「夫源病」定年退職後、これといってすることがない夫が家にこもりがちとなり、妻が・・・(2016年11月 中日新聞)

2016-11-10 | Life 死と隣合わせ

もしかして「夫源病」(上) 夫の定年退職がストレス?妻が体調不良に
 中日新聞 2016年11月3日
 定年退職後、これといってすることがない夫が家にこもりがちとなり、妻がストレスを感じるという話をよく聞く。大阪樟蔭女子大の石蔵文信教授は、更年期障害とされる妻のさまざまな身体の異変の背景には夫の存在があるとして、「夫源病(ふげんびょう)」と名付けた。二回に分けて、夫源病の特徴や背景、対処法などを紹介する。 (福田淳一)
 石蔵さんが夫源病に気づいたのは、男性更年期外来を開設したのがきっかけ。男性の患者から、「妻が更年期障害でもう四~五年も苦しんでいる」と聞かされ、悩める男性と一緒に、夫の世話をする妻も更年期障害で悩んでいることに気づいた。
 女性の更年期障害は頭痛やめまい、口の渇き、肩こり、動悸(どうき)、腰痛、全身の痛み、胃腸の調子が悪くなるといった症状が知られている。夫の治療と同時に妻のカウンセリングや治療をすると効果的で、更年期障害と言われる症状の原因の多くは夫の普段の何げない言動や態度が引き金になると、石蔵さんは見る=表参照。
 更年期障害は、ストレスから身を守る女性ホルモンが閉経前後に急激に減ることで起きる。石蔵さんは「女性ホルモンとストレスの度合いのバランスが問題です」と指摘する。ストレスが大きくても女性ホルモンが多ければ大丈夫だが、女性ホルモンが減れば更年期障害が現れる。逆に夫婦円満でストレスが少なければ、女性ホルモンが減っても大丈夫だ。
 かつて姑(しゅうとめ)が妻のストレス源だった時代があったが、核家族化が進み、嫁の立場に理解を示す姑も多くなった。その代わりにストレス源になったのが夫だという。
 夫源病は夫の在職中の妻にも見られるが、夫が退職した六十歳前後の妻に比較的多いという。石蔵さんは「夫を職場に送り出した後、妻は外との付き合いを楽しんでいる。それが夫が定年退職すると、夫の昼食も作ることになり、妻の外出を夫が拘束しようとする場合もあります」と夫の退職後、妻がストレスを感じる事情を説明する。
 夫源病になりやすい妻のタイプは(1)我慢強くて弱音をはかない(2)きちょうめんで仕事、家事に手を抜けない(3)感情を表に出すのが苦手-といった「良妻賢母」型だという。夫源病の対策として、「妻の側も気持ちを素直に夫にぶつけてはどうでしょう。口げんかもコミュニケーションですよ」と勧める。
 それでは、妻の態度が夫のストレス源になる「妻源病」はないのだろうか。妻が夫に対し言葉を含めた家庭内暴力を振るう場合もある。ただ石蔵さんは「妻の問題行動も、もともとは夫の態度に原因がある場合も多いのです」と説明する。

