賃金で厚生年金に40年加入、妻が40年専業主婦というモデル夫婦世帯で計算する。基本ケースの年金月額は09年度の22万3000円から38年度は26万3000円(現在価値換算)と増えるが、所得代替率は04年想定時の50・2%からも微減した。
 試算の前提として、厚労省は将来の経済指標と合計特殊出生率についてそれぞれ高位、中位、低位3通りの予測値を設定。両方を掛け合わせた9通りのケースで所得代替率を計算した。
 経済、出生率とも中位の基本ケースの場合、年金財政を維持するための給付抑制措置が12年度から38年度まで続く。代替率は50%を維持するものの、04年に想定した抑制期間17年間が、現下の不況や積立金の運用損を受け、27年間に長期化する。
 経済指標の予測値は15年度までは内閣府の試算、16年度以降の長期は経済学者らの設定に基づく。しかし、基本ケースでさえ賃金上昇率の長期見通しは08年実績の0・3%を大きく上回る2・5%。運用利回りも現在の目標3・2%を超える4・1%とした。
 厚労省は「諸外国と比べても経済前提は常識的な水準。長期の見通しを立てる際は経済が順調に回復するとの前提に立つのは自然なことだ」としている。
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30年後、年金給付2割目減り 現役収入の50% 厚労省試算
 厚生労働省は23日、5年ごとに実施する公的年金の財政検証の結果をまとめた。年金財政の悪化を受けて、現役世代の収入に対してどの程度の年金をもらえるかを示す割合(所得代替率)を段階的に引き下げることを想定。最も基本的なケースでは、2009年度の62.3%から2038年度以降は50.1%に低下し、約20%目減りすると試算した。所得代替率は政府目標の50%を維持できるものの、最終的な低下幅は5年前に想定した約15%より拡大する。
 同日の社会保障審議会年金部会に報告した。所得代替率は現役世代(男子)の平均手取り収入に対し、65歳時点の年金がどれだけの比率に達するかを示す。
 04年の年金改革では保険料(09年度で15.704%)を17年度まで段階的に引き上げ、上限(18.3%)で固定することを想定していた。夫が40年間勤務した会社員、妻が専業主婦の標準世帯では給付を抑制しても、2023年度以降は下限の50.2%で下げ止まると試算し、与党は「100年安心」とうたった。(日経2009/02/24/ 00:35)
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日経新S 2009/02/24 くらべる一面 編集局から
朝日新聞 「おくりびと」と「つみきのいえ」がアカデミー賞をダブル受賞。1面、天声人語、時時刻刻、文化面、社会面でたっぷり伝えました。「おくりびと」は本命を退けての逆転受賞で、日本の癒やしが米国で共感を呼んだようです。紙面には書きませんでしたが、朝日新聞の出資映画です。1面には年金が経済危機や少子化で30年後に2割減る記事もありますが、アカデミー賞のように元気の出るニュースをもっと届けたいものです。(磐)
日本経済新聞 厚労省が23日、5年ごとに実施する公的年金の財政検証の結果を発表しました。1面に本記、3面には図表を盛り込んだ詳しい解説と編集委員論文を掲載しました。 前提条件の詳細な説明はここでは省きますが、年金額を長期にわたり現役収入比で50%以上を維持するという「100年安心」の計画は無理が多いことが改めて浮き彫りになりました。年金改革を含めて冷静な将来見通しがすべての議論の大前提になるはずです。(正)
読売新聞 米アカデミー賞の外国語映画部門と短編アニメ部門で日本作品がW受賞しました。特に外国語映画賞に輝いた「おくりびと」は生と死をめぐる日本の文化を見つめた地味な作品ながら、海外から高い評価を得ました。その理由や背景などを詳しく報じています。文化面では文化人類学者の上田紀行さんが「おくりびと」のもたらす感銘について分析しています。私も公開当初に観ましたが、本当に素晴らしい映画です。ぜひご覧ください(五)

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