中日新聞【社説】
鳩山献金疑惑 政権不信の芽早く摘め
2009年11月6日
政治献金疑惑をめぐる鳩山首相の答弁は逃げ腰だ。巨額なカネを虚偽記載した真相や背景は何か。東京地検の捜査に任せず、自ら国会の場で積極的に語らないと、新政権への不信が募りかねない。
首相の献金疑惑で噴き出したのは、政治資金の管理があまりにずさんなことだ。まず、二〇〇五年から〇八年にかけて、計九十二人から受けた約二千二百万円の個人献金が政治資金収支報告書に虚偽記載されていた。身に覚えのない人ばかりか、亡くなった人の名前まで含まれていた。
もう一つは、名前を記載する必要のない五万円以下の献金計約一億八千万円についてだ。その大半も小口を装った“偽装献金”だった疑いが持たれている。両方を合わせると、約二億円にものぼる巨額さだ。
原資には首相の個人資産が流用され、鳩山家の資産管理会社「六幸商会」が管理する首相の口座から元会計責任者が引き出していたという。「私のお金を借用すると理解して(指示書に)署名したのは事実だ」と、首相自身が認めている。
しかし、衆院予算委員会での野党の追及に対し、首相は「東京地検の捜査で全容が解明されると思う」などと繰り返すにとどまり、自ら真相を明らかにする姿勢は乏しかった。答弁が逃げ腰だと批判されてもやむを得まい。
とくに、政治家本人が資金管理団体に献金できるのは、上限が年間一千万円と量的制限が定められている。首相は「一千万円までは寄付、超えた分は貸し出しと理解していた」と弁明しているが、多額なカネの扱いが、これほど不明朗でいいはずがない。
貸付金ならば、なぜ報告書にそう記載しなかったのか。虚偽記載したのはなぜなのか。国民にはふに落ちない話だろう。政界でも大資産家と知られる首相だ。自分のポケットマネーを政治に使っただけという意識なのだろうか。
共同通信の直近の世論調査では、内閣支持率は61%と政権発足時より約10ポイント下落している。献金疑惑について、首相の説明に「納得できない」との回答が68%にのぼっていることを考えてほしい。
国会での審議のほかに、政治倫理審査会などの場で、首相はもっと自ら進んで説明を尽くしたらどうか。国会の自浄機能を国民に示す機会でもあろう。もやもやとした疑念が晴れないと、政権不信をも呼び起こす。
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日経新聞 社説1 首相は偽装献金の様々な疑問に答えよ(11/5)
鳩山由紀夫首相が4日の衆院予算委員会で、自らの偽装献金問題をめぐり鳩山家の資産の流用があった事実を認めた。小口献金の虚偽記載の可能性も否定しなかった。首相は「捜査で全容が解明される」と繰り返しているが、説明責任から逃げていては疑惑は深まるばかりだ。
首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の収支報告書には、2005~08年の4年間に公表分だけで総額2177万円の架空の個人献金が見つかった。名前の記載義務がない年間5万円以下の小口献金にも同様の偽装があったとの見方がある。
自民党の柴山昌彦氏は予算委で「4年間の匿名献金は合計で総額の6割を超える1億3000万円あまり。極めて不自然だ」と追及した。首相は「5万円以下の部分について本当に納めてくださった方がどれくらいおられるか、どの部分が虚偽かは判明していない」と答えた。
実名を記載した5万円超だけでなく小口の献金にも偽装があったとすれば、収支報告書は実態からさらにかけ離れていたことになる。政治資金の公開制度の趣旨を踏みにじる悪質な行為だと言わざるを得ない。
架空に計上された献金の資金源も解明されていない。柴山氏は「報道によれば、04~08年までの報告書に記載された合計1億7717万円の小口献金の大半が鳩山家の資産管理会社『六幸商会』の管理資金だった」とただした。
首相は「六幸商会は私と家族の資産を管理している。元秘書から『口座からこれだけ貸してください』と言われ、私が署名しているのは事実だ」と認めた。首相は「元秘書を完全に信頼していた」と強調したが、本当だとしても巨額な資金の管理としてはあまりにずさんすぎないか。
収支報告書の大規模な偽装は本当に元秘書の独断だったのか、首相の親族の資金の流用は無いのかなど疑問点は数多い。資金管理団体に1年間に献金できる上限は政治家本人が1000万円、一般個人が150万円と法律で定められており、量的制限に抵触する恐れもある。
首相は当選以来、クリーンな政治の実現を訴え、「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきだ」と主張してきた。今回の偽装献金について「全く責任ないと申し上げるつもりはない」と言う以上、捜査まかせの受け身の姿勢は許されない。
自民党は予算委で首相の資金問題に関する集中審議や六幸商会の代表者の参考人招致を求めた。首相が自ら説明責任を果たさないのなら、疑惑解明の1つの手段になりうる。
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鳩山献金疑惑 政権不信の芽早く摘め
2009年11月6日
政治献金疑惑をめぐる鳩山首相の答弁は逃げ腰だ。巨額なカネを虚偽記載した真相や背景は何か。東京地検の捜査に任せず、自ら国会の場で積極的に語らないと、新政権への不信が募りかねない。
首相の献金疑惑で噴き出したのは、政治資金の管理があまりにずさんなことだ。まず、二〇〇五年から〇八年にかけて、計九十二人から受けた約二千二百万円の個人献金が政治資金収支報告書に虚偽記載されていた。身に覚えのない人ばかりか、亡くなった人の名前まで含まれていた。