もしかして「夫源病」(下) ワシも族・お前も族 妻への依存、過度にしない
 中日新聞 2016年11月4日
 主に定年退職後の夫の存在が妻のストレスの原因となる「夫源病(ふげんびょう)」。名付け親の大阪樟蔭女子大の石蔵文信教授は、「夫源病と、中高年男性の生き方はワンセットの問題」とみている。
 石蔵さんは二〇〇一年から男性の更年期外来を開設している。男性の症状は気力、集中力が出ない、眠れない、頭痛、めまい、動悸(どうき)など。これが夫源病の背景にもなっている。体調不良の原因は、在職中と退職後に大きく分けられる。
 在職中は働き過ぎなど職場のストレスが大きい。ただ、最近は各職場でうつなどメンタルな問題に理解が深まり、解決の道も開けてきた。在職中の男性のうつ症状には「最近は子育てをはじめとする家族関係の悩みも背景にある」という。
 一方、定年退職後は職場のストレスはなくなるが、やるべきことも、やりたいこともなくなることがつらくなってくる。この状態を石蔵さんは「ストレスなきストレス」と呼ぶ。「時間の使い方が分からない」「生きがいが見つからない」という人がなりがちなのが「ワシも族」。
 例えば妻の買い物などの外出に「ワシも」と付いていくことから名付けられたらしい。付いていかなくても、外出先をチェックしたり友人関係に干渉したりすると、妻がストレスで体調を崩してしまう。
 「お前(まえ)も族」というタイプもある。自分が外出する時に、「お前も来い」と妻に同行を求め、外出先であれこれと指示を出してこき使う。リタイア後に嫌われるのは、現役時代の感覚が抜けず妻を部下のように扱ってしまったり、上司のような感覚で家計簿をチェックしたりすること。
 では、嫌われないためにどうしたらいいか。
 定年退職前後の男性向けのアドバイスをまとめた「57歳からの意識革命」(双葉新書)の著者でもある石蔵さんは「定年退職の三年ぐらい前からは退職後の具体的なプランを考えた方がいい」と説く。そして、退職後も新たな仕事や、ボランティアなど社会参加の重要性を強調する。
 さらに、料理など家事を覚えることを勧める。石蔵さんは定年退職後、それまでにはしなかった夫の昼食を作ることが妻の苦痛になる症状を「昼食うつ」と呼んでいる。定年退職後の夫が昼食を作るようになれば、この解消にも役立ちそうだ。そして「もし妻が介護状態になったり先立たれたりした場合、家事能力は死活問題になります」と強調する。
 その上で夫源病の防止のために夫が心がける点として、まず自分が意識改革をして上から目線で妻を見下したり、過度に依存しないことを挙げる。他人の前で良い夫らしく振る舞う「外づら」の良さも妻に嫌われる。そして夫婦の日常会話を復活させることだ。
 石蔵さんは男性に対し、夫婦関係を改善したければ「ありがとう」「ごめんなさい」「愛している」という言葉をまめに妻にかけるようアドバイスする。
 そして、妻の誕生日や結婚記念日は何か特別なことをしてポイントを上げる絶好のチャンス。絶対に忘れてはいけないという。必ずしもお金を過度にかけなくてもいい。「記念日当日に贈る一輪の花は、三日後のダイヤにも勝る」。石蔵さんの作った格言だ。 (福田淳一)

 <いしくら・ふみのぶ> 1955年、京都市生まれ。三重大医学部卒。大阪大大学院医学系研究科准教授などを経て現職。2001年から男性更年期外来を開設。著書は「妻の病気の9割は夫がつくる」(マキノ出版)、「奥さん、それは『夫源病』ですね。」(静山社文庫)など多数。

 ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です
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〈来栖の独白2016.11.10 Thu 〉
 本日から、夫君は私の実家(空き家)へ。昨年あたりから、月のうち半分ほどを郷里(私どもは夫婦とも岡山出身)で過ごす。野菜、果物作りに加えて、養蜂も始めたようだ。
 夫は殆どの面で、私とは正反対。頭の造りも(夫は理系。私は完璧な文系)、好みも・・・。あ、一つだけ共有の楽しみがあった。「温泉」である。温泉行の計画は、二人とも即実行する。反対が出たことはない。ああ、そういえば、犬猫とか、生きもの好きも、共通しているか・・・。
 上記事によれば、我が家のように夫が定年となったなったとき妻には相当のストレスがかかるそうだが、我が家については、有難いことに、免れている。夫が岡山へ行って「別居」の期間が多いからだけではない。夫は、周囲へストレスを掛けない性格だし、自分のやりたいこともはっきりしている。そして、のろけになるかもしれないが、我が母が昔言ったことによれば「Aさん(我が夫)は、あんた(宥子)に惚れている」そうだ。長年、大事にしてくれた。
 そんなことで、私に「夫源病」は発症しそうにないが、やはり怖い、不安なのは認知症とか老人特有の衰え、病である。こればかりは、どうしようもない。
 夫にそういう状況が現れたなら、これまでの感謝を込めてだいじに世話をしなければ罰が当たる。
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曽野綾子独占手記 夫・三浦朱門を自宅で介護することになって そのとき、私は覚悟を決めたのです 「週刊現代」2016年9月24日・10月1日合併号
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