日本は平和憲法改正による影響の責任を負う必要=中国網 / 「右傾化」批判の誤り

2012-12-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

日本は平和憲法改正による影響の責任を負う必要
サーチナ 2012/12/19(水) 14:49
  中国網日本語版(チャイナネット)は19日、「日本は平和憲法改正による悪影響の責任を負う必要がある」と論じる記事を掲載した。以下は同記事より。
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  「中国の人民は日本のごく一部の人、そのなかの政治的影響のある人が、軍国主義復活の傾向を持っていることを懸念している」
  これは中国の指導者だった小平氏が1987年に宇都宮徳馬氏などの日本の友人に言った言葉である。残念なのは、20年以上がたった今もこの判断はまったく弱まっていないことだ。衆議院選挙における日本の一部政治家による国の将来とアジアの安定に関わる平和憲法を軽視した行動は、実に行き過ぎた行為である。
  明治維新以降、日本は1890年に『大日本帝国憲法』を施行してすぐに軍備拡張、侵略戦争を起こした軍国主義の道を急速に歩んでいった。『大日本帝国憲法』の施行期間中、日本は計11回の侵略戦争を起こし、日中戦争、日露戦争、九一八事変、中国に対する全面的な侵略戦争、太平洋戦争など、アジアと世界の人びとに多大な災難をもたらした。
  1947年に施行された平和憲法は、日本の対外侵略の拡張と対内的な軍事統治という政治体制を徹底的に打破し、侵略戦争を起こした軍国主義を徹底的になくし、戦争の発端となるものを排除するために作られたものである。
 ところが、日本の右翼勢力は平和憲法の基本原則に対して本能的に反発している。自民党は結党時、「憲法の自主的改正」を公約に掲げた。さらに右翼勢力は、貿易立国、金融立国、科学技術創造立国、通貨立国の戦略のもとで「政治立国」を急ぎ、政治において追いつき追い越すというもっともらしい理論を打ち出している。軍事的手段の確立は、「政治立国」の実現を後押しするに違いない。
  平和的発展という時代の流れを無視し、「交戦権の否認」を宣言する日本国憲法第9条をむやみにあおり立てるとは、日本の政治家は一体何がしたいのだろうか。本当に限界ラインを越える気だろうか。
  今のアジアは昔とまったく違う。平和憲法を改正した場合、日本はそれによる深刻な影響の責任を負う必要がある。一部の政治家は今も敗戦したことを認めずに「終戦」と言い、侵略した事実を極力避けている。そればかりか、自身を加害者でなく被害者だと思っている。戦後の国際秩序にかかわる領土問題における、南京大虐殺や慰安婦が存在した動かぬ証拠があるなかでの日本の政治家による行動は、軍国主義の名残を強く感じさせるものである。
  日本が侵略した歴史を直視、反省し、平和的発展の道を歩めるかは、アジアの隣国と国際社会が関心を寄せてきたことである。日本の戦後体制からの脱却、平和的発展の否定に、アジア諸国と国際社会は大いに警戒しなければならない。(編集担当:米原裕子)
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Japan Moves Right 日本の右傾化 世界標準でいえば「中道」 2012-12-22 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
 Japan Moves Right 日本の右傾化
(2012年12月19日  読売新聞)
■欧米、中国メディアは懸念
  衆院選をめぐる海外メディアの報道を見ると、日本の「右傾化」を懸念する記事が目立ちます。
  例えば、中国の新華社通信(英語版)は the shift to the right (右傾化)が今回の選挙の特徴だと報じました。
  欧米のメディアも同様です。
  英国のBBC放送は Japan has taken a sharp turn to the right (日本は右寄りに大きく舵かじを切った)と伝えています。
  衆院選直前に発売された米誌タイム(アジア版)も日本の「右傾化」を特集していました。
