結婚・子供を諦め始めた若者たち【報道特集】2023/04/01

2023-04-02 | 社会

「子供は“嗜好品”“贅沢品”だと」“異次元”の少子化対策の陰で・・・結婚・子供を諦め始めた若者たち【報道特集】
 4/1(土) 21:46配信 TBS NEWS DIG Powered by JNN

深刻な少子化社会の日本。結婚したくてもできない…。子供は作れない…。フリーランス、非正規のカップルからは「もう手遅れだ」と諦めの声すら出ています。 政府が“異次元”だとした少子化対策たたき台で、食い止めることはできるのでしょうか。

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■AI婚活が人気
少子化対策につながる“結婚支援” 30代女性「ようやくこの人!という人に出会えました」
  昨年入籍した30代夫婦「明るい未来を与えてくれる素晴らしいお相手をパートナーにすることができました」
“婚活”支援サービス「恋たま」に寄せられた喜びの声。
  実は、埼玉県が運営に関わっている。最大の特徴は・・・ 「恋たま」スタッフ 「AIがご相性のいい方がいた時に、月上限6名様を紹介します」
人工知能=AIを使った“相手選び”。
 利用者は自らの“価値観”に関する112の質問に答えると、AIが膨大なデータをもとに、“相性がいい相手”を提案する。 この日、IT企業に勤める29歳の男性が相談に訪れた。
「やっぱり30歳近いなっていうところでいろいろ考えるところがあって、思い立ったが吉日と」
「(AI婚活支援は)出会いの機会を増やすという意味では有効な手段だと思います」
AIを使った結婚支援は、国の後押しもあり、内閣府によると全国22の県が導入している。2018年に取り入れた埼玉県では、これまで300組以上が婚約・結婚に至ったという。 相談に訪れた30代女性 「本人確認・独身証明とかもしっかりしていたので、安心してできるかなって。公的機関がやっているのが一番大きいかもしれない」 県の担当者は、少子化を防ぐには子育て支援だけではなく、“結婚支援”をすることが重要だ、と強調する。 埼玉県少子政策課 島﨑高志 主査 「統計を分析すると、結婚することで子供が生まれてくる状況がある」 「結婚をご希望しているけれども、相手に巡り合わないという状況を解消するのが大事なのかなと思っている」

■「子供は“嗜好品”」
「幸せに出来るか不安」若者たちの本音 しかし今、経済的理由で、多くの若者たちが結婚や出産を諦め始めている。 神奈川県で配送ドライバーとして働く池畑裕一さん、35歳。1セット24キロほどの飲料水を、多い日は1日80軒に届ける。

池畑裕一さん 「フリーランスは何も保証してもらえない。その会社は何も守ってくれないし。『池畑さん来週で終わりです』と言われたらもう、その時点で仕事がなくなっちゃうので」 1セットで得られる額は、400円。月の売り上げは40万円ほどだが、高騰するガソリン代など様々な経費も負担するため、手元に残るのは月に30万円ほどだ。 フリーランスは労働基準法で保護されず、雇用保険も適用されない。

池畑さん 「自分1人で生きてくのですら不安なこの世の中なのに、結婚して奥さんも子供も養ってくっていうのは男からすると想像できないというか。足踏みしちゃってる人はかなり大勢いるんじゃないかなと。僕もその1人」

 日本の2021年の合計特殊出生率=1人の女性(15~49歳)が生涯に生む子供の数は1.30。去年の出生数は過去最少の79万9728人で、初めて80万人を割り込んだ。 政府は3月31日、児童手当の所得制限の撤廃などを盛り込んだ、“異次元”の少子化対策たたき台を公表した。

