【今市事件裁判員裁判】宇都宮地裁、自白調書を証拠採用 「任意性」認める
下野新聞 2016/ 3月19日 朝刊
2005年、吉田有希(よしだゆき)ちゃん=当時(7)=が殺害された今市事件で、殺人罪に問われた鹿沼市西沢町、無職勝又拓哉(かつまたたくや)被告(33)の裁判員裁判第14回公判が18日、宇都宮地裁(松原里美(まつばらさとみ)裁判長)で開かれ、地裁は被告の自白調書を証拠採用した。「強制された自白で証拠にすべきではない」との弁護側の主張が退けられ、争点だった自白の「任意性」が認められたことになる。
地裁は今後、自白の「信用性」や客観的な状況証拠などを踏まえ、犯人かどうかを判断する。
証拠採用されたのは、14年5~6月、被告が阿部健一(あべけんいち)検事に自白した内容をまとめた調書5通。
今市事件では凶器や被害品など有力な物証がなく、検察側は自白調書を有罪立証の柱と位置付けている。15日に再生された録音録画映像を基に「自分の意思で自由に話しており、任意性は明らか」と主張。
一方、弁護側は別の検事や警察官からの取り調べで侮辱的な言葉や暴力を受けたりしていたとし、取り調べの違法性を訴えていた。
調書は、録音録画された取り調べに基づく内容で、被告は連れ去りや殺害時の状況を詳細に語っている。
殺害動機について、有希ちゃんが被告の顔や車を見ていたため「もし、しゃべられたら家族が困る。殺すしかないと思った」とした。事件を振り返り「本当のことを話して楽になった」とし、「有希ちゃんを殺した罪をきちんと償おうと決心した」と話した。
検察側は取材に「立証活動の成果が認められた」と説明。弁護側は取材に応じなかった。
自白の任意性をめぐっては、4日から10日間にわたって審理され、取り調べの録音録画映像が計7時間超にわたって再生された。
また18日は、有希ちゃんの父親と祖母の意見陳述書が朗読された。22日の論告求刑公判で結審し、31日に判決が言い渡される予定。
◎上記事は[下野新聞]からの転載・引用です
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女児殺害 自白調書の採用決定
NHK NEWS WEB 宇都宮放送局 2016/3/08
栃木県の旧今市市、今の日光市で、小学1年生の女の子が連れ去られて殺害された事件の裁判員裁判で、被告が自分の意思で殺害を認めたかどうか自白の任意性が争点となっている中、宇都宮地方裁判所は任意性があると判断し、検察が提出した自白調書をすべて証拠として採用することを決めました。
平成17年、小学1年生だった吉田有希ちゃん(当時7歳)を殺害したとして逮捕起訴された勝又拓哉被告(33)は逮捕後に殺害を認めたものの、公判前整理手続きで否認し、裁判では無罪を主張しています。
直接的な証拠がない中で、裁判では勝又被告が自分の意思で殺害を認めたかどうか自白の任意性が争点となり、検察は取り調べの様子を撮影した異例の長さの7時間以上に及ぶ録音録画を公開しました。
18日の裁判で、宇都宮地方裁判所の松原里美裁判長は自白の任意性はあると判断し、検察が作成した取り調べの自白調書をすべて証拠として採用することを決めました。
弁護側はこれまで、「被告は連日のように厳しい取り調べを受け、自分の意思に反して自白した」と主張しています。
今後は、勝又被告の供述内容の信用性などについて裁判員らが判断することになり、判決は今月31日に言い渡される予定です。
03月18日 17時01分
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自白の信用性と任意性
裁判で争点となっているのは、自白の信用性と任意性です。
18日は、自白の任意性、つまり、取り調べが強制的なものではなく被告が自分の意思で自白したかどうかについて、裁判所が判断を示しました。
この任意性をめぐって、弁護側は「被告は別の事件で逮捕されてから長期間身柄を拘束され、警察官から『自白すれば刑が軽くなる』などと言われた」と述べ、利益誘導があったと主張しました。
さらに、「被告は警察官にほほを平手打ちされ、『”ごめんなさい”と50回言わないと晩ご飯抜きだ』と言われた」として、意思に反して自白したと訴えていました。
また、任意性が争われたのは起訴される前日までの4日間の自白調書ですが、弁護側は「この日までに色々なタイプの検察官、警察官が被告に自白を迫っており、その積み重ねのうえで自白している。
