韓国と中国、野田氏選出で警戒

2011-08-30 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

韓国と中国、野田氏選出で警戒
WSJ Japan Real Time 2011/8/30 11:17
 野田佳彦氏は、事を荒立てるような人物にはみられていない。多くを語らず、語るときでも通常はこれということのない内容だ。ただ、隣国の見方は違うかもしれない。同氏は穏やかな人柄で知られるが、議論を呼びそうな話題に触れることもある。
 野田佳彦財務相戦争犯罪人など微妙な話題に関する野田氏の過去のコメントに、韓国や中国のメディアは神経をとがらせてきた。
 韓国メディアは既に、野田氏の首相任命で日韓関係が緊張するとの懸念を表明している。朝鮮日報は、野田氏が「靖国神社を参拝する可能性は非常に高い。日本は野田政権の下で、韓国の独島(竹島)に対する領土主張を強める可能性がある」との見方を示した。
 一方、東亜日報は、「靖国に合祀(ごうし)されている日本の戦犯に関する過去の野田氏のコメントをみると、韓日関係が緊張することも考えられる」としている。
 野田氏は15日の記者会見で、「A級戦犯」は戦争犯罪人ではないとした5年前の見解をあらためて表明した。これを受け、韓国外交通商省は翌日声明を発表し、野田氏のコメントを批判。「日本帝国主義による侵略の過去を否定する不適切なもの」だと批判し、野田氏が「謙虚に過去を認める」よう促している。韓国は29日夜現在、民主党代表選の結果についてコメントしていない。
 一方、北京の清華大学の劉江永教授は野田氏の先のコメントについて、「中国、韓国、そして世界中のどの国も断じて容認できない」と強調。「ヒトラーが戦争犯罪人でないという見解を持つのに等しい」とたとえた。
 野田氏はまた、中国の軍備増強にも注目している。民主党代表選の候補者5人による先週末の討論で安保が話題になった際、目立っていたのが同氏だ。
 記者会見では中国について、「来年は指導層が代わる変革期であり、ナショナリズムをあおるためにちょっかいを出される可能性もある」と述べた。また、10日発売された文藝春秋9月号への寄稿「わが政権構想」では以下のように書いている。
 「一方で、中国の急速な軍事力の増強や活動範囲の拡大は、背景にある戦略的意図などの不透明さとあいまって、日本のみならず、地域における最大の懸念材料になっています。南シナ海などで見せる最近の中国の軍事力を背景にした強圧的な対外姿勢は、域内の国際秩序を揺るがす恐れがあります」
 これに対し新華社通信は、「地域の平和と安定を脅かしている」対立の責任は日本にあると論評。「日本では一部の右翼の政治家が常に、血にまみれた歴史の暗い時期を覆い隠そう、あるいはわい曲しようと努め、中国と日本の敵対心を増幅させている」とした上で、
 「新たな日本政府は、大きな問題である中日関係という明白な事実を十分に理解する必要がある。強い不信感はどちらの国益にもならない。地域や世界全体の利益にならないことは言うまでもない」としている。
 中国外務省からのコメントは得られていない。
 中国政府は今月初め、日本が2011年版防衛白書で尖閣諸島の領有権をめぐる中国の対応を初めて「高圧的」と批判したことについて、下心を持って「中国脅威論を誇張したものだ」と強く反論している。
記者: Yoree Koh
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野田新政権の課題は中国の圧力を跳ね返すことだ/尖閣諸島は、日本が実効統治する日本固有の領土である2011-08-31 | 政治〈国防/安全保障/領土
 野田新政権の課題は中国の圧力を跳ね返すことだ
【コラム】 2011/08/31(水) 15:45 佐藤優の眼光紙背:第110回
  野田佳彦新首相に対し、中国と韓国が強い牽制球を投げている。両国は「歴史認識カード」を対日関係に持ち込もうとしている。特に中国の動きが気になる。中国共産党中央委員会機関紙『人民日報』が運営する『人民網日本語版』の8月30日付論評における野田氏に対する評価を見てみよう。事実上、中国共産党中央委員会によって運営されている『人民網日本語版』が中国政府の立場に相容れない論評を掲載することはない。メディアの論評という形で中国の国家意思を日本に伝えているのだ。
