茨城県で1967年、男性が殺害され現金が奪われた「布川(ふかわ)事件」で、第2次再審請求抗告審で元被告2人の再審開始を認めた東京高裁決定について東京高検は22日、「判例違反があり、重大な事実誤認がある」として最高裁に特別抗告した。裁判をやり直すかどうかは最高裁の審理に委ねられることになった。
再審請求が2度認められながら、検察側が2度とも抗告するのは極めて異例。特別抗告は憲法違反や判例違反に限られるが、再審決定の決め手となった新証拠について、東京高検は「最高裁で確定した判決を覆すだけの明白な証拠はない。判決を揺るがす力のある新規かつ明白な証拠があるとは思えない」と指摘した。再審請求しているのは無期懲役刑が確定し、現在は仮釈放中の桜井昌司さん(61)と杉山卓男さん(61)。
14日の東京高裁決定は最大の争点だった自白内容について「手で首を絞めたとされる殺害行為など重要部分で客観的事実に合致せず犯行に至る経緯、殺害状況などに著しい変遷がある」として虚偽の自白を誘導されたとする弁護側の主張を認めた。また「現場近くで2人を目撃したとの証言も信用できない」と判断し「確定判決の事実認定には合理的な疑いが生じ、判決の判断を維持することはできない」と結論付けた。
この事件は、67年8月、茨城県利根町布川の大工玉村象天さん=当時(62)=が殺害されているのが見つかり、別の事件で逮捕された桜井さんらが殺害と現金10万円の強奪を自白。強盗殺人罪で起訴され無期懲役が確定した。水戸地裁土浦支部が2005年に再審開始を決定し、検察側が即時抗告したが、東京高裁が退けていた。(中日新聞)
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