【足利事件】「ずるいんじゃない」「勘弁してくださいよお」弁護団公表の取り調べとは…
産経ニュース2009.10.9 00:11
栃木県足利市で平成2年、当時4歳の女児が殺害された「足利事件」で、菅家利和さん(62)が別の2つの女児殺害事件(未解決)の取り調べを収録した録音テープのなかで、足利事件をいったん否認しながら再び自白に転じる供述が含まれていたことが明らかになったことを受け、菅家さんの弁護団は8日、録音テープの詳細を書面で公表した。
弁護団は取り調べテープをすべて法廷で再生するには、20時間以上必要とした上で、「ハイライト部分だけを再生するなら約1時間で足りる」などと説明、再審公判の中での再生を強く求めている。公表された担当検察官と、菅家さんのやり取りは次の通り。
平成4年12月7日
検察官「今日は、これまで君がどう話してきたかではなく、本当のことを知りたい。楽な気持ちで話してもらいたい。本当にやっていないのなら、やっていないということで構わない」
菅家さん「本当言うと」
検察官「うん」
菅家さん「いいですか」
検察官「いいよ」
菅家さん「やってません」
検察官「やっていないの。(別の女児殺害事件事件2件の)どちらも。それとも片方だけ」
菅家さん「どちらも」
検察官「どちらも」
菅家さん(涙ながらに)「はい(足利事件への関与も否定)。警察ではやりましたと話しました。だけどやっていないんです。本当です。本当今までうそをついてすみませんでした」
同年12月8日
検察官「君から変なことを聞いたので今日来た。DNA鑑定でね、君と、君の体液と一致する体液があるんだよ」
菅家さん「全然それ、分かんないんですよ、本当に。絶対、違うんです」
検察官「君と同じ体液を持ってる人が何人いると思ってんの」
菅家さん(沈黙)
検察官「どうなんだい。ずるいんじゃないか。君、なんでぼくの目を見て言わないの、そういうこと。さっきから君は、僕の目をなんども見てないよ」
菅家さん「ごめんなさい、すいません。ごめんなさい、勘弁してください。勘弁してくださいよお。勘弁してくださいよお。すいません」
その後、菅家さんはあらためて、足利事件を“自白”した。
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【足利事件】弁護団、録音テープの中身を公開 法廷での再生求める
産経ニュース2009.10.8 23:03
栃木県足利市で平成2年、当時4歳の女児が殺害された「足利事件」で、菅家利和さん(62)が別の2つの女児殺害事件(未解決)の取り調べの録音テープに、足利事件をいったん否認しながら再び自白に転じる供述が含まれていたことが明らかになったことを受け、菅家さんの弁護団は8日、録音テープの詳細を書面で公表した。
テープには、1審宇都宮地裁の第6回公判直前の4年12月7、8日、別の2事件について、検察官が宇都宮拘置所で行った任意の取り調べの様子が録音されている。菅家さんが「絶対違う」と否認した後に、検察官に「ずるいんじゃないか」などと詰め寄られ、菅家さんが最終的に泣きながら「ごめんなさい」などと自白に転じる場面が記録されていたという。
菅家さんはこの日、都内で行われた弁護団会議でこのテープを聴いたのちに会見。「検察官を許さない。検察官のせいで(逮捕から釈放までの)17年間苦しんだ」と怒りをあらわにした。佐藤博史主任弁護人も、「検察官は1審の途中で、菅家さんが無実だということに気づくことができたはずだ」と指摘。弁護団は今後、再審の法廷でテープの再生を求めていく。
また、再審をめぐる協議の中で、検察側が「テープは別件についてのもので、足利事件とは関係なく、再審での取り調べは必要ない」としてきたことについて、弁護側は「検察側の主張してきたことは虚偽だった」として、担当検察官のうちの1人の忌避を求めるとともに、忌避が認められなければ、再審公判に応じないとの考えを表明した。