【野田女児虐待死】母不在時「頭10回殴られる」 心愛さん、父からの暴力を担任教諭に泣きながら訴えた
2020年2月28日 12:57 | 無料公開
野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が昨年1月、自宅浴室で死亡した虐待事件で、傷害致死などの罪に問われた父親、勇一郎被告(42)の裁判員裁判第5回公判が28日、千葉地裁(前田巌裁判長)で開かれ、3年時の担任教諭が証人として出廷した。担任教諭は心愛さんが学校アンケートに被告からの暴力があると回答した後に話を聞いた際、「(心愛さんが)お母さんがいない時にグーで頭を10回ぐらい殴られる」と説明していたと証言した。
心愛さんは2017年11月6日、学校のアンケートで「お父さんにぼう力を受けています」と訴えていた。担任教諭はアンケート記入の翌日、心愛さんから事情を聴いた。
心愛さんは暴力が始まった時期について、17年7月ごろに勇一郎被告に連れられて沖縄県から野田市の祖父母宅に転居してきて間もなくと説明した。9月ごろには沖縄県から母親(33)を招き、アパートでの暮らしが始まったが、「お母さんは味方してくれるけど、お父さんは『保護者だ』と言ってお母さんの言うことを聞いてくれない」とも訴えたという。
アンケート記入日にも暴力があったといい「頭、背中、首を蹴られた。今も頭が痛い」と泣きながら訴えた。数日前には心愛さんの目が赤くなっており、当時は「結膜炎」と答えていたが、改めて聞くと「お父さんに殴られた」と話したという。
県検証委員会の報告書などによると、アンケートがきっかけとなり、心愛さんは17年11月7日に県柏児童相談所に一時保護された。心愛さんは勇一郎被告との面会では泣き「家で待っている」と差し出した被告の手を拒んだとされるが、児相は12月に一時保護解除を決めた。18年1月、被告は学校アンケートを渡すように要求し、野田市教育委員会の担当者が写しを渡した。
第5回公判では、児相職員の尋問も行われた。証人尋問は3月4日の第7回公判までで、終了後の4~6日に被告人質問が予定されている。公判は9日の第10回で結審し、19日に判決が言い渡される見通し。
今月21日の初公判で勇一郎被告は、傷害致死罪の成立は争わないとしながらも「シャワーで冷水を浴びせ続けるなどの暴行をしたことはない」などと起訴内容を一部否認した。
起訴状によると、勇一郎被告はおととし12月30日~昨年1月3日ごろ、自宅で、心愛さんに暴行して胸骨骨折などのけがを負わせ、22~24日には心愛さんに食事を与えず、シャワーで冷水を浴びせ、飢餓や強いストレス状態にさせて死なせたなどとされる。
◎上記事は[千葉日報]からの転載・引用です *強調(=太字)は来栖
野田虐待死公判「穏やか」…威圧的態度に 元担任が被告の変化証言
東京新聞 2020年2月29日
野田市の小学四年栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=の虐待死事件で、傷害致死罪などに問われた父親勇一郎被告(42)について、二十八日に千葉地裁で開かれた裁判員裁判で、心愛さんが通っていた小学校の元担任と児童相談所の職員二人が威圧的な被告の態度について、当時の印象を証言した。
二〇一七年九月から一八年一月まで、野田市立小学校で心愛さんの担任をした女性教諭は、沖縄県からの転校時や送り迎えの際、勇一郎被告と言葉を交わしたことがあり、「穏やかで笑顔があり、優しい方だなと思った」と振り返った。
だが、一七年十一月に心愛さんが「ぼう力を受けています」と書いたアンケートについて、学校で勇一郎被告と面談した際、「今までと全く違い、威圧してくる感じだった」と述べた。
心愛さんが県柏児童相談所に一時保護された時に担当だった児童福祉司の女性は、勇一郎被告が暴行について「事実無根である」として、一時保護に納得しなかったと説明。心愛さんが虐待による心的外傷後ストレス障害(PTSD)の疑いがあることを伝えると、「誰がそういったのか」とまくしたてられたという。