  A級戦犯が日本の国内法によって犯罪人とされたのではないというのは、自民党政権時代から一貫した日本政府の公式の立場である。今後も野田氏は、日本政府の認識に基づき、日本の国内法に基づけばA級戦犯は戦争犯罪人でないという主張を続けるであろう。中国には中国の歴史観がある。それに関して日本政府は基本的に干渉すべきでない。また、外交は首脳会談、外相会談、実務者協議など、外交交渉を行う権限を行う人々の間で行われるべきだ。記者会見やマスメディアを通じて外交を行っても生産的な結果が生まれない。
  「人民網日本語版」の論評では、野田首相が支持率を上げるために「対中強硬カード」を菅政権よりもレベルアップして切る可能性を危惧している。それならば、そのような「対中強硬カード」を野田首相に切らせる口実を与えないように中国政府は中国の漁船や漁業監視船が尖閣諸島で行う挑発活動を停止させるべく全力を尽くすべきだ。尖閣諸島は、日本が実効統治する日本固有の領土である。日中間にはいかなる領土問題も存在しないという日本政府の原則的立場を中国政府も熟知しているはずである。中国側が、<日本が中国に対して強硬な態度を取れば取るほど、支払う代償も大きくなるのだ>と虚勢を張っても、客観的に見て日本の国力は中国よりも圧倒的に強い。中国の政治エリートは、日本に対して帝国主義的挑発を行っても、中国は裨益しないという認識を抱いているはずだ。日本の外務官僚は、あらゆるチャネルを通じて、「中国が尖閣諸島周辺で挑発活動を続けるならば、日中間の武力衝突に発展する」という警告を毅然と行うべきだ。それと同時に外務省が総力をあげて、外交に不慣れな野田首相を、記者会見やメディアを通じた外交に巻き込まないように、十全な防御態勢を構築しなくてはならない。(2011年8月31日脱稿)
  佐藤優(さとう まさる)
  1960年生まれ。作家。1985年に外務省に入省後、在ロシア日本大使館勤務などを経て、1998年、国際情報局分析第一課主任分析官に就任。
2002年、鈴木宗男衆議院議員を巡る事件に絡む背任容疑で逮捕・起訴。捜査の過程や拘留中の模様を記録した著書「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮社、第59回毎日出版文化賞特別賞受賞)、「獄中記」(岩波書店)が話題を呼んだ。
2009年、懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の有罪判決が確定し外務省を失職。現在は作家として、日本の政治・外交問題について講演・著作活動を通じ、幅広く提言を行っている。近著に「予兆とインテリジェンス」(扶桑社)がある。
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韓国と中国、野田氏選出で警戒2011-08-30 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
「日本の国内法においてA級戦犯は戦争犯罪人ではない」という認識は、日本政府の公式見解である2011-08-18 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
「日本首脳の靖国参拝」中国にとっては大きな駒の1つ。譲歩すれば、その後に別の対日要求が出てくる2011-08-23 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
尖閣諸島は、我が国の実効支配が及んでいる我が国固有の領土/中国を利する枝野官房長官発言/眼光紙背2011-08-13 | 政治〈国防/安全保障/領土〉

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UPDATE:次期首相候補、野田財務相の横顔
2011年 6月 20日 
【東京】野田佳彦財務相(54)は、日本人誰もが知っているというわけではない。野田氏が財務相だと認識している人でさえ、「温厚」、「安定感がある」以外にほとんど言葉が思いつかない。
 その野田氏が、近い将来の退陣を表明した菅直人首相の後継者候補として、にわかにスポットライトを浴びている。