  日の丸をあしらった表紙のタイトルは Japan Moves Right (日本が右寄りに動いている)、そして本文の見出しは A Wave of Patriotism (愛国心の波)でした。
  確かに今回の選挙では、憲法の改正や防衛力の増強、集団的自衛権の行使容認を訴える右寄りの自民党、維新の会が躍進しました。一方、こうした政策に反発する左寄りの日本未来の党、社民党、共産党が軒並み議席を減らしました。この点を見れば、日本の政治の重心が右に移ったというのは、その通りでしょう。
■世界標準でいえば「中道」
  ただ、一部の海外メディアの「右傾化」報道には違和感も覚えます。理由は二つあります。
  まず、「右傾化」は軍国主義の復活につながりかねない危険な兆候、という論調が目に付くからです。日本人の大半は軍国主義の復活など望んでいないと思いますが、こうした論調は中国や韓国のメディアで顕著です。
  もう一つは、国際的な基準で見た時、自民党や維新の会の主張は「右傾化」と言えるほどのものなのか、という疑問を抱かざるをえないからです。
  世界の主要国は強力な軍隊を持ち、領土・領海の侵犯には武力を背景に毅然とした対応を取っています。集団的自衛権は国連憲章も認める当然の権利になっています。
  自民党や維新の会の主張の大半は、国際的に見れば、常識と言っていい内容です。
  自民党の安倍氏を「タカ派」「ナショナリスト」と呼ぶとしたら、主要国の指導者の大半は「超タカ派」「超ナショナリスト」になってしまうでしょう。
  また、自民党を仮に「右派」と呼ぶとしたら、米国の民主党もフランスの社会党も「極右」になってしまうでしょう。
  自民党が掲げる安全保障政策は、世界を見渡してみれば、「中道」くらいではないでしょうか。
  では、なぜ日本の「右傾化」がことさら問題にされるのでしょうか。
  まず中国による批判には、歴史問題もからめて日本及び海外の世論を揺さぶり、日本の防衛力強化を封じ込めようという思惑が透けて見えます。
  米国には別の懸念があります。何より恐れているのは、日中両国で強硬論が高まり、尖閣をめぐる対立が軍事衝突に発展して米軍が巻き込まれる事態になることでしょう。
  実際、米紙ワシントン・ポストは、日中が衝突したら、「米国は日米安保条約に従って日本側に立つことを強いられるかもしれない」と指摘しています。
  同盟国の米国の懸念は十分理解できます。中国をいたずらに刺激することは避けるべきでしょう。
■冷静な思考が必要
 ただ、日本の針路を決めるのは私たち日本人です。
 もちろん排外主義や軍国主義は排すべきですが、野田首相の言う healthy nationalism (健全なナショナリズム)や米国の知日派ジョセフ・ナイ氏が言う moderate nationalism (穏健なナショナリズム)は育てていくべきでしょう。
 また、安全保障政策については、一部の外国政府の主張や海外メディアの論調に惑わされることなく、冷静かつ現実的に考えていくべきです。少なくとも、軍拡路線を突き進む中国に付け入る隙を与えないだけの防衛力や抑止力の整備・強化は粛々と進めていく必要があるでしょう。
■ フィリピン、インドは歓迎
 最後に付け加えれば、もう少し広く見ると、海外の論調も実は様々です。
 中国との領土紛争を抱えるフィリピンの外相は衆院選の直前、英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、日本の防衛力の増強について、こう述べました。意識しているのは中国です。
 We would welcome that very much. We are looking for balancing factors in the region and Japan could be a significant balancing factor.
 我々はそれ(日本の軍備増強)を大いに歓迎する。我々が求めているのは、この地域で力を均衡させる要素であり、日本はそうした均衡をもたらす重要な要素になりうる。
 インド紙タイムズ・オブ・インディアもこう伝えています。
 Abe's hawkish stand on China is not going to harm India ... in the face of Beijing's growing assertiveness in the region.
