大阪母子殺害事件 森健充被告 差し戻し控訴審も無罪 2017/3/2 ⇒ 被告の無罪確定へ 大阪高検が上告断念 2017/3/15

2017-03-02 | 死刑/重刑/生命犯

大阪母子殺害 高裁も無罪 差し戻し控訴審、間接証拠認めず 
 日本経済新聞 2017/3/2 11:27 (2017/3/2 12:29更新)
 大阪市平野区のマンションで2002年、義理の娘とその長男を殺害したとして殺人罪などに問われた大阪刑務所刑務官、森健充被告(59)=休職中=の差し戻し控訴審判決が2日、大阪高裁であった。福崎伸一郎裁判長は無罪とした差し戻し後の一審・大阪地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。
 一、二審の有罪判決を最高裁が破棄し、差し戻し後の一審が一転無罪とした今回の事件。被告は一貫して無罪を主張し、犯行を裏付ける直接証拠がない中、検察が積み上げた間接証拠を裁判所がどう評価するかが焦点だった。
 判決理由で福崎裁判長は、森被告が現場室内の家具の配置を知っていたことなど、検察側が主張した間接事実について「被告が事件当日に現場室内に立ち入ったことを推認させるものではなく、差し戻し後の一審判決は正当なものとして是認できる」と述べた。
 差し戻し控訴審で検察側は、凶器とされる犬の散歩用ひもや現場室内のソファなどのDNA型鑑定を新たに請求。しかし、いずれからも被告と一致する型は検出されなかった。
 検察側は鑑定結果について「第三者による犯行を示すものではない」とした上で、(1)事件直後に現場マンションの階段にあった灰皿で採取されたたばこの吸い殻から被告のDNA型が検出された(2)事件当日、現場近くで被告に似た人物が目撃された――などの状況証拠を改めて列挙。「被告が犯人でなければ合理的に説明できない」と主張した。
 一方、弁護側は「森被告が現場の部屋に入った証拠はない」と反論。凶器などからは森被告とは異なる男性のDNA型が検出されており「被告の無罪は明確。(有罪判決を破棄した)最高裁の疑問について、検察側は解明できていない」として控訴棄却を求めていた。
 森被告は02年、義理の娘の森まゆみさん(当時28)とその長男、瞳真ちゃん(同1)を殺害し、部屋を放火で全焼させたとして起訴された。
 差し戻し前の一、二審判決は、現場付近で採取されたたばこの吸い殻72本のうち1本から被告のDNA型が検出されたことなどを決め手に、被告の犯行と認定。一審・大阪地裁は無期懲役、二審・大阪高裁は死刑を言い渡した。
 これに対し、最高裁は10年、間接証拠だけで犯人だと認定するには「被告が犯人でなければ合理的に説明することができない事実関係が含まれていることが必要」との判断基準を提示。一、二審判決は事実誤認の可能性があるとして破棄し、審理を一審に差し戻した。
 差し戻し後の一審・大阪地裁判決は「検察側が示した証拠は被告の犯人性を証明する有力な証拠とは認められない」と判断し、無罪(求刑死刑)を言い渡した。

 ◎上記事は[日本経済新聞]からの転載・引用です
――――――――――――――――――――――――
産経ニュース 2017.3.15 18:30更新
【平野母子殺害】被告の無罪確定へ 大阪高検が上告断念
 大阪市平野区で平成14年に起きた母子殺害放火事件で、殺人などの罪に問われた大阪刑務所刑務官、森健充(たけみつ)被告(59)=休職中=を無罪とした大阪高裁の差し戻し控訴審判決について、大阪高検は、最高裁への上告を断念する方針を固めた。上告期限の16日が過ぎれば森被告の無罪が確定する。
 今月2日の差し戻し控訴審判決は、検察側が有罪の根拠とした複数の状況証拠について「被告が犯人とは推認できない」と全面的に退けていた。刑事訴訟法は上告について憲法違反や著しい事実誤認がある場合などに限定しており、大阪高検は適切な上告理由がないと判断したとみられる。
 この事件では、森被告の義理の娘だった森まゆみさん=当時(28)=と、長男の瞳真(とうま)ちゃん=同(1)=が犠牲になった。まゆみさんの母親(67)は取材に「あの子らが浮かばれなくてかわいそう。本当に悔しい」と話した。
 森刑務官は14年4月、平野区のマンションで2人を殺害後、部屋に放火したとして起訴された。一貫して無罪を主張したが、差し戻し前の1、2審は状況証拠から森刑務官の有罪を認定し、1審は無期懲役、2審は死刑とした。
 しかし最高裁が22年4月、事実誤認の疑いを指摘し、有罪判決を破棄、審理を差し戻した。差し戻し審判決は森刑務官が現場に立ち入ったとは認められないとして無罪を言い渡し、大阪高裁もこの判決を支持した。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
――――――――――――――――――――――――
「大阪母子殺害事件」森健充被告に無罪 差し戻し審 判決公判 2012.3.15 大阪地裁 水島和男裁判長
----------
『年報・死刑廃止2010』 /大阪母子殺害事件/堀籠幸男裁判官/後藤貞人弁護士
.......


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。