この児童福祉司は、一時保護解除後の一八年二月に祖父母宅に心愛さんと面談に行った際、途中から現れた勇一郎被告に「児相としてではなく、個人として訴える」と詰め寄られ、「精神的に追い詰められた」と当時の心境を話した。 (丸山将吾、山口登史)
◎上記事は[東京新聞]からの転載・引用です
「ママー助けて、お願いママ」何度も助けを求めた心愛さん 証人出廷の母親が娘の死後にみせた異常な表情 千葉小4虐待死公判
村田 珠里 2020/03/01
source : 週刊文春デジタル
genre : ニュース, 社会
千葉県野田市で小学4年生だった栗原心愛(みあ)さん(当時10)が虐待死したとされる事件。傷害致死罪などで起訴されている父親の勇一郎被告(42)に対する裁判員裁判が千葉地裁で開かれている。その中で、2月26、27日、心愛さんの母親(33)も証人として出廷し、証言した。
母親は昨年6月、勇一郎被告の虐待を制止しなかったとして、傷害幇助罪で懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決が言い渡され、確定している。これまで、母親は勇一郎被告からのDV(ドメスティック・バイオレンス)を受け、やむを得ず心愛さんを助けられなかったとされてきたが、今回の裁判で母親も虐待に加担する様子が明るみに出た。
死亡3週間前の動画で「あんたに振り回されて、なんにもできない」
裁判では、勇一郎被告が撮影したとみられる心愛さんを虐待する動画が証拠として提出され、裁判員に示された。そのひとつは心愛さんが亡くなる約3週間前の昨年1月5日に撮影された動画。自宅リビングで心愛さんが両親の前で「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣いている。
「いいかげんにして。『立って』って言ってんだけど。座ってくださいとは言ってないよね。私もパーパ(勇一郎被告)もやることあるんだけど。あんたに振り回されて、なんにもできないし、どこにも出かけられない」
勇一郎被告とともに心愛さんを厳しく責めているのは母親だった。心愛さんは両親に土下座をさせられた。
母親は沖縄県出身。勇一郎被告とは2度結婚している。県内で就職し、同じ職場の勇一郎被告と交際し2008年2月22日に結婚。9月22日、心愛さんを出産したが、間もなく産後うつになって実家に戻った。被告とはそのまま別居状態が続き、心愛さんが3歳になった11年10月27日に離婚が成立。だが、16年7月ごろに母親から勇一郎被告に連絡を取り、再び交際。初めの結婚記念日と同じ19年2月22日に再婚した。次女の妊娠はすでに判明しており、6月15日に出産。現在は離婚協議中という。
栗原家の嫁として認められていなかった
母親は被告の両親や妹から栗原家の嫁として認められておらず、事件前、自宅アパートから心愛さんを近所にある実家にたびたび送るなど、行き来はあったにもかかわらず、母親が中へ入ることは許されていなかった。被告の父親は「会話らしい会話はしたことがない」という。
母親の証人尋問は2月26、27日の2日間行われた。両日とも、被告や裁判員らがいる法廷には姿を見せず、別室と映像、音声でつなげる「ビデオリンク方式」で証言した。母親は心愛さんが受けた虐待について、「心愛のためにすべて話したい」と詳細に話した。
夫婦はLINEで「プールはやめたほうがいい」「私もそう思った」
心愛さんが小学4年生だった18年7~8月、勇一郎被告は毎日のように心愛さんを虐待し、心愛さんの体はあざだらけだった。法廷では当時の夫婦間のLINEのやり取りが開示された。たとえば7月12日のやり取りでは、心愛さんのあざを学校にバレないようにするため、学校を欠席させるか話し合っている。
勇一郎「あー明日学校どうする?」
母親 「まだあざがあるけど」
勇一郎「今週は休ます?」
母親 「そのほうがいいと思うな」
母親 「学校行かせるのほんと心配なんだけど」
勇一郎「まあ今週休ませて、月曜の状況見てじゃない」
