名張事件、差し戻し審開始 最高裁からの事件記録受理
三重県名張市で1961年に起きた名張毒ぶどう酒事件の奥西勝・元被告(84)=名古屋拘置所在監=の再審請求をめぐり、名古屋高裁は19日、最高裁から事件記録が到着、受理したと明らかにした。高裁は受理をもって差し戻し審開始としている。
高裁によると、差し戻し審を担当するのは刑事2部で下山保男裁判長。
ただ具体的に審理が動きだすのは裁判長らが資料を読み、検察、弁護側との協議で審理計画を立ててからで、数カ月先になる見通し。
差し戻し審の最大の争点は、ぶどう酒に混入された毒物が確定判決で認定された「ニッカリンT」かどうか。
事件直後の鑑定でニッカリンTから検出されるべき成分が出ておらず、奥西元被告の弁護団はこれまでに、新証拠として「毒物は別の農薬」とする鑑定結果を提出。最高裁も5日付の決定で「(毒物が何か)事実が解明されていない。審理を尽くす必要がある」とした。
弁護団は、最高裁決定で有効性が否定された、ほかの新証拠4点についても争う方針。2010/04/19 18:24【共同通信】
「ちょっとした気持ちで・・・」逮捕後、記者会見で犯行を認めた奥西死刑囚(左)=1961年4月、三重県名張市で
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