過去の取り調べの影響が断絶されていない」として任意性がないと主張しました。
一方、検察は「被告は警察官に平手打ちされたなどと主張したが、そうした事実は一切なかった」として、暴行や利益誘導などはなかったと主張しました。
そのうえで、「被告は殺害を認め、そのときの状況を身振り手振りを交えて説明しており、調書を作成する際も、みずから詳細な状況を付け加えるよう求めるなど、自分の意思で自由に話した」と述べ、自白は強制的なものではなかったと主張していました。
03月18日 15時36分
◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
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2016年3月18日 18時52分
小1女児殺害、伯母「極刑望む」 公判で心情語る、宇都宮地裁
2005年に起きた栃木県今市市(現日光市)の小1女児殺害事件で、殺人罪に問われた勝又拓哉被告の裁判員裁判の第14回公判は18日午後も宇都宮地裁(松原里美裁判長)で続き、情状などに関する審理で被害者吉田有希ちゃん=当時(7)=の伯母が「絶対に許せない。極刑を望みます」と心情を語った。
伯母は昨年5月に死亡した有希ちゃんの母親の姉。「(有希ちゃんの母は)心労が重なり亡くなった」と証言し、弁護側の席に座っていた被告をじっと見ながら「否認に転じたのは怖くなったからでしょうか。有希はもっと怖かったはずです」と語気を強めた。被告は「殺していません」とこぼした。
(共同)
◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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2016.3.18 22:59更新
【栃木女児殺害公判】裁判員も涙…「遺骨とディズニーランドに」 父「歯食いしばって娘の無残な姿見た」
「いつものように、何度も振り返って見えなくなるまで手を振っていました。有希は道を横切り、物陰に入ってから、もう一度私が見える所に戻って手を振って学校に行きました。私もずっと手を振りました。それが最後のお別れになってしまいました」
この日の法廷では、殺人容疑で勝又拓哉被告が逮捕された約1カ月後に作成された吉田有希ちゃんの両親の調書が読み上げられ、母親は有希ちゃんが行方不明になった平成17年12月1日の朝をこう振り返っていた。
有希ちゃんの母親は事件発生後、何度も手記で真相究明を訴え、裁判でも被害者参加制度を利用することを望んでいたが、昨年5月に47歳で病死した。女性裁判員は目元をハンカチで押さえ、傍聴席からもすすり泣く声が漏れた。
母親の調書と同日に作成された父親の調書には「遺骨を納める前に、有希が大好きだったディズニーランドに行き、遺骨になった有希とパレードや花火を見ました」と書かれていた。
また、証人として法廷に立った有希ちゃんの伯母は、勝又被告を真っすぐに見据え、「検事の前では正直に話していたのに全面否認に転じるなんて、怖くなったんでしょうか。有希はもっと怖かったはずです。怖かったんです」と語気を強めた。被告が「私は殺していません」とつぶやくように答えると、裁判長の方に向き直して、「有希と有希の母親が見ていることを忘れないでください。絶対許しません」ときっぱりと述べ、最後に「極刑を望みます」と訴えた。
被害者参加制度による意見陳述で、有希ちゃんの父親と祖母の手記が、遺族側の弁護士によって朗読された。父親は「この裁判で初めて有希の無残な姿を見ました。つらくても見届ける義務があると思い、歯を食いしばって見ました。裁判が終わるまで被告が真実を話してくれるのをじっと待ちます」と訴えた。父親は裁判が始まってから、ずっと被告の姿を見続けたという。座ったままの勝又被告は表情を変えることはなかった。
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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◇ 今市女児殺害 第11回公判2016/3/15 勝又拓哉被告「抱えて刺した」「5回くらい」自白の音声と映像詳報
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