【野田小4虐待死、父親初公判詳報】(4)頭頂部の毛が薄く…「認めたくない気持ち半分、通報に抵抗が半分」 2020.2.21

2020-02-22 | 身体・生命犯 社会

【野田小4虐待死、父親初公判詳報】(4)頭頂部の毛が薄く…「認めたくない気持ち半分、通報に抵抗が半分」
2020.2.21 18:48 千葉・野田女児虐待死 

 《千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が自宅浴室で死亡した虐待事件をめぐり、傷害致死などの罪に問われた父親の勇一郎被告(42)への初公判。午後に再開された公判では、検察官による証拠説明が行われた》 《勇一郎被告方の自宅の間取りなど詳細な説明があった後、心愛さんが死亡した自宅浴室の状況などについて検察官が説明する》
 検察官「血液予備検査では浴室や脱衣所、廊下から多数の陽性反応があった」
 《犯行時間帯の推定水温や室温が示された後、心愛ちゃんの発見当時の遺体の状況が図面でモニターに映し出された。両手はハの字に広がり、ひざは曲がって倒れていた。着衣はぬれ、Tシャツには血液の陽性反応があった》
 《勇一郎被告は、口を真一文字に結び、モニターをじっと見つめている》
 検察官「DNA鑑定で心愛さんと一致しました」
 《続いて検察側は、今回の事件に関連し勇一郎被告方から押収した数々の文書を、法廷のモニターに映し出した》
 《心愛さんが平成29年11月、通っていた小学校で実施されたアンケートに「お父さんにぼう力を受けています」と書き、柏児童相談所に一時保護された。勇一郎被告はその後、小学校を管轄する野田市教育委員会に「児相に通報したのはなぜか、回答せよ」などと問いただす文書を送付。圧力に抗しきれなかった野田市教委がアンケートの写しを勇一郎被告に渡しており、批判を集めた》
 《勇一郎被告の自宅からは、児相に送っていたとみられる「一時保護した後の心愛の生活を把握しているのか回答せよ」「心愛や家族、親族の人生がめちゃくちゃになったら誰が責任を取るのか」といった文書のほか、学校側が心愛さんにアンケートを父親である勇一郎被告に見せて良いか問う「同意書」というタイトルの文書も見つかった》
 《文書には心愛さんが書いたとみられる手書きの文言が残っている。検察官は、心愛さんが書いたとされる文言を読み上げた》
 検察官「反省の手紙。今日はもうしわけありませんでした。これからはおてつだいします。パパとママのいうことをききます。ほんとうにもうしわけありませんでした。みあ」
 《書いた時期や経緯は不明だが、叱られた心愛さんが書かされたものとみられる。子供らしく、字は斜めに傾き、ほとんどがひらがなで書かれていた》
 《休廷を挟み、検察官は勇一郎被告のパソコンや携帯電話の中身をモニターに映し出し、説明を始めた。》
 検察官「11月8日に撮影された動画の解析結果です。心愛さんが52秒間、終始大泣きしています。この動画の15~20秒の5秒間を見ていただきます。刺激が強いが、(心愛さんが)置かれた状況を見てほしいと思います」
「アーッ」という甲高い声が法廷内に響き渡る。傍聴席からは動画そのものを見ることはできないが、心愛さんの泣き声とみられる。動画が終わると、検察官は淡々と次の説明に移る》
 《携帯電話に残っていたとみられる動画をモニターに映し出し、口頭での説明を交えながら、心愛さんが置かれていた異常な状況を説明しようとする検察官。次第に、裁判員の1人が目を赤くし始め、裁判長の配慮で一時休廷となった》
 《再開時刻になり、裁判長が法廷に戻る。検察側はほかにも心愛さんの画像など2件を示す予定だったとみられるが、裁判長が2件は飛ばし別の証拠を説明することを決め、審理が再開された》
 《検察官が、勇一郎被告の父の供述調書を読み上げる。父の家では、心愛さんが児童相談所に保護された後、心愛さんを一時預かっていた》
 検察官「心愛の性格は穏やかで優しく、周りに気遣いができて素直でした。私にとってはかわいい孫でした」
 《続けて心愛さんの母について言及。勇一郎被告から心愛さんとその妹に対して育児放棄のような状態だと聞いていたため、勇一郎被告の妻と認めず、自宅に入れたことがなかったと説明。会話もなかったという》
 検察官「児童相談所が心愛を保護しましたが、勇一郎から児相のやったことは誘拐みたいなものだと聞いていました。自宅での面談で勇一郎は『保護は納得いかない。法的根拠はあるのか』『いつまでこの状況がつづくのか』と職員に話していました。30年8月に地域のお祭りに心愛と行ったときは楽しそうでしたが、(心愛さんの)頭頂部の髪が薄くなっており、ストレスがあるのかなと思いました」
 《後に再び父の家で心愛さんを預かることになったという》
 検察官「妻や長女(勇一郎被告の妹)から、心愛の体にいくつかあざがあったと聞きました。長女は『家族だろうが何だろうが通報するべき』と言っていました。しかし、私は勇一郎が虐待をしていると認めたくない気持ちが半分、仮にそうでも息子を通報することに抵抗があったのが半分。心愛を預かっていれば大丈夫だろうと思い、通報しませんでした。しかしこの時に厳しい心をもって通報すべきでした」
 《父親は、勇一郎被告の妹の訴えより、息子を信じる気持ちを優先したという》
 検察官「心愛は優しく、誕生日も一生懸命家族をお祝いして、長女(=勇一郎被告の妹)を実の母のように慕っていました。『じいじ(自分)が叱るのは怖くない?』と聞いたことがありましたが『怖くないよ。じいじに言われるのは仕方ない』と言っていました」
 《結局、心愛さんは勇一郎被告のもとに戻されてしまった。勇一郎被告からは、心愛さんは「元気」と聞いていたという》
 検察官「たった10歳で、いろいろな可能性があるはずでした。小さな命を救えず後悔しています。勇一郎がまさかここまでひどいことをすると思っていませんでした。心愛に申し訳ないです。勇一郎は息子ですが人間として許せません。できればもう縁を切りたいです。心愛が成仏するためにも、残された家族のためにも勇一郎は知っていることを話し、処罰されるべきと考えます」
 《ほかに複数の供述調書が朗読され、この日は閉廷。心愛さんの写真や動画を見てショックを受けた裁判員1人は、別の補充裁判員と交代した。赤くなった目を時折しばたたかせながら検察官の話を聞いていた勇一郎被告は、厳しい表情で静かに退廷した》=おわり

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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