産経ニュース 2015.3.25 10:00更新
【日本の議論】「同性パートナー条例」案、26日に委員会採決 根強い反対論、揺れる渋谷区議会
同性カップルに「結婚に相当する関係」を認めるパートナーシップ証明書の発行を盛り込んだ条例案をめぐり、渋谷区議会が揺れている。区が今月、区議会定例会に提出した条例案に、性的少数者の当事者たちは期待を寄せる一方、区には1千通を超える反対意見が殺到。賛否の態度を決めかねている区議も多く、条例案の行方が注目されている。
■家族制崩壊
同性カップルは、アパートの入居や病院での面会を家族ではないとして断られることが多い。証明書に法的拘束力はないが、条例案ではこうしたことを踏まえ、「区民および事業者はパートナーシップ証明に最大限配慮しなければならない」と明記。区内の事業所などに「夫婦」と同等に扱うよう求めるとしている。
渋谷にとどまらず、同様の動きは広がりをみせ、世田谷区の保坂展人区長は5日、同性カップルをパートナーとして公的に認める制度について「区長判断でできることに絞り、具体化したい」との見解を示した。
一方、条例案への反対論は根強く、10日には保守系政治団体「頑張れ日本!全国行動委員会」の呼び掛けで、渋谷区役所周辺などで抗議デモが行われた。
区には「家族制度が崩壊する」などの反対意見が大量にファクスなどで寄せられている。担当課は「同性婚とは別制度なのだが、混同している意見が多い」と話すが、「延長線上に同性婚がある」との指摘もある。
■行政のテロ
「議会に何の報告もなく(条例案が)示された。これでは、行政のテロではないか」。木村正義区議(自民)は、6日に開かれた区議会総務区民委員会で区側に対し、声を荒らげた。
条例案の作成にあたり、区は昨年、有識者らでつくる検討会を設置。議論が重ねられ、検討会での結論は1月20日に区へ報告された。だが、区は条例案を審査する同委員会に事前報告せず、2月12日朝、一部のメディアで条例案の内容が報じられ、区は同日、記者発表した。その過程に、木村区議は疑問を呈した。
「これだけ複雑な条例案を提出するなら、議会に事前報告してコンセンサスを得るのが今までのやり方だった。議会軽視だ」と木村区議は指摘。区側は「来年度予算に向けて作業が多く、情報が適切に伝わらず、私どもの対応が非常に悪かった」と弁明した。
■選挙に影響
条例案は26日に同委員会で採決、定例会最終日の31日に本会議で議決される。ある区議は「議会に報告しないなど区側の進め方がめちゃくちゃ。継続審査にするのが一番いい方法では」と話す。だが、来月30日には区議の任期が満了となり、継続審査は事実上の廃案を意味する。そのため、別の区議は「今回は継続審査はないのでは」と語る。
谷垣禎一幹事長らが条例案に懸念を示している自民党の区議団は、近く総会を開き、態度を決定する。「採決で自民と意見が違った記憶がない」(区議会事務局)という公明党の区議は「自民と歩調を合わせたいけど、今回は分からない」と慎重な姿勢だ。
桑原敏武区長は23日、動画で公開された日本外国特派員協会主催の記者会見で「性的少数者の人たちにも温かい手を差し伸べることは、(本来は)国がやるべきことだ」とした上で「自民党が反対しているのは事実だが、他の政党は支持していると聞く」と条例案の可決に自信を見せた。
条例案に賛成する区議は目前に迫る選挙への影響に触れ、こう話した。「この条例案に反対するのは、選挙前のタイミングでは微妙なこと。よっぽどの勇気がないと、できないだろう」
*パートナーシップ証明
渋谷区が今月、区議会定例会に提出した男女平等や多様性を尊重する条例案に盛り込んだ制度。性的少数者への支援策で、区内在住の20歳以上の同性カップルが対象。証明書を取得すると、事実上の「夫婦」として区営住宅へ申し込みができる。また、事業者側の判断によるが、事実上の「夫婦」として民間の賃貸住宅への入居や、会社での家族手当の支給なども可能になるとしている。
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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◇ 同性パートナー証明書を発行 渋谷区が全国初の条例案 LGBT(性的少数者)への意識変化
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◇ LGBT:超党派の国会議員連盟が発足、初会合
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