長崎知事選:自公系中村氏が当選、民主敗れる。 検察が世論を煽り、世論に断罪させた・・・か。

2010-02-22 | 政治
長崎知事選:自公系の中村氏が初当選…民主敗れる
 任期満了に伴う長崎県知事選が21日投開票され、自民、公明両党が支援した前副知事の中村法道氏(59)が、民主など与党3党が推薦した前農水省室長の橋本剛氏(40)ら6人を破り初当選した。今夏参院選の前哨戦として注目されたが、鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長の「政治とカネ」問題が政権交代後の民主党の勢いをそいでいる現状を示す結果となった。今後の政権運営や、進退問題のくすぶる小沢氏の求心力にも影響を与えそうだ。当日有権者数は117万4280人、投票率は60.08%(前回52.27%)だった。
 昨年末以降、鳩山首相と小沢氏の元秘書らが政治資金規正法違反で起訴され、民主党への批判が高まる中で与野党が対決する初の大型地方選となった。民主党にとって長崎は09年衆院選の県内4小選挙区で全勝し、04、07年参院選も制した「国会議員独占県」。有利な情勢で臨んだはずが手痛い敗北を喫し、参院選へ向け党内の危機感が強まっている。
 知事選では、09年衆院選で自民候補を支援した金子原二郎知事(65)の4選不出馬を受け、無所属の7新人が立候補した。中村氏は出馬表明が12月下旬と遅れたが、金子県政の後継候補として県庁勤務37年の「即戦力」をアピール。自民は終盤、著名議員を応援に投入し民主批判を展開。民主に比べ厚い地方組織をフル回転させて逃げ切った。
 自民党の大島理森幹事長は21日夜、党本部で記者団に対し「政治とカネ」問題が選挙結果に影響を与えたとの見方を示したうえで「鳩山首相、小沢幹事長は謙虚に反省し、国民に対して説明責任と道義的責任を果たすべきだ」と語った。
 橋本氏は連合長崎の推薦も受け県政刷新を訴えた。閣僚らも次々と応援に入り、政権与党との連携を訴えたが、及ばなかった。
 元参院議員の大仁田厚氏(52)は、元プロレスラーとしての知名度を生かし、「長崎の宣伝マン」を訴えたが伸び悩んだ。共産が推薦した市民団体事務局長の深町孝郎氏(67)と、前県議で医師の押渕礼子氏(71)も浸透しなかった。【阿部義正】
 ◇長崎県知事選確定得票数◇
当 316,603中村 法道<1>無新
  222,565橋本  剛 無新=[民][社][国]
   98,200大仁田 厚 無新
   30,902押渕 礼子 無新
   21,291深町 孝郎 無新=[共]
    6,634山田 正彦 無新
    2,889松下 満幸 無新
毎日新聞 2010年2月21日 21時50分
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長崎知事選:民主敗戦…「政治とカネ」問題が足かせ
 21日投開票された長崎県知事選で与党推薦候補が敗れ、今夏の参院選へ向け「政治とカネ」問題が民主党の大きな足かせとなっていることが鮮明になった。自らの不起訴を盾に事件の幕引きを図る小沢一郎幹事長に対し、民主党内の不満が再燃する可能性もある。支援候補が当選した自民党は国会での攻勢を強める構えで、10年度予算案の審議にも影響しそうだ。
 小沢氏は21日、松江市での記者会見で、鳩山由紀夫首相や自らの「政治とカネ」問題が長崎知事選に与えた影響を聞かれたのには直接答えず「(不起訴によって)不正なお金をもらっていないことが明らかになった」と改めて強調。今後も参院選対策で全国行脚を続ける考えを示したうえで「国民の支持を最終的には得られると確信している」と語った。
 しかし、同日投開票された東京都町田市長選でも推薦候補が敗北。長崎知事選の選挙期間中は鳩山首相、小沢氏とも応援に入らなかったが、町田市長選では小沢氏が17日に選挙事務所を訪れたほか、菅直人副総理兼財務相や女性議員らを街頭演説に動員した結果だけに「選挙の小沢」の威光も陰りかねない。
 長崎知事選、町田市長選のいずれも投票率が前回を上回ったことは地方、都市部を問わない有権者の関心の高さも物語る。小沢氏と距離を置く中堅衆院議員は「政治とカネの影響が出始めているということ。党内の不満が『参院選は本当に小沢幹事長で戦えるのか』という声にすり替わっていく可能性は高い」と指摘する。
 自民党は「政治とカネ」問題を集中的に攻撃してきた手応えを感じており、22日以降の国会では審議拒否を含めた強硬姿勢に転じる構え。大島理森幹事長は21日夜、長崎知事選について「明日からの(衆院)予算委員会で粛々と審議するわけにいかない。(政治とカネ問題への)怒りの声が示された」と記者団に語り、小沢氏の証人喚問や石川知裕衆院議員に対する辞職勧告決議案の採決を強く求めていく考えを示した。
 知事選では支援候補を推薦せず政党色を薄めた選挙戦を展開したが、終盤には大島氏らが隠密で長崎入りし後援会組織や企業の引き締めを図った。知事選と同様、1議席を争う参院選長崎選挙区でも勝機はあるとみて候補者の選定を急ぐ。【高山祐、木下訓明】
毎日新聞 2010年2月21日 23時39分(最終更新 2月22日 0時49分)
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新S.「くらべる一面」編集局から
