声上げ始めた死刑存置派 弁護士会、相次ぐ廃止決議の中 2020.12.22

2020-12-22 | 死刑/重刑/生命犯

声上げ始めた死刑存置派 弁護士会、相次ぐ廃止決議の中 
 中日新聞 2020年12月21日 朝刊 社会(26面)
 死刑制度への賛否を巡り、弁護士たちの中で意見の違いが表に出てきた。日本弁護士連合会(日弁連)は「二〇二〇年までの死刑廃止」を掲げ、各地の弁護士会では廃止を求める決議の採択が増えている。一方で、これまで声高に主張することがなかった死刑支持派も声を上げ始めている。 (豊田直也) 
 愛知県弁護士会は十五日に臨時総会を開き、死刑の執行停止と死刑制度の廃止を国に求める決議を初めて採択した。所属する弁護士二千三十五人のうち、投票したのは三割強の六百二十三人。内訳は賛成五百八十一人、反対三十八人、棄権四人だった。 
 決議は死刑を「かけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰」と非難。「廃止は国際的な趨勢であり、冤罪・誤判で執行されてしまったら取り返しがつかない」としている。 
 決議のきっかけは、一六年に福井市で開かれた日弁連の人権擁護大会だ。大会では今年四月に京都市で開催予定だった国連犯罪防止刑事司法会議を念頭に、二〇年までの廃止実現を目標に定めた宣言を採択した。 
 司法会議は新型コロナウイルスの影響で来年三月に延期されたが、全国に五十二ある弁護士会では、死刑廃止や執行停止を求める決議の採択が増えている。16年9月の滋賀を皮切りに宮崎、札幌、大阪、島根、埼玉、福岡、東京、広島と続き、愛知は十番目だ。
 こうした動きに対し、死刑制度の存続を求める声も出始めている。
 犯罪被害者支援弁護士フォーラムは7月に「死刑賛成弁護士」(文藝春秋)を出版した。著者の一人で副代表の川上賢正弁護士(福井弁護士会)は「死をもって償ってほしい」という殺人事件の遺族は多く、その思いに応える死刑制度は必要だ」と説明する。
 京都弁護士会では12年、死刑廃止を求める決議が反対多数で否決された。埼玉弁護士会も昨年2月にいったん否決。死刑の代わりに「仮釈放のない終身刑の導入」の議論もあるなどの説明を加えて再提案され、今年3月に可決された。
 愛知県弁護士会の北沢恒雄弁護士は「思想信条の自由に反する」と投票せず、周囲にボイコットを呼びかけた。川上弁護士は決議について「会員に踏み絵を迫るようだ。廃止を目指すなら、個々の弁護士がそれぞれの価値観でやればいい」と話す。
 中部地方では岐阜、三重、長野、福井の各弁護士会は決議を予定していない。長野県弁護士会刑事弁護センターの藤原寛史委員長は「意見が多様でまとまっていない中で、多数決を取るのは難しい」としている。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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 死刑「やむを得ない」80.8% 世論調査 廃止は106か国
  中日新聞 2020年12月21日 朝刊 社会(26面)
 死刑制度を巡り、国連総会は「死刑は冤罪の場合に取り返しがつかない」などとして、廃止を視野に執行を停止するよう求める決議を繰り返している。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によると、死刑廃止国は昨年時点で106か国。韓国など28か国は10年以上、死刑執行がない。死刑制度があるのは日本や米国、中国など56か国。
 内閣府が昨年11月に実施した世論調査では、死刑が「やむを得ない」は80.8%、「廃止すべきだ」は9%。
 容認の理由(複数回答)は「被害者や家族の気持ちが収まらない」が最多の56.6%、「凶悪犯罪は命をもって償うべきだ」が53.6%と続いた。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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〈来栖の独白 2020.12.22 Tue〉
 この種の記事・論説から通常的に零れているのは、死刑執行に直接携わる刑務官(執行)の方々の心情である。職務上、人を絞首して死なせねばならないわけで、態様は違えども、死刑囚が為したのと同じ「殺人」を為さねばならない。刑場にボタンは3つあり、3名が1つずつ押すが、そのうちの1つが「執行」に繋がっているという。


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