<失業率>予測超す悪化速度 消費減退、悪循環も
8月28日12時3分配信 毎日新聞
7月に5.7%と過去最悪になった完全失業率(季節調整値)は、企業の輸出や生産が回復に向かっているにもかかわらず、今後一層悪化する可能性が高い。先行きの不透明感から、依然人員抑制に走る企業が少なくないと見られているためだ。雇用環境の悪化が消費減退を招き、さらに企業に雇用調整を促すという悪循環に陥る事態も想定されている。
失業率は、景気動向の推移より半年程度遅れる「遅行指標」だ。しかし、あと半年で改善に向かうかとなると、慎重な見方が大勢を占める。企業が採用増に転じても、人件費の安い海外で調達するなら日本の失業率は下がらない。リストラで業績が好転した会社なら、簡単には雇用を増やさないだろう。
7月末、内閣府所管の経済企画協会がエコノミスト36人の予測をまとめたところ、今後完全失業率は09年10~12月の3カ月平均で5.56%になり、5.7%に達するのは10年4~6月(5.66%)という見立てだった。ところが、現実は早くも上回った。
金融危機、長引くデフレで体力の弱った企業は業績回復に時間を要し、今後も採用抑制や人員削減に踏み切る--。多くのエコノミストはそう見ているが、雇用情勢の悪化は専門家の予測を超える勢いで進んでいる。
日本企業は、生産に見合う水準を超えた「過剰雇用者」を、過去最多の607万人(09年1~3月)抱えているとの政府推計もある。「失業予備軍」が7月の完全失業者数(359万人)の2倍近くいるわけで、当面雇用情勢が回復しないことを示唆している。
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7月の完全失業率5.7%、過去最悪を更新 雇用悪化に歯止めがかからない。
総務省が28日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は5.7%と前月と比べ0.3ポイント悪化し、過去最悪を更新した。直近で最悪だったのは2003年4月などに記録した5.5%。厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は0.42倍と前月と比べ0.01ポイント低下し、3カ月連続で過去最低を更新した。(日経2009/8/28)
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銀行の国債保有、最高水準 6月末の残高111兆円
銀行に預金の形で集まったお金が国債市場に流れ込んでいる。資金需要の低迷により銀行が運用難に陥っているためで、国内銀行が保有する国債の残高は昨秋から急増、6月末には111兆円台と最高水準に達した。企業や個人への融資金利の基準となる長期金利の上昇を抑える効果がある一方、預金で集めたお金が民間の経済活動に回らない構図も鮮明になっている。
銀行は預金で集めた資金を企業や個人に貸し出しているが、余った分は有価証券などで運用している。日銀の「民間金融機関の資産・負債統計」(オフショア勘定含む)によると、国内銀行の6月末の預金額は過去最高の約573兆円に拡大。一方、貸出金は約431兆円と3カ月連続で減った。預金から貸出金を引いた「預金超過額」は過去最高の142兆円に達している。この8割程度が国債に回っている計算になる。(日経2009/8/28)
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新S 「くらべる一面」 編集局から
朝日新聞
賃貸住宅についての長年の商慣行に「ノー」を突きつけた形です。大阪高裁で27日、賃貸マンションの契約更新時の「更新料」は、消費者契約法に反して無効だ、との判決がありました。これまで地裁段階で判断が分かれていましたが、高裁では初の判断です。更新料は地域によってあるところ、ないところがあり、その金額もまちまち。ただ、首都圏など全国約100万戸で更新料が設定されているそうです。賃貸住宅市場への影響は大きいはずで、1面などで手厚く報道しました。(圭)
日本経済新聞
「貯蓄を増やさなければ」と、皆さんが銀行に預けたおカネはどこへ行っているのでしょうか。貸し出しに向かえばいいのですが、どうもそうとは言えないようです。 日銀の統計によると預金が増えた分の大半は国債に向かっている姿が浮かび上がります。銀行が保有する国債の額は過去最高水準になったという記事を1面に掲載しました。 国債を買うだけなら個人でもできます。有効な使い道を探すのが銀行の役割ですが、どうもその責務を果たせていないようです。(J)
読売新聞
強烈な追い風は吹き止まないようです。本紙の衆院選の終盤情勢調査がまとまりました。激戦区や注目区など200選挙区で調査したところ、民主党は序盤の「300議席を超える勢い」を保っています。差を縮めている選挙区はあるものの、与党は苦戦が続いています。期待した「揺り戻し」もなく、自民党関係者からは「あとは負け幅をどれだけ減らすかだ」とのため息が漏れます。1面と3面、2ページの特集で報じています。(中)