朝日新聞
 鳩山政権にとっては痛恨の夜となりました。今年初の与野党激突型知事選となった長崎では自公系候補に敗れ、内閣支持率も37%と内閣発足後初めて4割を切りました。夏の参院選で民主党が単独過半数を占めない方がよいと思う人は55%に上り、長崎知事選の出口調査では民主党系候補の無党派層への食い込みがわずか28%。いずれも注目すべき数字です。ベルリン映画祭では寺島しのぶさんが銀熊賞。GLOBEでも映画特集をお届けしました。(陽)
日本経済新聞
 21日投開票された長崎県知事選で、自民、公明両党が支援した前長崎県副知事の中村法道氏(59)が民主など連立3党推薦の元農林水産省改革推進室長、橋本剛氏(40)を破り初当選しました。同知事選は7月に想定される参院選に先立つ、数少ない与野党対決型の首長選として注目されていました。「政治とカネ」の問題や米軍普天間基地移設を巡る迷走、地方経済の回復遅れなど、鳩山内閣の政権運営への不満を少なからず反映した結果で、「政権交代」の熱気が冷めつつある現実も浮き彫りにしました。首相のかじ取りは一段と難しさを増しそうです。(井)
読売新聞
 長崎県知事選で、民主党推薦候補が自公系候補に敗れました。「政治とカネ」の問題が影を落としたのは間違いありません。3面スキャナーの記事には「今のところ、小沢氏の責任を問う声は上がっていない」とあります。その小沢氏は「全国行脚で疑問に答えれば国民の支持は得られる」と語りました。果たしてそうでしょうか。国民は小沢批判の声が聞こえない民主党の体質に、不安を覚え始めているのはないでしょうか。(三)
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検察を支配する「悪魔」 意図的なリークによって、有罪にできなくとも世論に断罪させようとする
 最近はとくに意図的なリークによって世論を煽り、有罪にできなくとも、世論に断罪させて社会的責任を取らせようとする傾向が強くなったように思う。
 情報操作によって世論を喚起した事件として思い出すのは、沖縄返還協定を巡って1972年に毎日新聞政治部記者、西山太吉と外務省の女性事務官が逮捕された外務省機密漏洩事件です。
 西山記者が逮捕されたとき、「言論の弾圧だ」「知る権利の侵害だ」という非難が国民の間で上がった。
 そこで、検察は起訴状に「西山は蓮見(女性事務官)とひそかに情を通じこれを利用し」という文言を盛り込み、批判をかわそうとした。この文言を入れたのは、のちに民主党の参議院議員になる佐藤道夫。
 検察のこの目論見はまんまと成功、西山記者と女性事務官の不倫関係が表に出て、ふたりの関係に好奇の目が注がれ、西山記者は女を利用して国家機密を盗んだ悪い奴にされてしまった。
 本来、あの事件は知る権利、報道の自由といった問題を徹底的に争う、いい機会だったのに、検察が起訴状に通常は触れることを避ける情状面をあえて入れて、男女問題にすり替えたために、世間の目が逸らされたわけです。
 西山擁護を掲げ、あくまでも言論の自由のために戦うと決意していた毎日新聞には、西山記者の取材のやり方に抗議の電話が殺到、毎日新聞の不買運動も起きた。そのため、毎日は腰砕けになって、反論もできなかった。
 さらに特筆すべきは、検察の情報操作によって、実はもっと大きな不正が覆い隠されたという事実です。『月刊現代』(2006年10月号)に掲載された、元外務省北米局長の吉野文六と鈴木宗男事件で連座した佐藤優の対談に次のような話が出てくる。吉野は西山事件が起きたときの、すなわち沖縄返還があったときの北米局長です。
 その吉野によると、西山記者によって、沖縄返還にともない、日本が400万ドルの土地の復元費用を肩代わりするという密約が漏れて、それがクローズアップされたけれど、これは政府がアメリカと結んだ密約のごく一部にしか過ぎず、実際には沖縄協定では、その80倍の3億2000万ドルを日本がアメリカ側に支払うという密約があったというのです。
 このカネは国際法上、日本に支払い義務がない。つまり、沖縄返還の真実とは、日本がアメリカに巨額のカネを払って沖縄を買い取ったに過ぎないということになる。
 こうした重大な事実が、西山事件によって隠蔽されてしまった。考えようによっては、西山事件は、検察が、佐藤栄作政権の手先となってアメリカとの密約を隠蔽した事件だったとも受けとれるんです。
 西山事件のようにワイドショー的なスキャンダルをクローズアップして事件の本質を覆い隠す手法を、最近とみに検察は使う。
 鈴木宗男がいい例でしょう。鈴木がどのような容疑で逮捕されたのか、街を歩く人に聞いてもほとんどがわかっていない。あの北方領土の「ムネオハウス」でやられたのだとみんな、思いこんで
いるんですよ。しかし、実は北海道の「やまりん」という企業に関係する斡旋収賄罪。しかも、このカネは、ちゃんと政治資金報告書に記載されているものだった。
 興味本位のスキャンダルは流しても、事の本質については取り上げようとしないメディアも悪い。いや、大衆迎合のメディアこそ、検察に暴走を許している張本人だといえるかもしれませんね。

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