「取り調べ可視化を。死刑を廃止して」足利事件・菅家さんーこれだけ「正義」のレッテルを張られては・・・

2009-06-12 | 社会

〈来栖の独白〉
 おぞましい事態になっているように思う。これだけ正義のレッテルを張られて「いい気分」にならない人間は、いないだろう。自分を見失ってしまうのではないか。人間とは弱いものだから。
 私の知る、或る犯罪被害者遺族だが、田舎の純朴な、ただの人だったけれど、被害者遺族として死刑廃止運動体やメディアと接触し発言するうち、変容した。朴訥な口調は、みるみる能弁、達者になった。マスコミを手放さず、従え、小さな「真実」に対しては、杜撰になった。
 わが国民性はメディアを筆頭に、一人の人を悪人として特定し集中攻撃する。「昨日」、その悪人は菅谷さんであった。「今日」は、警察・検察である。この攻撃は、まことに凄まじい。「謝れ」と詰め寄って容赦ない。まるで自分たちは決して過つことがないかのようだ。
 そして、政治の場では、既に「菅谷さん」の有効活用(=国会への期待を議員から問われると「死刑(制度)を廃止してもらいたい」と述べた。=)が始まっている。
 メディアも国会議員も、菅家さんから、あの好ましい人柄を取り上げないで戴きたい。静かな生活を送らせてあげてください。立ち止まって考える時間をあげて・・・。
 菅家さん、サービスなんてしないでいいよ。
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足利事件:県警コメント 本部長欠席、謝罪を代読 「適切対応」繰り返す /栃木
6月12日12時0分配信 毎日新聞
 「足利事件」で釈放された菅家利和さん(62)について、最高検の伊藤鉄男次長検事が謝罪会見を開いてから一夜明けた11日、栃木県警は石川正一郎本部長名で謝罪コメントを発表した。最高検に続く無罪確定前の異例の謝罪となったが、石川本部長は出席せず、「本人への謝罪は」「会見は行うのか」との質問に、高田健治刑事部長は「適時適切に対応する」と繰り返した。【吉村周平】
 「検察当局が刑の執行停止を決定した事態を、厳粛に重く受け止めております」。同日、県警記者クラブで高田刑事部長が「警察本部長コメント」を代読した。
 県警側はカメラ撮影を伴う記者会見は認めず、石川本部長は欠席。高田刑事部長と白井孝雄刑事総務課長が代わりに対応した。今後の会見や菅家さんへの直接謝罪の予定について質問が出ると、コメントの「適時適切に対応する」という部分を繰り返した。
 また、コメントは「長期間にわたり刑に服されることとなったことは、遺憾で申し訳ないことと考える」としており、最高検が「真犯人と思われない人を起訴し、服役させたことは大変申し訳ないと思っている」と率直に謝罪したのに対し、主体が不明瞭(めいりょう)な文言となっていた。
 県警は刑事部長以下15人で構成する「検討チーム」を5日付で発足。当時の捜査全般について問題点を検討しており、結果的に誤認逮捕になった要因については「審理を見守りながら、検討していく」と述べ、検証結果を公表する方針を示した。
 ◇「真犯人とは思われない方」--一問一答
 本部長謝罪コメントに関する、記者レクチャーの要旨は次の通り。
 --なぜこのタイミングか。
 高田刑事部長 早期の謝罪が適当であると判断した。
 --「適時適切に対応」とは具体的には。
 部長 「適時適切に」ということでご理解頂きたい。
 --直接謝罪する考えは。
 部長 そのことも「適時適切に」と理解頂きたい。
 --本部長はなぜ出席しないのか。
 白井孝雄刑事総務課長 本人に対する謝罪は審理の推移を踏まえて適時適切に対応したい。
 --コメントは特定の誰かに対する謝罪ではないのか。
 部長 菅家さんを含め、県民、国民に向けてだ。
 --「遺憾」な事態を招いた原因は。
 部長 検討チームを立ち上げている。検討していく。
 --検討結果の見通しは。
 部長 現時点で「いつ」とは申し上げにくい。
 --誤認逮捕を認めたのか。
 部長 「真犯人とは思われない方」という表現で理解頂きたい。
 --謝罪の手段としてコメントでいいのか。
 部長 ご本人に対しては適時適切に対応する。
 --最高検は会見を開いたが。
 部長 「適時適切に対応する」というコメントが、本部長の気持ちを表現している。
 --会見の予定は。
 部長 それも踏まえて「適時適切に」という表現だ。
 --逮捕について申し訳ないと考えているのか。
 部長 捜査の過程で逮捕や取り調べは捜査手続きの一つとして含まれる。ご理解頂きたい。
 --「早期に謝罪すべき」としつつ、本人へは早く謝罪しないのか。
 部長 早期にも含めて、「適時適切に」ということだ。
 ◇菅家さん、17日に足利市長と面会
 菅家さんは17日に故郷の足利市を訪れ、大豆生田(おおまみうだ)実市長と面会することになった。同市が11日、発表した。
 同市によると、数日前に菅家さんの弁護団側から大豆生田市長との面会を求める電話があった。弁護団側の一人が市長のブログで、「足利市を代表して心からお迎えしたい。お待ちしています!」などと、菅家さんの帰郷を歓迎するコメントを読んだのがきっかけという。【古賀三男】
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 ◇捜査の質高め、再生の道を--宇都宮支局長・小野博宣