もう一つは、名前を記載する必要のない五万円以下の献金計約一億八千万円についてだ。その大半も小口を装った“偽装献金”だった疑いが持たれている。両方を合わせると、約二億円にものぼる巨額さだ。
原資には首相の個人資産が流用され、鳩山家の資産管理会社「六幸商会」が管理する首相の口座から元会計責任者が引き出していたという。「私のお金を借用すると理解して(指示書に)署名したのは事実だ」と、首相自身が認めている。
しかし、衆院予算委員会での野党の追及に対し、首相は「東京地検の捜査で全容が解明されると思う」などと繰り返すにとどまり、自ら真相を明らかにする姿勢は乏しかった。答弁が逃げ腰だと批判されてもやむを得まい。
とくに、政治家本人が資金管理団体に献金できるのは、上限が年間一千万円と量的制限が定められている。首相は「一千万円までは寄付、超えた分は貸し出しと理解していた」と弁明しているが、多額なカネの扱いが、これほど不明朗でいいはずがない。
貸付金ならば、なぜ報告書にそう記載しなかったのか。虚偽記載したのはなぜなのか。国民にはふに落ちない話だろう。政界でも大資産家と知られる首相だ。自分のポケットマネーを政治に使っただけという意識なのだろうか。
共同通信の直近の世論調査では、内閣支持率は61%と政権発足時より約10ポイント下落している。献金疑惑について、首相の説明に「納得できない」との回答が68%にのぼっていることを考えてほしい。
国会での審議のほかに、政治倫理審査会などの場で、首相はもっと自ら進んで説明を尽くしたらどうか。国会の自浄機能を国民に示す機会でもあろう。もやもやとした疑念が晴れないと、政権不信をも呼び起こす。
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日経新聞 社説1 首相は偽装献金の様々な疑問に答えよ(11/5)
鳩山由紀夫首相が4日の衆院予算委員会で、自らの偽装献金問題をめぐり鳩山家の資産の流用があった事実を認めた。小口献金の虚偽記載の可能性も否定しなかった。首相は「捜査で全容が解明される」と繰り返しているが、説明責任から逃げていては疑惑は深まるばかりだ。
首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の収支報告書には、2005~08年の4年間に公表分だけで総額2177万円の架空の個人献金が見つかった。名前の記載義務がない年間5万円以下の小口献金にも同様の偽装があったとの見方がある。
自民党の柴山昌彦氏は予算委で「4年間の匿名献金は合計で総額の6割を超える1億3000万円あまり。極めて不自然だ」と追及した。首相は「5万円以下の部分について本当に納めてくださった方がどれくらいおられるか、どの部分が虚偽かは判明していない」と答えた。
実名を記載した5万円超だけでなく小口の献金にも偽装があったとすれば、収支報告書は実態からさらにかけ離れていたことになる。政治資金の公開制度の趣旨を踏みにじる悪質な行為だと言わざるを得ない。
架空に計上された献金の資金源も解明されていない。柴山氏は「報道によれば、04~08年までの報告書に記載された合計1億7717万円の小口献金の大半が鳩山家の資産管理会社『六幸商会』の管理資金だった」とただした。
首相は「六幸商会は私と家族の資産を管理している。元秘書から『口座からこれだけ貸してください』と言われ、私が署名しているのは事実だ」と認めた。首相は「元秘書を完全に信頼していた」と強調したが、本当だとしても巨額な資金の管理としてはあまりにずさんすぎないか。
収支報告書の大規模な偽装は本当に元秘書の独断だったのか、首相の親族の資金の流用は無いのかなど疑問点は数多い。資金管理団体に1年間に献金できる上限は政治家本人が1000万円、一般個人が150万円と法律で定められており、量的制限に抵触する恐れもある。
首相は当選以来、クリーンな政治の実現を訴え、「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきだ」と主張してきた。今回の偽装献金について「全く責任ないと申し上げるつもりはない」と言う以上、捜査まかせの受け身の姿勢は許されない。
自民党は予算委で首相の資金問題に関する集中審議や六幸商会の代表者の参考人招致を求めた。首相が自ら説明責任を果たさないのなら、疑惑解明の1つの手段になりうる。
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献金虚偽記載問題--就任したばかりの首相側が、捜査対象となるのは異例
臨時国会召集、国会の日程、提出法案は? 多くの政策をマニフェストで打ち出したが 一部には、鳩山首相が自身の献金虚偽記載問題を追及されるのを恐れ「会期を短くしたいのではないか」との見方もある。
鳩山首相、「真実が明らかになればいい」=個人献金問題、自民総裁は追及姿勢
鳩山首相偽装献金捜査着手=東京地検特捜部--「鳩山由紀夫を告発する会」
政界有数の資産家鳩山首相=虚偽記載、改めて陳謝. 小沢幹事長の党内掌握=集中的に資金投入
民主、強まる「小沢支配」=政府人事に介入、新人統制も徹底
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〈来栖のつぶやき〉市民・庶民(国民の約6人に1人が「貧困」)の感覚とはあまりに懸隔した巨額なハナシ。選挙前から延々と続いている。いい加減にしてください。
15.7%の衝撃―貧困率が映す日本の危機