立浪監督のスカウトの〝眼力〟 成功の鍵は新二遊間コンビ 2023/2/10

2023-02-10 | 相撲・野球・・・など

鬼筆のスポ魂
立浪監督のスカウトの〝眼力〟、成功の鍵は新二遊間コンビ
 2023/2/10(Fri.)11:30 植村 徹也  産経WEST スポーツ 野球

 2年目を迎えた立浪ドラゴンズ浮沈の鍵は〝立浪スカウト〟の眼力か…。トレード連発でチームを変えた先にあるのは守備力優先のペナント戦略だが、果たして目算通りに行くのだろうか-。
 立浪和義監督(53)の就任1年目だった昨シーズン、中日は66勝75敗2分けでリーグ最下位。6年ぶりの最下位だったが、ここ10シーズンではAクラスは1度(2020年の3位)だけで、後は2度の最下位を含むBクラスばかり。長い低迷期に入ったまま抜け出せそうな気配すら感じない。そんな状況下、昨オフに指揮官は大胆に動いた。遊撃手の京田をDeNAに放出し左腕投手の砂田を獲得。さらに二塁手の阿部を楽天に出して、先発右腕の涌井を取った。センターラインの二遊間を一気に総替えした。
 沖縄・北谷の春季キャンプでは遊撃のポジションには今季プロ3年目で昨季、遊撃で59試合(全部で62試合)に出場した土田龍空内野手(20)が入っていた。二塁にはドラフト2位指名のルーキー村松開人内野手(22)=明大=と同じくドラフト6位ルーキーの田中幹也内野手(22)=亜大=が守備コーチからノックを受けていた。実績のある京田&阿部を出してまで二遊間を大刷新した立浪監督の決断は「バクチ」にも見えるが、チーム関係者は昨季の夏場頃から練りに練ったチーム改革だったという。ポイントは「守備力向上」だった。
 昨シーズン途中、遊撃の京田の守備範囲や動き、阿部の二塁手としての動きに立浪監督は限界を感じて、新戦力の発掘に自ら乗り出した。夏場以降、巨人戦やヤクルト戦のある東京遠征中はお昼にお忍びで神宮球場などに視察に行った。関西圏でも遠方の球場まで足を運んだ。そして、〝立浪スカウト〟のお眼鏡に適ったのが村松であり、田中だった。2人をドラフトで指名し、土田を遊撃に定着させることを前提にして京田と阿部の放出を決断した。
 現役時代、中日一筋22年で通算2480安打を放った立浪監督は遊撃や二塁手として内野陣の要でもあった。この間、チームは4度のリーグ優勝を果たしたが誰よりも二遊間の守備の優劣がチーム成績に影響することを肌身で感じていた。特に本拠地のバンテリンドームは本塁打の出にくい、広い球場だけに守備力を向上させることが勝利への大事な鍵となってくる。
 そういえば監督在任8シーズンで4度のリーグ優勝と日本一も一度(2007年)獲得した落合博満監督時代、二遊間は荒木と井端が名コンビを形成した。なかなか点が入らず、守り合い、競い合いとなる本拠地の特性を考える時、センターラインを中心とする守備力を磨くことは極めて大事…ということは球団史が刻んでいた。
 立浪監督は自身が監督に返り咲く前の長い低迷と昨シーズンの最下位で思い切ったチーム改革が必要だと痛感した。自らが隠密裏にスカウトの仕事を行い、トレードにも着手。その結果として今シーズン、土田&村松の新コンビがかつての〝アラ・イバ〟のような存在になってくれれば中日は長い低迷期から脱出できる…という目論見だ。
 しかし、勝負事は勝つか負けるか…だ。もしも二遊間が定着できず、名古屋でも敗走が続くならば、生え抜きの京田や阿部の放出に不満をくすぶらせる地元の熱烈ファンは黙ってはいないだろう。昨シーズンも最下位で今シーズンもBクラスならば厳しい声が飛び交うことになる。
 「ファンは強いドラゴンズを見たい。そのために全力を尽くします」。立浪監督は〝恐竜復活〟へ妥協を許さない姿勢で臨む。さあ結果はどっちに転ぶのか。
(特別記者)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です


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