 何年も前から知る人によると、同氏は一皮むけば、普通の人に仕えることに情熱を感じる職業政治家だ。自身も自らを普通の人間と考えている。
 過去の多くの首相が育ったような政治家の家とは全く異なる家で育った。父親は自衛隊に勤務していた。
 早稲田大学を卒業した後はテレビ局からのオファーを断り、地方議員を目指して松下政経塾に進んだ。
 当時の塾生は、野田氏が有権者のニーズをくみ取る手段として、プロパンガスのタンクを設置する仕事に就いたことを覚えている。有権者のニーズを知るには、そのライフスタイルを知ること、家の中を見ることが一番の方法と考えていたようだという。
 「一般の家庭について知りたいと思い、プロパンガス屋で働くことを思いついたのです。プロパンを交換するには家の中にはいらなくてはいけませんから。そして困っていることについて聞いたのです」と、この塾生は話した。
 野田氏は努めて町に出て有権者と話すようにしていた。地元の駅近くで半日演説を続け、出勤時にも帰宅時にも氏を見かけた人がいたほどだとこの塾生は語った。
 財務相としての口数は少なく、テレビで政治討論に加わることもめったにないが、政治家仲間によると普段は雄弁だという。選挙運動中に候補者から最も強く応援演説を頼まれることが多い政治家の一人でもある。
 財務省でも多くの人から尊敬を集めている。特に財政再建の必要性について、政策に精通している、安定感があるというのが理由だ。
 官僚らは、野田氏から意見を押しつけられたことはないと語る。小さな詳細にこだわりすぎることがないとの声も聞かれた。
 しかし、批判する側は、官僚のこうした支持について、野田氏がめったにイニシアチブを取らない証拠とみており、原発危機を抑えながら震災から復興しなければならない国を引っ張っていけるのかという疑問を口にしている。
 今月行われた民主党議員の集まりでは、野田氏が財務省のスポークスマンのようだとの声も聞かれた。
 政治評論家の森田実氏は「彼は真面目で堅実。よって、今主流派の中で次の総理候補として目されている」とした一方、「あまりにも財務省に近く、忠実なのではと見られている。財務省の考えに従っていて、大局的に問題を見えない」と述べた。
 今のところ普通の日本人にとって野田氏のトレードマークは温厚さかもしれないが、同氏に近い議員は野田氏が陽気で、酒飲みだと語った。また、柔道は黒帯で、武道推進議員連盟の創設メンバーの一人でもある。
 菅首相は退任の時期を明確に示していない。野田氏は自身の立候補について口を閉ざしている。しかし、側近や同氏に近い議員によると、同氏には挑戦する用意があるという。
 ある側近によると、野田氏はこれを逃したらチャンスは再びめぐってこないかもしれないと思っている。側近は「回転寿司で皿が2回まわってくるとは限らない。本人もそこは分かっているはずだ」と述べた。
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中国、日本の防衛白書に反発―「脅威論を誇張」
2011年8月5日9:27 JST 
【北京】中国政府は4日、日本が2011年版防衛白書で尖閣諸島の領有権をめぐる中国の対応を初めて「高圧的」と批判したことについて、下心を持って「中国脅威論を誇張したものだ」と強く反論した。
 中国国防省の耿雁生報道官は、「中国は国家主権と領土を守り、経済・社会の円滑な発展を確保するためだけに、国防を強化し軍を現代化している」と指摘、中国は防衛的な姿勢を変えないと約束していると強調した。
 外務省の馬朝旭報道局長も「中国の発展は日本を含むすべての国に大きな機会をもたらしている」とし、「日本は歴史を手引書として、自らの国防政策を真摯に反省し、近隣諸国との相互信頼を強化することに一層努めるよう希望する」と述べた。中国国営の新華社通信も、日本は防衛白書で「中国たたき」や「あらさがし」をしていると非難した。
 防衛白書とそれに対する中国の反発は、東シナ海での尖閣諸島をめぐる日中の対立や、南シナ海での台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイとの領有権争いなど、東アジアでの緊張の高まりを浮き彫りにしている。


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