夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断 2015/12/16

2015-12-16 | 社会

 産経ニュース 2015.12.16 21:51更新
結婚控えたカップルは…「好きな人と同じ姓になれることがうれしい」 世論調査でも夫婦別姓求める声は限定的
 最高裁大法廷が16日、夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断した。理由の一つとして挙げたのは、「夫婦同姓は合理的で日本社会に定着している」という点だ。世論調査でも夫婦別姓導入の賛否は分かれ、仮に導入されても、別姓にしたいとする層は限られている。夫婦別姓導入で混乱が予想された教育現場からは「ほっとした」との声も上がった。
 いくつもの結婚式場が立ち並び、結婚を控えたカップルが行き交う東京・表参道。「どちらの姓になっても困ることはない。むしろ、好きな人と同じ姓になれることがうれしい」。式場の下見に来たという千葉市中央区の会社員、安丸瑛太さん(36)と公務員の清田恵さん(35)は、夫婦別姓について問われると、こう話して笑顔を見せた。
 来春に挙式を予定しているという東京都立川市の会社経営、石川恵美さん(35)は既に入籍を済ませ、「当然のように夫の石川姓を名乗るようになった」と説明する。社内では旧姓の近田で呼ばれることの方が多く、「日常生活に不便は感じていない」という。「(民法は)男女どちらかの姓を選べ、としているのだから、女性蔑視だとは思わないし、法律上の不備もないと思う」
 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が12、13両日に実施した合同世論調査によると、夫婦別姓に賛成は51.4%で反対は42.3%。しかし、実際に別姓を選べるようになった場合、別姓を希望するかとの問いに、「希望する」と答えたのは13.9%だった。年齢別でも、これから結婚する層が多い20代でさえ21.1%にとどまった。
 夫婦別姓によるトラブルが懸念されていた教育現場からは、安堵(あんど)の声も聞こえた。出欠を確認する際に園児の名字を呼んでいるという東京都杉並区の幼稚園の副園長は「園児の気持ちを考えれば名字を呼び間違え、傷付けることはしたくない。どちらでも対応するつもりだったが、今回の判断でよかった」と話した。
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2015.12.16 15:24更新
夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
 【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
 民法で定めた「夫婦別姓を認めない」とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、「規定は合憲」とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。原告は「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」などと主張したが、「夫婦や親子など家族のあり方が損なわれる」との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗(きっこう)してきた。
 一方、「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」とする規定をめぐる訴訟で、大法廷は「規定は違憲」と初判断。100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
 夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
 両規定をめぐっては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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〈来栖の独白〉
 妥当な判決。よかった~。
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2015.11.17 05:00更新
【正論】夫婦別姓容認は家族の呼称廃止を意味する 最高裁は慎重な判断を… 八木秀次(麗澤大教授)
 結婚すると夫婦が同じ姓を名乗るとする民法750条と、女性は離婚後6カ月経過しなければ再婚できないとする同733条を、「法の下の平等」を保障した憲法に違反するとした2つの訴訟について、最高裁大法廷は先頃、当事者の意見を聞く弁論を開いた。2つの裁判はともに1審、2審と憲法に違反しないとして原告が敗訴している。
 弁論を行うのはこれまでの判例の変更や憲法判断する場合だ。12月の最高裁の判断で、わが国の家族制度が大きく揺らぐ事態とならないことを願いたい。
《「姓」は家族共同体の名称》
 夫婦別姓の主張は3種類ある。(1)結婚により夫婦の一方が姓を変更するのは多くの手続きが必要で、仕事上の連続性もなくなる(2)結婚で一方の家名がなくなる(3)姓を変えることで自分が失われてしまう気がする-というものだ。
 別姓の主張の大部分は(1)だが、今日では職場などでの旧姓の通称使用が普及している。女性の政治家の多くは旧姓を通称使用し、現在ではパスポートでも旧姓の併記が可能になった。民法を改正する必要はない。(2)は子供が娘1人といった場合に強く主張されたが、さらに次の世代(孫)を養子にして家名を継がせればよく、どのみち孫が複数生まれなければ家名の継承者はいなくなる。別姓での解決は不可能だ。(3)は少数だが根強く、裁判の原告の主張もこれだ。
 夫婦同姓の制度は戸籍制度と一体不可分だ。結婚すると夫婦は同じ戸籍に登載される。その間に生まれた子供も同様だ。つまり、姓(法律上は氏)は夫婦とその間に生まれた子供からなる家族共同体の名称という意味を持つ。別姓になれば、姓は共同体の名称ではなくなる。
《軽視すべきでない精神的一体感》
 同姓にしたい人は同姓に、別姓にしたい人は別姓に、すなわち選択制にしたらよいという主張もある。しかし、選択制であれ、制度として別姓を認めると氏名の性格が根本的に変わる。氏名は家族共同体の名称(姓・氏)に個人の名称(名)を加えたものだが、別姓を認めると、家族の呼称を持たない存在を認めることになり、氏名は純然たる個人の呼称となる。
 選択的夫婦別姓制を認めた平成8年の法制審議会答申に法務省民事局参事官として関わった小池信行氏は「結局、制度としての家族の氏は廃止せざるを得ないことになる。つまり、氏というのは純然たる個人をあらわすもの、というふうに変質する」と問題点を指摘している(『法の苑』第50号、2009年春)。当然、戸籍制度にも影響は及ぶ。
 家族の呼称が廃止されることから夫婦の間に生まれた子供の姓(氏)をどうするのかという問題も生じる。夫と妻のどちらの姓を名乗るのか、どの時点で決めるのか、複数生まれた場合はどうするのか、さまざまな問題が生じてくる。そこに双方の祖父母が関わる。慎重な検討が必要となる。
 家族が同じ姓を名乗る、すなわち家族の呼称を持つことで家族としての精神的な一体感が生ずるという点も軽視してはならない。多くの人が自らは別姓を選ばない理由はここにある。別姓の容認は家族の呼称の廃止を意味し、家族の一体感をも損なうことになる。
《合理性ある女性の再婚禁止期間》
 女性の再婚禁止期間は生まれた子供の父が誰かの判断を混乱させないための措置だ。民法は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」(772条1項)、「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」(同2項)と規定する。
 重要なのは「推定」という文言で、国(法律)としてはあくまで夫の子と推定するにとどまり、真実に夫の子であるかどうかには関与しない。結婚している間に妻が宿した子供は夫の子であるだろうと推定し、夫に父親としての責任を負わせるのが法の趣旨だ。
 女性にだけ再婚禁止期間があるのは女性しか妊娠できないからだ。再婚禁止期間の廃止や短縮も主張されているが、そうなれば、子の父が誰であるかについての紛争が増える。DNA鑑定すればよいとの指摘もあるが、法は真実は詮索せず、法律上の父親を早めに決めて監護養育の責任を負わせるのが趣旨だ。
 DNA鑑定により数代前からの親子関係、親族関係がひっくり返る可能性もあり、影響は相続関係にも及ぶ。再婚禁止期間中に現在の夫との間で妊娠した子も前夫の子と推定されることから、出生届を出さずに無戸籍となる子供の救済は再婚禁止期間の見直しとは別に行えばよく、民法の問題ではない。
 憲法は合理的な根拠のある差別は許容する、とするのが最高裁の判例の立場でもある。夫婦同姓も女性の再婚禁止期間も十分な合理性がある。最高裁には国会の立法権を脅かす越権行為は慎み、国民の大多数が納得する賢明な判断を求めたい。(麗澤大教授・八木秀次)
 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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