「放射能がうつる」--東日本大震災後、避難先で4年にわたっていじめを受け不登校 【産経抄】2016/11/11

2016-11-11 | 社会

2016.11.11 05:04更新
【産経抄】「放射能がうつる」 11月11日
 歌人の俵万智さんは、東京電力福島第1原発事故の後、息子を連れて、仙台市から沖縄・石垣島に移り住んだ。「身勝手」「神経質すぎる」。そんな批判の声に対して、決然と詠む。〈子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え〉。
 ▼福島県いわき市に住む高木佳子さんは、子供とともにとどまる決意をした。「どうして逃げないんですか?」。無神経な質問に対しては、沈黙を返すのみである。〈逃げないんですかどうして? 下唇をかむ(ふりをする)炎昼(えんちゅう)のあり〉。『鑑賞日本の名歌』から引いた2首である。
 ▼住み慣れた土地から離れるにしろ、とどまるにしろ、苦難の日々が続く。そんな被災者にとって、腸(はらわた)が煮えくり返るニュースであろう。福島県から横浜市に自主避難した市立中1年の男子生徒が、市立小学校で4年にわたっていじめを受け、不登校になっていたことがわかった。
 ▼小学2年で転入してまもなく、同級生から名前に「菌」を付けて呼ばれたり、暴力を振るわれたりするようになった。「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」。5年生になると、遊ぶ金をせびられるようになる。金額は多い時に10万円にものぼった。東京新聞によると、父親が当面の生活費として親族から借りていたものだった。
 ▼父親が学校に相談しても、同級生への指導は行われなかった。昨年12月に市教育委員会に調査を申し入れ、ようやくいじめが認定された。生徒は、修学旅行にも卒業式にも参加できず、今も学校に通えていない。
 ▼「放射能がうつる」。東日本大震災直後、避難先で心ない言葉を浴びせられた子供がいた、と聞く。非道な仕打ちを受けながら声を上げられない子供は、他にもいるのではないか。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です


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