 県警本部長が、足利事件の菅家利和さんに謝罪をした。無罪判決前の異例の謝罪は評価されるべきだと思う。ただし、謝罪には行動が伴わないといけない。
 まず、第一にすべきは直接の謝罪だろう。菅家さんは納得などしないだろうが、想像を絶する困苦に誠意ある対応を示してほしい。
 二つ目は、県警は当時の問題点を洗い出す調査検討チームを発足させたが、その調査を実効性のあるものにすべきだ。
 菅家さんは、取り調べの際に「髪を引っ張られた」「足をけられた」と語っている。この証言に、仮に「確認できなかった」「これまでの裁判で問題とならなかった」との報告をするようであれば、菅家さんも県民も許さない。いつ、誰が、どんな捜査をしたのか。調査は詳細を極めるべきであり、全面公開を望む。
 さらに、これだけの失態を起こした県警だからこそ、新時代の捜査や取り調べ方法を全国警察に先駆けて取り入れてほしい。代用刑事施設の全廃、取り調べの全面可視化の採用は当然だろう。自白に過度に頼らない証拠主義を確立し、捜査員の質を高めてほしい。
 県警の謝罪の背景には、最高検の謝罪があったのは間違いない。そして、最高検の謝罪の遠因となったのは、裁判員制度の本格運用があると推測される。これまでの検察・警察は不祥事案に対して、木で鼻をくくったような対応をすることが時としてあった。
 だが、裁判員たる市民がそのような言動に接した時、司法に対して不信を抱かないだろうか。司法への信頼がなければ、裁判員制度は画餅に帰す恐れがある。
 裁判員として法廷に立った時、我々は冤罪(えんざい)のお先棒は担ぎたくないと願っている。その当たり前の希望に、信頼を持って応えられる県警であり、司法であってほしい。再生への道は閉ざされていない。むしろ裁判員制度の始まりとともに開かれたばかりだ。
6月12日朝刊
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警察庁長官も「遺憾」 足利事件
6月12日8時5分配信 産経新聞
 足利事件で菅家利和さん(62)が釈放されたことを受け、警察庁の吉村博人長官は11日、「(真犯人とは思われない方が長期間刑に服したことは)遺憾なことで、二度とないようにしなければならない」と述べた。栃木県警の石川正一郎本部長も「遺憾で申し訳ない」との談話を文書で発表。警察当局が菅家さんの逮捕や服役に関して謝罪したのは初めて。
 栃木県警の高田健治刑事部長は文書を発表した経緯について、「刑の執行停止を厳粛に受け止め、早期に謝罪することが適切と判断した」と説明。菅家さんに直接謝罪することは「菅家さんとは連絡をとっておらず、抗告審などの推移を踏まえ、適切に対応する」とした。当時の捜査などに関しては「問題点を検討するチームを設けており、結果を公表したい」と話した。
 一方、菅家さんは同日、民主党の法務部門会議に出席し、「気が弱く、刑事の取り調べに言い返すことができなかった」と述べ、取り調べ全過程の録音・録画(可視化)を含めた冤罪(えんざい)防止策の構築を訴えた。
 菅家さんは捜査段階で“自白”を迫られた状況も詳しく説明した上で「これから再審が始まる。(17年半拘束された理由の解明を)徹底的にやる」と語った。
 最高検が10日に起訴と服役を謝罪した会見にも改めて言及し、「目の前で謝罪してもらいたい」と話した。同席した佐藤博史弁護士は「菅家さんの無期懲役を確定させた最高裁判事を国会に証人喚問してほしい」と訴えた。
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足利事件 取り調べ可視化を 民主党会議で菅家さん訴える
6月11日13時51分配信 毎日新聞
 民主党法務部門会議は11日「足利事件」で無期懲役確定後に釈放された菅家利和さん(62)を衆院議員会館に招き話を聞いた。菅家さんは「17年半、無実の罪で刑務所に入れられ、当時の刑事や検察を絶対に許すことはない」と改めて直接の謝罪を求めたうえで捜査段階で強引な取り調べを受けたと述べ、取り調べ全過程の録画・録音(可視化)の必要性を訴えた。
 菅家さんは取り調べを「お前がやったんだと何度も言われ、どうなってもいいと思った」と振り返った。また殺人罪の公訴時効(当時15年)が成立した点について「真犯人には一日も早く出てこいと言いたい。たとえ時効になっていても関係ない」と話した。国会への期待を議員から問われると「死刑(制度)を廃止してもらいたい」と述べた。
 細川律夫衆院議員は「冤罪(えんざい)は絶対にあってはならない。司法だけでなく立法の場から、冤罪の起きない仕組みを作ることが我々の使命」と述べた。同党は参院での菅家さんの参考人招致を求めたが、与党側の反対もあり実現していない。【石川淳一】


1 コメント

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冤罪 (narchan)
2009-06-12 14:33:31
細川律夫議員は、「冤罪は絶対あってはならない」と言われたそうですが、裁判は、人間がする以上、冤罪の可能性をゼロにすることはできないと思います。だからこそ死刑制度を廃止しなければならないのです。ちなみに和歌山のカレー事件の死刑判決は、状況証拠にのみ基づく判決ですので、冤罪の可能性は、大きいと思います。因果関係を状況証明のみで立証するのは、論理的に誤りです。
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