 しかし、財源には触れておらず、今年6月の「骨太の方針」までに、結論を出すという。

池畑さん 「少子化だったり晩婚化もそうですけど、今に始まったことではないじゃないですか。ずっと前から言われて。本当だったらもうずっと前から対策してればいいのに。結局何もやらないので、国に対しての信用がないですよね」 「不安感じゃないですか。やっぱりこの先が見えないっていうか」 「金銭的にとか考えても、今の状態で生まれてくる子供が幸せなのかなと、僕は思っちゃうので。子供に好きなことをやらせてあげられないのに、子供をとりあえず作るって、ある意味親のエゴかなっていうのもある。だったら産まない方がいいんじゃないかって僕は考えちゃうんですよね。子供のためにも」

実は現在、彼女と同棲中だという池畑さん。昼休みには自宅に帰るようにしている。 彼女の美花さんが、食卓に作りたてのご飯を並べ、待ってくれていた。外食はほとんどしない、節約生活。食費は2人で、月3万円を超すことはないという。

池畑さん 「いつも出してくれます。帰ったらすぐ食べられるように。でも毎日違うメニューみたいな感じなんで、本当にありがたいですね。昼ご飯を食べるのが楽しみで頑張るみたいな」

美花さん 「私は夜勤に行っちゃうからお弁当作っておいた」

池畑さん 「最高の彼女だと思います。節約にもなると思うし、外で食べるよりこっちで食べた方が美味しいので」

美花さん 「言ってくれるわ~、今日仕事頑張れる」

美花さんは非正規のケアワーカーとして働いている。手取りは月に20万円ほどだという。

美花さん 「お給料上げてほしい。今本当に人いなくて、介護する人間が。こんな頑張っているのに、これしかもらえないとね」

同棲を始めて3年目。周囲からは夫婦だとみられることも… 美花さんには「いつか結婚したい」という思いもある。しかし、子供は考えられないという。母が女手1つで4人の子供を育てる苦労を見てきたからだ。

美花さん 「私達のせいで、お母さんを苦しめちゃったなと思って。それから、自分も子供ができたとしても幸せにできるかっていうのは不安で。そういうのもあるから」

 池畑さんは、あえて刺激的な言葉で現状を嘆く。

「僕的には子供は“嗜好品”だと思ってます。“贅沢品”だと思ってます。物に例えるのもあれですけど。余裕がある人が良い車に乗ったりとか、良い家に住んでるとか、そういうものの一つに『なっちゃったな』と思います。子供を作るっていうことは」 「そういう意味で戦意喪失させられちゃってるというか。『もうしょうがないか』みたいな。悪い意味で悟っちゃってますね、“さとり世代”」

「僕はもう手遅れだと思う。正直。一人一人の幸福度だったりとかっていうところをもっと考えてやるのが、一番僕は遠回りのようで(少子化対策の)一番近道なんじゃないかな」

■重視すべきは「結婚に踏み切れない人たちへの対処」

 日本で求められる少子化対策とはなにか。男女共同参画会議のメンバー、中央大学の山田昌弘教授は、結婚したくてもできない人への対策をより重視するべきだと主張する。

中央大学 山田昌弘教授
「結婚した夫婦は、とりあえず2人ぐらいは産んでいる。8割以上の人は結婚を望んでいて、子供を望んでいるというわけですから。そういう結婚や子供を望んでいるけれども、なかなか事情で結婚できないという人たちへの支援というものが(今回の政府の対策で)出てこなかった。結婚に踏み切れない人たちへの対処というものが重点的に必要だと思う」 結婚できない理由のひとつに挙げられるのは、正社員と非正規雇用の格差だという。

中央大学 山田昌弘教授
「日本は正社員同士で共働きしているカップルは若い人たちの4分の1しかいない。今まで正社員じゃない人を雇った企業に助成金とかやっていますけども、(支援額の)規模が小さい。ますます格差が広がって、正社員カップルは子供は産めるが、そうでない非正規やフリーランスや自営業の人たちは子供は産めないという格差が放置されるのではないか」

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 ◎上記事は[報道特集]からの転載・引用です

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