ホンダ、インドでスズキ追撃 フィット投入 小型車需要狙う

2009-06-12 | 国際
2009/6/11Business-i
 ホンダは10日、インドで排気量1200ccのコンパクトカー「ジャズ(日本名・フィット)」を発売したと発表した。インド向けモデルとしては最も小型で、価格は69万8000ルピー(約143万円)に設定。中国に次いでモータリゼーションが進むとされるインドの自動車市場では、半分近いシェアをスズキが持っており、ホンダは“切り崩し”を目指す。
 ≪専用エンジン搭載≫
 インドでは2006年6月、排気量1200cc以下の小型車の物品税(日本の消費税に相当)率を引き下げた一方、昨年8月から1500cc以上の車に1万5000ルピー(約3万円)以上を追加課税する小型車優遇税制を導入。小型車需要が、急拡大している。
 これまで、インド・ウッタルプラディッシュ州の第1工場で生産する「シティ(排気量1500cc)」「シビック(1800cc)」を含め、4車種をインド市場に投入してきたホンダにとって、ジャズは初の優遇税制対象車となる。
 ジャズには、インド市場専用の新開発エンジンを搭載。スズキや韓国の現代自動車の同クラスの主力車が40万~50万ルピーに設定されている価格に対して、ホンダは約30~40%高めに設定。「中流階級以上」に狙いを絞るシナリオを描く。
 ジャズの投入で第1工場の生産はフル稼働の年間10万台に達するとみられ、市場動向によって年間6万台を計画する第2工場の稼働を検討する。
 世界規模の不況とはいえ、各国の自動車メーカーは、インドを「中国、ロシアに続く新興市場」として、注目している。独フォルクスワーゲン(VW)はインド・ムンバイ近郊に新工場を立ち上げ、小型車「シュコダ」を5月に発売。米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したGM(ゼネラル・モーターズ)も昨年9月、インドに第2工場を立ち上げたほどだ。
 ≪300万台市場に照準≫
 インドの年間乗用車販売台数は、02年の67万台から08年に156万台まで拡大。15年には「300万台まで増える」との見方もあり、ホンダはジャズの生産を引き金に第2工場稼働を視野に入れている。
 ホンダやスズキ以外の日本メーカーも、負けていない。トヨタ自動車は、バンガロールの第1工場で9月から中型SUV(スポーツ用多目的車)のフル生産態勢に入り、同じ敷地内の第2工場で小型車工場を稼働する。車種は明らかにしていないが、1200cc以下のクラスになるもようだ。
 今のところ輸入車販売にとどまる日産自動車も来年5月、年産20万台の工場を建設し、小型車「マーチ」を軸に市場開拓を進めることにしている。
 トップシェアのスズキとしてもタタをはじめ現地メーカーの台頭や日本勢、欧米メーカーのインド市場強化に警戒感を強めてやまない。
 市場のニーズをとらえている先行者メリットはあるものの、今後のカギは「販売網の整備」(スズキ)。本格的な自動車普及期に入る中、インドでもアフターサービスを含む総合的なサービスが求められるようになるため、販売店の拡充や点検、保守能力の品質強化で突き放したい考えだ。(平尾孝)

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