また、23日にも、こんなやり取りをしている。
勇一郎「プールはやめたほうがいいよ」
母親 「私もそう思ったから、みーちゃん(心愛さん)には行かないほうがいいよと伝えた」
学校に行かせても、肌の露出が多いプールの授業は見学させている様子が明らかになった。
夜通し立たせ、座り込んだ子供を持ち上げて落とした
心愛さんが死亡する直前の18~19年の年末年始、勇一郎被告の虐待は加速していった。1月1日には、心愛さんを前日夜から寝させずに夜通し立たせた。朝になって座り込んでしまった心愛さんの両腕を引っ張って持ち上げ、そのまま落として床に打ち付ける暴行をした。心愛さんはこの暴行で、胸骨を骨折したとされる。
この日、虐待を見ていた母親は勇一郎被告を制止しようと「もうやめて。あなたのやってることは虐待だよ」と被告に伝えたが、結局、「お前は何もわかってない」と胸ぐらをつかまれ、床に押し倒され、馬乗りになられ、そばにあったひざ掛けを口に押し込まれたという。
母親は「少し笑みを浮かべているように見えた」
心愛さんの小学校は冬休みが終わり、7日から再開したが、あざがひどく通わせられず、寝室に閉じ込めるようになった。勇一郎被告が会社に行っている間、母親は心愛さんの様子をLINEで報告。「また自分から飲み物くださいって」「しかも『甘いものない?』とか。まじでお前何様か。むかつくね」などと一変、勇一郎被告の虐待に同調していた。
結局、心愛さんは24日午後11時ごろ、自宅浴室で亡くなった。勇一郎被告の通報で野田市の自宅アパートに警察や消防が駆け付けた。体や洋服が濡れた状態で風呂場に倒れていた心愛さんはすでに死後硬直が始まっていた。
勇一郎被告が警察に屋外で事情を聴かれる間、救急隊員は母親に心愛さんが亡くなった状況を聞いた。「なぜお子さんは濡れているんですか」。救急隊員が問うと、母親は「私は下の子を寝かせていたので、わかりません」と話したが、救急隊員の供述調書によると、その際、母親が「少し笑みを浮かべているように見えた」という。聞いていた他の隊員に目配せすると、やはり異常な表情に疑問を感じていたようだったという。
「勇一郎の監視や束縛でどうすることもできなかった」
母親は証人尋問で、検察官になぜ心愛さんを助けなかったのか、警察や児童相談所に通報しなかったのか問われると、「心愛を助けてあげたかったが、勇一郎の監視や束縛が強くてどうすることもできなかった」と繰り返した。また、勇一郎被告の虐待に同調した理由についても、「言い訳になるかもしれませんが、次女の世話もありながら、毎日のように勇一郎が心愛に虐待するのを見て、私は正直限界でした。その気持ちを心愛に向けてしまった」と述べ、「とても後悔しています」と涙を流した。
勇一郎被告の携帯電話から見つかった動画には、被告から虐待される心愛さんが「ママー助けて、お願いママ」と母親に何度も助けを求める様子が映っていた。だが、母親が救いの手を差し伸べることはほとんどなかった。
もっとも近くで虐待を見ていた母親にも助けてもらえず、しまいには父親に同調して虐待された心愛さんの絶望はどれほどだったか。DVを受けていたとはいえ、母親の罪は重いだろう。
◎上記事は[文春オンライン]からの転載・引用です *強調(=太字)は来栖
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* 野田女児 栗原心愛さん 虐待死 第4回公判 2020.2.27 母親の証人尋問 食事与えず何度も冷水 死亡直前、馬乗り暴行 “被告には二面性”
* 野田小4虐待死1年 心愛さん、届かなかった「自分への手紙」 2020.2.24
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* 野田市虐待死 栗原心愛ちゃんと船戸結愛ちゃん事件に共通する父親の過剰な家族依存 2019/2/5 dot.
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