経財白書、企業内失業600万人

2009-07-25 | 社会
失業「予備軍」過去最多の607万人に
  日本企業が実際の生産に見合った水準を超えて抱えている「過剰雇用者」の数が2009年1~3月期に過去最多の607万人に達したとの政府推計が24日、明らかになった。
 林経済財政相が同日の閣議に提出した09年度年次経済財政報告(経済財政白書)で示された。企業業績がさらに悪化すれば失業しかねない「失業予備軍」とみることもでき、日本経済の足を引っ張る懸念がある。
 白書によると、過剰雇用者数は、金融機関の大型破綻(はたん)が相次いだ後の1999年1~3月期(359万人)をピークに減少傾向にあったが、昨秋以降の急激な景気後退に伴う生産縮小で、最近になって急増した。
 各企業は、大量の非正規雇用者との契約を打ち切るなど対応を急いだが、正規雇用者の解雇に踏み出す事例は少ない。生産水準を大幅に上回る労働力を抱え込まざるを得ない状態だ。
 白書では、こうした雇用調整圧力に加え、日本経済の需要不足が年間45兆円に上り、「09年以降の基調的物価を大きく下落させる恐れがある」として、デフレ深刻化への懸念を示した。
 副題を「危機の克服と持続的回復への展望」とした今回の白書は、08年9月の「リーマン・ショック」をはさんだ景気後退局面について、「速さ」と「深さ」がこれまでにないレベルで進み、「長さ」も過去の平均程度に達したと分析。現在は持ち直しの動きが見られるものの、生産水準の低さやデフレ懸念に加えて海外経済の先行き不透明感が下ぶれリスクだとしている。
 雇用や社会保障制度に対する不安感が、家計行動に及ぼす影響にも触れた。個人消費の主役となるはずの30~40歳代で貯蓄率が上昇傾向にあり内需を下押ししている可能性を指摘した。
 昨年以降の4回の景気対策に対しては、公共投資を上向かせ、企業倒産や失業の急増を緩和していると評価した。同時に「財政収支は急速な悪化を示しつつあり、十分注意を払う必要がある」と懸念を示した。
 また、日本銀行による社債の買い切りなど企業の資金繰り支援策については、「状況によっては拡充が必要となる」とし、追加的な対応の必要性も示唆した。
 若年から中年の現役世代の所得格差を是正するために、減税と給付金の支給を組み合わせて低所得世帯を支援する「給付付き税額控除」の導入も提言している。
 ◆過剰雇用者数…実際の雇用者数から、内閣府が推計した「最適な雇用者数」を差し引いた数。「最適な雇用者数」は、鉱工業生産指数や国内総生産(GDP)が示す生産規模に基づき、過去の労働生産性や平均的な労働時間を使って算出した。4~6月期は鉱工業生産が持ち直し、GDPもプラス成長が見込まれているため、現時点の過剰雇用者数は1~3月期より減少していると見られる。
(2009年7月24日11時37分  読売新聞)
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景気底打ち、雇用に懸念 経財白書、企業内失業600万人
 林芳正経済財政担当相は24日の閣議に2009年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。白書では日本経済は過去にない急速な景気悪化に陥ったが、今春以降は持ち直しの動きがあると指摘。ただ企業内失業が最大600万人規模に広がり、失業増大が先行きの下振れリスクになると懸念した。本格回復に向けては、輸出が伸びて国内の個人所得の増加につながる「内外需の双発エンジン」が必要だと訴えた。
 白書は3章構成で、1、2章では1~3月期に戦後最悪のマイナス成長となった経済危機のメカニズムを分析した。日本経済は世界同時不況によって輸出が前例のない著しい落ち込みに見舞われたと指摘。国内の金融システムは安定していたものの、企業が生産や設備投資を絞り込み、実体経済が大幅に悪化した。
 国内経済は危機の震源地である米欧よりも厳しいマイナス成長となった。その要因として世界的に売り上げが落ち込んだ「自動車やIT(情報技術)製品の依存度が高かった」ことを挙げ、さらに昨秋から急激に進んだ円高が収益悪化に追い打ちをかけたと指摘した。(日経2009/7/24/11:03)

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