大阪 平野区 母子殺害事件 発生から15年 再び無罪「何のための司法か」遺族肩落とす 2017/3/2

2017-03-02 | 死刑/重刑/生命犯

平野母子殺害 発生から15年再び無罪「何のための司法か」遺族肩落とす
産経WEST 2017.3.2 15:43
 事件発生からもうすぐ15年がたつ。無期懲役から死刑、最高裁による差し戻し、そして無罪-。司法判断が揺れに揺れた大阪市平野区の母子殺害放火事件の差し戻し控訴審で、大阪高裁は2日、差し戻し1審の判決を支持し、殺人などの罪に問われた刑務官、森健充被告(59)を再び無罪とした。逆転有罪を願った被害者の遺族は、被告不在の法廷で読み上げられた主文に、がっくりと肩を落とした。
 5年前の無罪判決で森刑務官は釈放され、被告人の出頭義務がない控訴審の公開法廷には、この日も含め一度も姿を見せなかった。
 法廷では無人の証言台を挟み、検察官と弁護人が相対した。裁判長は傍聴席を見据え、判決文の朗読を始めた。「主文、本件控訴を棄却する」
 「これだけ状況証拠はあるのに。何のための司法なのだろう」。犠牲になった森まゆみさん=当時(28)=の母、明石隆子さん(67)は最高裁が有罪立証に高いハードルを課して審理を差し戻した後、こんな無念さを語っていた。
 この日、傍聴席に座った明石さんは裁判長にじっと目を向けていたが、2度目の無罪判決に力なくうつむいた。午前の審理終了後の取材に「今の段階では何もお答えすることはありません」と目に涙を浮かべて話した。
 最高裁でも差し戻しか有罪かをめぐって評価が分かれ、「まれに見る難事件」といわれた。差し戻しに賛成した最高裁判事の補足意見中にも「被告に濃厚な嫌疑があることは、否定すべくもない」との言及があるくらいだ。
 ただ無期懲役、ましてや死刑という究極の選択にあたって疑わしい間接事実をいくら列挙しても有罪としてはならない。最高裁は状況証拠が複数あっても「被告が犯人でなければ説明できない事実」という“決め手”が必要だと判示した。
 もともと検察側の立証の要は、現場マンションの踊り場の灰皿から見つかり、森刑務官のDNA型が検出された1本の吸い殻しかなかった。マンションへの立ち入りを否定する森刑務官の供述を否定する証拠だ。
 被害者のまゆみさんと、殺害された長男の瞳真(とうま)ちゃん=同(1)=は、森刑務官夫妻宅で平成13年9月から翌月まで同居し、その後は森刑務官に住所を告げず、平野区のマンションに転居した。
 まゆみさんも喫煙者で、同居の際に森刑務官らと共有していた携帯灰皿を自宅に持ち帰っていた。弁護側が主張したように、森刑務官の吸い殻がその携帯灰皿の中にあり、まゆみさんがその中身を踊り場の灰皿に捨てた可能性もあった。
 このため最高裁は、残りの吸い殻も鑑定し、その中にまゆみさんの吸い殻が含まれていないか鑑定するよう求めたが、その後になって、大阪府警が残りの吸い殻を誤廃棄していたことが発覚。吸い殻鑑定というメインテーマが失われた差し戻し審では、検察側の苦境が目立ち、新たに提出した間接証拠も判決で一蹴されていた。
 25年7月から始まった差し戻し控訴審では、凶器や事件現場で採取された微物などのDNA鑑定に実に3年近い審理期間が費やされた。しかし起死回生を図った検察側の思惑は外れ、森刑務官のDNA型は検出されなかった。

平野母子殺害 無罪判決に当時の捜査幹部ら「勝負に負けた」
産経WEST 2017.3.2 15:45
 「勝負をして、負けたということだ。時間が経過すればするほど立証は難しくなる」。母子殺害放火事件の捜査に関わった大阪府警の元幹部はこの日の無罪判決について、こう感想を述べた。
 森健充刑務官には事件当日のアリバイがなかった。当初の調べには「車で息子(被害者の夫)を捜していた」と説明したという。しかし「周囲のNシステム(自動車ナンバー読み取り装置)を調べても、まったくヒットしなかった」(元幹部)。本当に捜し回っていたのか疑念を持った。
 ただ当時の府警上層部は「証拠が弱い」として、森刑務官への強制捜査の着手をいったんは見送る。その後、現場マンションの踊り場から、森刑務官のDNA型と一致する吸い殻が見つかり、一転逮捕に至る。ただ、それとてマンションに行ったことを示す証拠にすぎず、殺害行為と結びつくわけではない。
 事件をめぐっては府警の証拠紛失も大きな問題になった。府警は平成24年から「証拠品管理センター」の運用を開始。各署に証拠管理専門の担当者を配置し態勢を強化した。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です

 大阪平野区母子殺害事件 森健充被告 無罪確定へ=大阪高検が上告断念 2017/3/15 
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大阪母子殺害事件 森健充被告 差し戻し控訴審も無罪(福崎伸一郎裁判長)間接証拠認めず 2017/3/2
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「大阪母子殺害事件」森健充被告に無罪 差し戻し審 判決公判 2012.3.15 大阪地裁 水島和男裁判長
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