 中国が(アジア太平洋)地域で自己主張を強める中、安部氏のタカ派的な対中姿勢はインドに害をもたらすものではない。
 フィリピンやインドは日本に中国をけん制する役割を期待しているのでしょう。
 中国の強圧的な領土拡張戦略にどう対処していくかは安部新政権の大きな課題です。同盟国・米国の力を最大限に活用すべきなのはもちろんですが、対中関係で共通の利害を持つアジア諸国との連携も強めていく必要があるでしょう。
*筆者プロフィル 大塚 隆一
1954年生まれ。長野県出身。1981年に読売新聞社に入社し、浦和支局、科学部、ジュネーブ支局、ニューヨーク支局長、アメリカ総局長、国際部長などを経て2009年から編集委員。国際関係や科学技術、IT、環境、核問題などを担当
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「右傾化」批判の誤り/安全保障への無関心や不関与という極左から、真ん中へ向かおうとしているだけです 2012-12-19 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
 【あめりかノート】「右傾化」批判の誤り ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
産経新聞2012.12.18 03:08 ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
 「安倍政権誕生となると、北京の論客たちはあらゆる機会をとらえて『日本はいまや右傾化する危険な国家だ』と非難し続けるでしょう。しかし『右傾化』というのが防衛費を増し、米国とのより有効な防衛協力の障害となる集団的自衛権禁止のような旧態の規制を排することを意味するのなら、私たちは大賛成です」
 ブッシュ前政権の国家安全保障会議でアジア上級部長を務めたマイケル・グリーン氏が淡々と語った。日本の衆院選の5日ほど前、ワシントンの大手研究機関、ヘリテージ財団が開いた日韓両国の選挙を評価する討論会だった。日本については自民党の勝利が確実ということで安倍政権の再登場が前提となっていた。
 CIAでの長年の朝鮮半島アナリストを経て、現在は同財団の北東アジア専門の上級研究員であるブルース・クリングナー氏も、「右傾」の虚構を指摘するのだった。
 「日本が右に動くとすれば、長年の徹底した消極平和主義、安全保障への無関心や不関与という極端な左の立場を離れ、真ん中へ向かおうとしているだけです。中国の攻撃的な行動への日本の毅然(きぜん)とした対応は米側としてなんの心配もありません
 確かに「右傾」というのはいかがわしい用語である。正確な定義は不明なまま、軍国主義や民族主義、独裁志向をにじませる情緒的なレッテル言葉だともいえよう。そもそも右とか左とは政治イデオロギーでの右翼や左翼を指し、共産主義や社会主義が左の、反共や保守独裁が右の極とされてきた。
 日本や米国の一部、そして中国からいま自民党の安倍晋三総裁にぶつけられる「右傾」という言葉は、まず国の防衛の強化や軍事力の効用の認知に対してだといえよう。だがちょっと待て、である。現在の世界で軍事力増強に持てる資源の最大限を注ぐ国は中国、そして北朝鮮だからだ。この両国とも共産主義を掲げる最左翼の独裁国家である。だから軍事増強は実は「左傾化」だろう。
 まして日本がいかに防衛努力を強めても核兵器や長距離ミサイルを多数、配備する中国とは次元が異なる。この点、グリーン氏はフィリピン外相が最近、中国の軍拡への抑止として日本が消極平和主義憲法を捨てて、「再軍備」を進めてほしいと言明したことを指摘して語った。
 「日本がアジア全体への軍事的脅威になるという中国の主張は他のアジア諸国では誰も信じないでしょう。東南アジア諸国はむしろ日本の軍事力増強を望んでいます
 同氏は米国側にも言葉を向ける。
「私はオバマ政権2期目の対日政策担当者が新しくなり、韓国の一部の声などに影響され、安倍政権に対し『右傾』への警告などを送ることを恐れています。それは大きなミスとなります。まず日本の対米信頼を崩します」
 グリーン氏は前の安倍政権時代の米側の動きをも論評した。
 「米側ではいわゆる慰安婦問題を機に左派のエリートやニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズが安倍氏を『危険な右翼』としてたたきました。安倍氏の政府間レベルでの戦略的な貢献を認識せずに、でした。その『安倍たたき』は日本側で同氏をとにかく憎む朝日新聞の手法を一部、輸入した形でした。今後はその繰り返しは避けたいです」
 不当なレッテルに惑わされず、安倍政権の真価を日米同盟強化に資するべきだという主張だろう。(ワシントン駐在編集特別委員)
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自民党政権 期待と不安(3)憲法改正へ道筋つけられるか 2012-12-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
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「森永卓郎の戦争と平和講座」 / 古森義久著『憲法が日本を亡ぼす』 2012-12-21 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
 マガジン9 森永卓郎の戦争と平和講座 第53回
自民党憲法改正案の本質
  自民党の憲法改正草案が発表された。日の丸を国旗、君が代を国歌と定め、自衛隊を国防軍と位置づけるなど、従来からの主張を鮮明に打ち出している。それはそれで大きな問題なのだが、私が一番気になったのは、基本的人権を守ろうとする姿勢が大きく後退していることだ。
 例えば第21条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」との現行規定に「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」という条文を追加したのだ。
 これだと権力者が「公益及び公の秩序を害する」と判断したら、表現の自由が許されなくなってしまうことになる。ファシズムもはなはだしいのだ。
 第12条にも「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」と書かれている。
 結局、秩序優先、公益優先で、権力者の意向次第で、国民の基本的人権は制約されるというファシズム、極右の世界観が、この憲法草案の基本理念なのだ。
 いま欧州では中道右派政権が行ってきた財政引き締め、新自由主義路線への批判が大きく高まっている。2000年頃に欧州では中道左派政権が崩壊し、中道右派政権が次々に誕生した。しかし、10年間に及ぶ新自由主義が創り出した弱肉強食社会では、経済が上手く回らないということを欧州の人たちは学習したのだ。
 その結果が、フランス大統領選挙であり、ギリシャの議会選挙なのだ。しかし、社会党のオランド党首が大統領選挙を制したとは言え、見逃してはならないことがある。それは、フランスの大統領選挙の第一回投票で、極右のマリーヌ・ルペンが、オランド、サルコジに続いて、第三位、18.0%もの得票を集めたという事実だ。
 中道右派から中道左派への政権回帰が進む陰で、極右勢力が急速に支持を拡大しているのだ。
 日本も、この動きと無縁ではない。国民の圧倒的支持を得ている橋下徹大阪市長は、「君が代斉唱の際の口元チェックは行き過ぎではないか」との記者の質問に対して、「君が代は公務員の社歌だ」と開き直った。また、市職員の入れ墨をアンケート調査し、調査に応じなかった職員は、在任期間中は昇進させない方針を明らかにした。
 ただ、さすがに入れ墨問題では、人目に触れる箇所に入れ墨をしている職員を市民の目に触れない部署に配置転換させる方針を打ち出した。これまでの勢いだったら、入れ墨をしている職員は、分限免職だと言い出しかねなかったのだ。
 法令遵守の心が橋下市長の心にも芽生えたらしい。しかし、橋下市長の言動は、細かい法律を守ったとしても、やはり法律違反だと私は思う。憲法に違反しているからだ。
 もし、この自民党憲法改正草案が原案通り成立したら、橋下市長のハシズムは、何ら法律違反ではないことになってしまう。
 そうやって、日本は基本的な人権を失っていくのだ。戦争で人命が失われることは、悲惨なことだ、しかし、それ以前に、集会、結社、言論、出版などの自由が失われることは、事実上命を失うに等しい苦痛を国民に与える。
 ファシズムの時代に戻るのか否か、日本人はいま大きな分岐点に立たされているのだ。
 (2012-05-23up)
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『憲法が日本を亡ぼす』古森義久著 海竜社 2012年11月15日 第1刷発行
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